『気分は城下町』『魔王ちゃんは美味しいものが好き』『魔界の植物は全部魔族』
●気分は城下町
エールとブール、特にブールが魔王城の上の方だけ綺麗に整頓してくれたのだ。だからその辺りだけ執務室とか自分の部屋にして生活していた。後は城全体に魔力を流して最低限の防犯をしていただけだ。
基本的にエールとブール以外とは深くつるんでもこなかったので、名前を覚えるのも得意じゃ無い。
けれど
「城にいる皆のことはしっかり覚えよう。」
少なくとも私の横を堂々と歩いている勇者に負けないくらいには。
「用心棒!え?!魔王様!!」
「魔王様だー!!」
何か騒がれているので手を振ってみると歓声が上がる。
……うん。人気はありそう!流石私!
ていうか同じ城に住んでいるのにこの距離感はどうしたものか。
●魔王ちゃんは美味しいものが好き
「魔王。こいつは炎の扱いに長けている。」
そう言って勇者が連れてきたのは宙に浮いている火の玉だ。
(そりゃ炎そのものですからねー?!)
「火の扱いは料理には大切だ。」
「僕はウィプスです!おりょうり……分かりませんけど頑張ります!!」
やる気は十分なようだ。
「では今度、人間界の食事を食べてみて味を覚えてもらおう。食料自給が安定するまでは人間界のものを買ってきて使うか。」
(え?人間界の料理?!)
また美味しいもの食べるの?!
……じゃなくて、ウィプスを人間界に連れていくのだろうか。
「ああ。とりあえずは俺と魔王でお土産として買ってくる。」
「そうだね!」
思わず全力で同意した。
●魔界の植物は全部魔族
「魔族はいつもお前みたいなものを食べてるんだよな?」
「私からすると人間はいつもあんなものを食べているのかと言いたい。因みに魔パンは魔界では結構上等なものです。」
勇者は静かに頭を抱えた。
「そういえば、魔界で植物とかが育ってるのを見たことがないんだが。」
「まあ、魔界の植物なんて全部魔族だからな。」
この前いた植物系の王子とか。
「魔族は魔界で魔力を含む土や水、空気を摂取して生きているのか……?」
おおよそ正解である。だから味なんてあんまり気にしないものなのだ。
「美味しいって概念を突っ込むなら明らかに娯楽だな。」
「娯楽……か。とりあえず人間界から種とかを買ってきて魔界で育てたいんだが。」
勇者の言葉に考える。
植物を育てさせるなら、やっぱり植物系の魔族に任せるべきだろうか。
「この前の王子、あれは第一王子なんだけど、確か第四王子が城に住み着いてるって聞いたことがある気がするな。」
「第四王子……。」
「ココ王子ですね!」
ウィプスがヒュンッと勇者の周りを回って言う。
ここはウィプスに案内してもらった方が良さそうだ。
勇「魔界の植物……。」
魔「たまにお前、魔界の常識に頭抱えるよな?」
勇「特に魔界の食事とかな。」
魔「そういうとこ見るとお前も人間なんだなーって思う。」
勇「常識とは、すぐに移り変わる危ういものだな……。」
魔「そんな重い話してたっけ?」
勇「次回『魔王様のお気に入り』『なんとなくそんな気はしてた』だ。」
魔「タイトルに嫌な予感がするんですけど?」
勇「俺的には良い予感がするが?」




