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御告げ
王は夢から目覚め神からの御告げを信じられずにいた。
その様な者が現れて欲しいと言う願望がこの夢を見させたに違いないと思っていた。
コンコンとノックの音がした。
「入りなさい」と外にいる者に聴こえる声でそう言った。
「失礼します」
従者は恭しくお辞儀をして王に対する。
「王に謁見を求める怪しい者おりますが如何いたしましょう?」
従者は膝をつき、伏している為、表情を見ることは出来ないが会うべきではないと思っているのは分かっている。
「その者は何か申しておったか?」
自分でもおかしなことを聞いたと分かっている。
もう自分は六十を超え戦に出るのも叶わない
夢が正夢になればとそんな軽い気持ちで聞いて
みただけだった。
「ハッ!何やら御告げの夢を見たと」
この言葉で会ってみる気になった。
何を話せば良いのかは分からないがただ会って話がしてみたくなった。
「謁見の間に通せ」
冷静さを全面に出してそう言ったが、この胸の高鳴りを隠すのに必死だった。