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転生
目が覚めたら少女になっていた。
緑色の瞳。 泣き腫らしたように赤い目元。寝癖がついた赤髪は長くうねっている。
私はこの顔を知っている。私がやっていた大好きな乙女ゲーム『月下の花』で登場する悪役令嬢の顔だ。
鏡に映る私はぺたぺたとほっぺを触ったり、つねったりする。
「痛っ…夢じゃない…」
私…小柳奈津は乙女ゲームの悪役令嬢に転生した。
そう思った。
そう思ったのだが――。
貴族の家にしてはボロボロだ。
私は辺りを見渡す。するとゴミ箱から上品な破れた手紙がはみ出していた。
それを手に取り、机に置く。
その手紙には悪役令嬢の家系のハンコが押されている。
私は好奇心に釣られて組み立てて内容を確認した。
手紙の宛名には『マリア・エーベル』と書かれている。
誰? 悪役令嬢の名前じゃない。彼女の名前はアイシャ・ローゼンベルクだ。
手紙の内容は
『拝啓。マリア・エーベル。突然ですが、貴殿には我が娘アイシャ・ローゼンベルクに何かあった場合身代わりになっていただきます。有事の際は契約に基づき代役の義務を果たしなさい。敬具』
手が震える。私が知ってる限り、アイシャは処刑エンドしかない。つまり、このままでは私は……確実に身代わりにされて死ぬ。




