『魔王ちゃんはチート』『魔王は魔界で一番強い』
●魔王ちゃんはチート
正直、意味が分からなかった。
まだ人間に宣戦布告もしていない状態で勇者が奇襲を仕掛けてくることにも驚いたけど、
その勇者が、
まさか
「私を……守りたい?!」
「ああ。」
勇者はそう言うと壁に刺さっていた剣を抜いた。一応態度で示すつもりらしい。
「……悪いが、意味が分からない。勇者が私を守る意味も分からないし、そもそも私は今はこんな状況だが実はとっても強いんだぞ?」
拘束されている状況では説得力はないかもしれないけれど。
「知っている。お前は確かに強い。だが、お前のスキルには欠点がある。」
(こいつ、私のスキルを知っているのか?!)
「自分より強いやつの攻撃は普通に対しての抵抗力は普通ってことだ。」
「確かにそうですけどー!!」
確かにそうだけど!普通にそれでも強いんですよ!!
魔王スキル
攻撃拒絶
自分よりステータスが下の相手からの攻撃・状態異常などを受け付けない
例えば物理攻撃でダメージや状態異常を与えるならそれが物理攻撃力、物理防御力、およびそれらの合計を上回っていなければいけない。魔法も同じ。
●魔王は魔界で一番強い
「私は、魔王を決めるためにバトルロワイヤルで勝ち残った。そしてその戦いで他の誰も、私にダメージを与えることは出来なかった。」
「それはそうだろうな。」
自称勇者はいつの間にかどっしりと椅子に座っていた。
黒と赤の椅子に座る勇者は、拘束されて床に座る私よりも魔王らしく見えた。
「人間界でもお前よりステータスが高いものは現時点では存在しないだろう。」
「じゃあ守って貰う必要性なんて」
「現時点では、だ。」
勇者は真剣な表情で私を見下ろす。黒い髪に切れ長の目で整った顔立ちをしている。見た目年齢は、人間的には20歳前という感じだろうか。
見た目だけなら私の方が年下に見えなくもないので、この状況は事案なんじゃないだろうか。
「人間は、お前を殺すために人間を育てる。」
「その覚悟は出来てる。……だから私もさらに強くなる。勇者に倒されないようにね。」
「……この状況で説得力があると思うか?」
私が一番分かってるわ!
本当にこの勇者が何をしたいのか分からない。人間が私を殺すために人間を育てる?それこそが勇者という存在では無いのか。
「まあ、お前が言っている言葉は事実だろう。確かに努力家で、本当に面倒だった。」
「は?」
「魔界では一番強いものが魔王なんだったか。」
勇者の言葉に頷く。
「お前を拘束している俺は、魔界で一番強いと思うんだが」
「は?」
「俺が魔王ということで良いだろうか?」
「良いわけあるか!!」
勇「次回は『勇者様と魔王ちゃん』『上限突破』『ペットにいかがでしょう』の3本だ。」
魔「予告も良いけど、私第1話目からずっと拘束されてるんですが」
勇「それにしてもお前のスキルの説明、分かりにくいな?」
魔「私の抗議はスルーですか、そうですか。一応次回に私たちのステータス説明があるのでそこで数字的に少しは分かりやすくなる予定だ。」
勇「ちなみに俺のスキルはまだ明らかにならない。」
魔「お前の情報ももう少し流して欲しいんだが?」