リーデル
「マリア。気をつけて行ってくるのよ」
おばさまの言葉を背中で聞きながら、私は家を後にした。
おばさま曰く、ローゼンベルク家の屋敷は南の街の方にあるらしい。徒歩なら一時間半ほど。
まずは街を目指そう。
街の名前は『リーデル』という。
アイシャ・ローゼンベルクが通う学園都市の隣街だ。
リーデルを目指して私は早歩きする。少しでも早く着きたくて。
喉が渇いても水を飲まず、足が疲れても休憩はしなかった。
自分を気遣う余裕なんてなかった。私の頭の中にはギロチンの刃がずっと光っている。
◇
無事に街に着いたが肝心のローゼンベルク家の住所が分からない。
ゲームでリーデルはたまに登場してたが、一枚絵しか見たことがないので具体的な場所が分からない。
つまり、土地勘が全く無いのだ。
私は辺りを見渡して貴族が住んでそうな豪華な屋敷を探す。ゲームでは確か赤っぽい装飾が施されていた気がする。
しかし、どの建物も立派で貴族が住んでいそうだ。
――こうなったら聞くしかない。
私は武装をした青年を見つけ、その人に聞いてみることにした。
「あの! すみません!」
その人はゆっくりと振り向く。私は思わず固まってしまう。
「はい。何でしょうか?」
この顔を私は知っている。
攻略対象の一人であるロイド・グランツ。
本作のヒロインの幼馴染であり、騎士団長の一人息子だ。




