『勇者のスキル』『悪魔ドン引き案件』
●勇者のスキル
「ユーシャ……。一応魔王様はあれでも魔族的には年頃なんだ。ストーカーに付きまとわせるのも、そいつに魔王様の部屋の前に陣取られるのも許可できない。」
ユーシャは僕の言葉に怪訝そうに眉を寄せる。
「以前から思っていたんだが……お前は魔王の何なんだ?」
「は?」
以前って何だ以前って。
「エールは魔王が小さい時から面倒を見ていた魔人で、親というか……姉代わりなんだろう。エールが魔王を特別に可愛がり、そこにレベル差があろうとも魔王を守ろうとするのは分かる。だがお前は、魔王との関係を何も明らかにしなかった。」
「………………。」
すらすらと出てくるエールと魔王様の過去のストーリーに思わず固まってしまう。
エールの感情を魔王様が理解しているわけがない。つまりこれはエールの口から語られたということだ。
「いつの間にエールとそんなに仲良く?!」
「別にエールとそこまで喋ってないが?」
「!!お前、まさか……!!」
今まで気にしていなかったがもしかしてこいつのスキルは――――
(過去を見る力か、他者の心を読む系か?!)
「ああ、俺のスキルは」
ゴクリと息をのむ。
こいつのスキルは――――?!
「俺のスキルは経験値増加だ。」
「全然違うじゃねーか!!!」
思わず叩きつけるように叫んでしまった。
●悪魔ドン引き案件
「魔王様……。」
入室してきたブールは酷く疲れた顔をしていた。
「えーっと……」
この様子だと、上手くいかなかったのかなー?と思いながら先を促してみる。
「部屋の中の透視及び盗聴を防ぐことしかできませんでしたっ!!!」
「ありがとう?!」
むしろナニソレ?!
「え?え?ユーシャ、そんなことしようとしてたの?!」
ブールは力なくフッと笑って右手で顔を覆った。
「感知魔法系をフル活用して魔王様の部屋を丸見えにしようとしていると聞いた時には、よくもまあ……そんなにヤバい魔法の悪用を思いつくなあと思いましたよ。」
(【悲報】勇者、悪魔にドン引きされる。)
「人間って怖いよね……。」
「……。」
勇「俺の情報が出たな。」
魔「すごくチートってわけじゃ無いのか?」
勇「お前のスキルがチートすぎるだけだ。」
魔「……とりあえずブールには謝っておけよ?」
勇「苦労をかけているからな。次回は『やすやすやすりをかけないでください』だ。」
魔「やすやすやす?!なんだって?」




