争う理由
「さてと。神様もいなくなったし、私とのんびりしてようか」
「ここで待ってればいいんだよな?」
「うん。私にはもう一つ役目があるからね、それが終わったら本当の意味で自由だから! それまでいい子で待っててね」
オレもここにいるようイリエル様に言われたしな。そもそも出口もねぇし、ワープの魔法も使えねえからどうにもならん。
「そだ、レイアちゃんのわかる範囲でいいから今のこちらの世界について教えてくれる?」
「いいぞー」
質問されるがまま答えてて、ヴァンパイアの話になったところでご先祖様…秋乃って呼べって言われたっけ。
その秋乃さんが不機嫌になった。
「まだ吸血鬼が活動してるのかー」
「オレだってヴァンパイアやし、命を助けてくれたのもヴァンパイアのアリスなのに何が不満なんだよ?」
「私がこちらに呼ばれたそもそもの原因は吸血鬼だからねー。いい印象は全くないよ。レイアちゃんだけは特別だけどね」
子孫やからとかそういう理由か?
「別にアリスもアイナも悪いことなんかしてないし、オレが大丈夫なんやったら二人の事も認めてくれたらいいのに」
「…ん〜まぁその辺はこの目で直接見極めるとするよ」
会わせるの不安になってきたな…。
「そういえばヴィーラは元気にしてた?」
「ヴィーラって空島にいる真っ白のドラゴンやっけ…」
「そうそう。あの子にはすっごくお世話になったから」
「元気やったとは思う」
「曖昧だね?会いに行ったんでしょ?」
「そうなんやけど…オレがヴァンパイアだってわかってから不機嫌になってすっげー冷たかったから」
「ああ…! それは仕方ないかもね。ヴィーラは対吸血鬼戦で苦労したって言ってたから、私以上に吸血鬼への忌避感は強いと思う」
それは…しゃーねーか。だからって別に攻撃されたわけでもないし。まぁあれはイリエル様が止めてくれたからやけど。
唯一ドラゴンで仲良くなれなかった相手やな。
「あ…」
「どうしたの?」
「いや…オレがここにつれてこられる前にさ、友達のドラゴンが管理してるダンジョンに学校の友達と一緒に行ってたんだよ」
「置いてきちゃったから心配?」
「ああ。あっちも心配してるんやないかと…」
茉莉花は強いからあんま気にしてないかもやけど、楓花とかミヌエットやリンはすっげー心配してそう。
特に楓花は…再会したら滅茶苦茶叱られそうでこわい…。
ノーラはどうなんやろ。気がついてたりするんかな?自分の管理してるダンジョンやしな。
〜〜ノーラSide〜〜
その頃ノーラ達は…
「ローラ、思うようにやってみるといいのじゃ!」
「わかりました!」
ローラは貸し出してある管理者権限を使い、妾でも知らぬ操作を繰り返してて何をしておるのかさっぱりじゃが…。
そも、あね様がダンジョンコアをカスタムしたんじゃろうが、妾にはなんの連絡もしてくれんのが悪いと思うんじゃ。
直轄のローラ達にだけ色々と教えて…。ちょっとあね様に文句の一つも言いたくなってきたのじゃな。
実際に文句なんて言おうものならひどい目に合うんじゃろうが…。
「ノーラ様、レイアちゃんの飛ばされたダンジョンへ飛べるようにしました。全員で行きますか?」
「どうやったんじゃ!?」
「さっきレイアちゃんが飛ばされたランダムテレポートの罠をそのまま利用します」
なるほどわからん。
「ふむ…じゃあそれで頼むのじゃ。 茉莉花達もそれでよいか?」
「ああ! 俺はアイツの…レイアの無事を確認するまで帰らねぇぞ!」
「僕もです! レイアちゃん絶対に不安がってるはずだし…」
「あんなダンジョンの奥でたった一人…わたくしならパニックです…行かなくては!」
「助け出すのぉ〜!」
アヤツは良い友を持ったな、。
「ローラ、手伝うよ」
「お願いしますルーラ姉様」
ルーラにも権限貸し出しとくか…。
幼い二人に丸投げして妾は何しとるんじゃろうなぁ…。セーラ姉様やフォーラに修行不足だ、鈍ってると散々言われて口答えしたが、全くそのとおりなのじゃな。
今一度セーラ姉様に鍛えてもらうしかあるまい。なにより人化できるようになればレイアと対等に話してやれるのじゃしな! うむ…。
ーーーー
ーーー
ーー
〜レイアSide〜
なんか、このご先祖様距離感おかしくねぇか?
いくら身内みたいな人や言うても今日あったばかりやぞ…。べったりくっついて離れないとかおかしいよな?
「なぁ…」
「うん?」
「ちょっと離れてくんねぇか…」
「やだけど?」
相変わらず身勝手やなぁ…。もうこれはうちの血筋の問題なんか?
「あのさ、オレ女の人苦手なんだよ。あんまくっつかれてると落ち着かねぇんだわ」
「それ、オリエル様にも聞いたけどなんでよ?元々男の子だったんだよね?」
「うん。理由は主に姉と母親やな…」
「はい? いや、お母さんとかお姉さんなんて家族でしょ? すっごい仲悪いとか…?」
「悪くはないんやけど…」
今はかなり改善されたからと前置きをして、過去のいろいろを説明。
………
……
「なるほどね、お母さんは不器用な人だってのは理解した。うちも似たようなものだったからね。でも実の姉に狙われるって…どうなってんの!? って私が言える事でもないけどさ…。ふーん、まぁわかったよ。ちょうどいいし、それにもケリをつけようかな」
「なにすんだよ? 皆に酷いことしたら許さねぇからな?」
「許さなかったらどうするの?私と戦う?」
「脳筋かよ! なんも暴力だけが手段でもないやろ」
「甘いね。話し合いなんて通じる相手とそうじゃない相手というのが明確に違うんだよ。私だって話してわかるような相手、つまり君みたいにきちんと間違いを認めて謝る子には手を出すのやめたでしょう?」
「まぁ…うん。いきなり斬りかかってきたけどな」
「それはごめんて…。見極めるように言われてたからそれなりに強いと思ってたんだよ」
オレなんて回復と弓しか使えねぇのに無茶しやがる。
「じゃあ話し合いでどうにもなんねぇのは?」
「欲しいものが同じで、譲れない場合。これはお互いに譲れない信念やらがある場合と同じだね」
「わけたり譲り合ったり…」
「それができないから人は争うの! おにぎりじゃないんだよ?」
「つまり秋乃さんにとって譲れないのは何…」
オレを指差すなや…。どうしたいんだようちのご先祖様は。
「はっ、まさかオレを生贄にしてパワーアップしたいとか?刺すとか言ってたし…」
「いいわぁ、このなんの知識もない感じとかガチでもえる」
「……ご先祖様って言う割に、話し方とか普通だよな。古臭くないっていうか」
「その辺は、会話に困るだろうからーってオリエル様が知識をくれたんだよ。スマホとかも使いこなせる自信あるよ」
神様万能か! いや、神様やもんな…別におかしくねぇか。悩むだけ無駄やからやめとこ。
くっつかれて落ち着かねぇのももう諦めることにした。
世の中諦めが肝心なんだよ。オレが十五年生きてきて唯一得た真理でもある。




