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17生徒会お茶会(11)

 この間約二十分程度。

 ━━あっけないなこれは。

 しばらく荒れた空気も残っていたが、清坂と羽飛が無理矢理水野さんと雅弘、および新井林と佐賀の新参ものチームを奥の席につれていき密談し出したので大分落ち着いた。難波と更科と古川、といういかにもらしくない雰囲気の三人がのこった食事をつついている。ぼつぼつ呟く難波を更科が慰め、古川がかき回す。ただそういう話をしているかは聞き取れない。

「交流会とか言っても結局はあのふたりがしきるだけみたいね」

 阿木さんが小声で乙彦たちにささやいた。厳密に言うと名倉に対して、だが。

「いいんじゃないの。春休みで無礼講だし。問題児たちも消えてくれたし。あとで私たちも挨拶にいけばいいじゃんね。関崎、悪いけどあんたの親友紹介してよ」

「雅弘のことか」

 本来ならば一通り自己紹介が終わってから和やかに語り合うという流れのはずだった。それを霧島と立村がとことんぶっこわしてくれたので、仕切り直しがどうしても必要。

「あいつならいくらでも話ができるが、これからどうするんだろうな」

「勝手にやらせておけばいいだろう」

 またぶっきらぼうに名倉が呟く。乙彦に対してであり、阿木は無視だ。名倉の性格上、興味のない奴には冷ややかなのはわかっているのだが、せめて生徒会の役員仲間なのだからもう少し気遣いがあってもいいのではと思う。まあ、別の機会に言っておこう。

「でも、どう思う? さっきの話なんだけど」

 ちらちら阿木が後ろのテーブルをのぞきこみ、これまた小声でささやいた。

「どっちが本当なんだと思う? 私、どう考えても」

「阿木ちゃん、これ以上黙って」

 泉州がびしりと静めた。

「そんなこと私たちには関係ないんだから、口出すのやめときなよ。これから私たちがやることはさ、とりあえずあのふたりの思惑に乗っかって動くこと、それじゃないの?」

 泉州にしてはずいぶん保守的な発言だ。気になるので話を促す。

「いやねえ、会長さん同士が仲良しなのはわかってるし、ついでに後輩たちとも繋がりがあるんでしょ。それであればみんな仲良くしとこうよ、で終わりじゃん」

 言葉を濁す様子にどこかひっかかりを感じる。デザートを一品頼んでいいことになっていたので、女子たちがフルーツポンチを注文していた。掬うがあまり腹持ちよくない。

「それにあれじゃん? ここで生徒会側が霧島の言い分を嘘っぱちと認めたら、もうこれ以上なにも言えないんじゃない? それが目的なんでしょう、今日の集まりってのは」

「どういうことどういうこと?」

 阿木が食いつく。たぶん名倉と阿木は今回の問題において完全なる部外者だ。古川の説明で乙彦にはある程度の知識があるけれども、このふたりにはそれもない。

「霧島のことは、あの元評議委員長さんがなんとかやってくれるしね」

「立村に任せておけばなんとかなるか」

 たぶん大丈夫だろう。その点は乙彦も安心している。泉州も頷いた。おかわりのオレンジジュースを注文した。

「もともとあの人も日陰にいるからね。うちの会長の元の彼氏だとか、杉本さんを追いかけ回していたとかいろいろ噂は聞くけど、はっきり言ってどうでもいい存在じゃん? 中学時代たまたま評議委員長だったことがあるってだけで、後ろ楯なんかもないしさ。だったら、そういう人がうまく霧島をなだめてくれれば目立たずフェードアウトするよ。会長が狙ってたのそこでしょ」

「でも、さっき言ってなかった? 火曜日に会うって」

 そんなことをちらと聞いたように思う。

「中学時代の友達同士そういうこともあるだろう。こういうことがあるとは思ってなかったにせよ約束は守るべきだろう」

「こういうことがあったあとに? うわあ、すごい心臓に毛が生えてるよ」

 阿木が声を潜めて笑う。


「あのー、みんな、ちょっといいかな」

 一通りみな食べ終えて、デザートをそれぞれ注文した頃だった。

 奥のテーブルで語り合っていた集団に動きが見えた。清坂が呼び掛けた。

「順番が逆になっちゃったけど、今日ここでみんなに集まってもらったのは、非公式に、青大附属の生徒会と、可南女子の生徒会同士でこれから仲良く付き合ってもらうための相談ごとがあったからなの」

「会長、とりあえず紹介先にしたほういいんじゃないの?」

 泉州が言い返す。もっともである。

「うん、もちろんそうするけどね。みんな、可南女子の生徒会長である水野さんのことは知ってるよね? 泉州さん、阿木さんは知らなかったっけ」

 ふたりとも頷く。完全に部外者チームと化している。清坂は表情を変えずに次へと進んだ。

「それと、今日あえて来てもらったのは、水野さんと、えっと、関崎くんの友達で、今回のことであえて証人として来てもらった、佐川くん。青潟工業だよね?」

「はじめまして! 佐川雅弘です」

 雅弘がくったくなく笑顔で泉州、阿木、名倉に向かい挨拶をした。同時に乙彦に向かいにやっと笑ってから、

「俺はええと、おとひっちゃん、んじゃなくて関崎くんと幼稚園の頃からずっと友達だったんだけど、今回話がいろいろこじれている原因になっているって、新井林くんやさっきたん、んじゃなくて水野さんから聞いて慌てて混ぜてもらったんだ。さっき清坂さんと羽飛くんに一通り事情は説明したけど、答えられることは何でも答える準備できてるから、大丈夫」


 ━━雅弘は強いな。

 改めて我が弟分の成長を思う。悪いが、立村はこいつにかないっこない。なにせ真実がここにある以上、どんなに立村が霧島をかばっても無駄だ。乙彦ができることはできる限り霧島の傷が少なく、かつこれ以上迷惑をかけないように手助けするくらいだ。そのくらいならもちろん、全力尽くしてみせる。


「そっか、じゃあ私から質問ふっかけてよし?」

 古川がひょいと手を挙げた。羽飛が親指立てて了承の合図を送った。


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