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結婚式なのに種族?

 種族も色々とあります。

 つまり行われる式も多種多様です。

 思い出に残ることをしたいですね。

(……どの儀式にしましょうか?)


 周囲が固まっているので、少しだけ静かです。


「って、ルリさん!」

「……どうしました?」


 最初に動いたのはシエラさんでした。

 声は今まで聞いたことがない高い声でしたね。


「今、この身を懸けましてって言ったよね!?」

「……言いましたけど?」


 また、静かになってしまいました。

 危険などはありませんけど?え、言い方ですか?


「危ないことじゃないのね?」


 セシリーの怒り気味の声が聞こえました。

 どうしてでしょう?振り返るのが怖いです……。


「二人とも、落ち着け。ルリアルカさん、説明してくれないかね?」

「……はい」


 私の身に危険が及ぶと思ったみたいですね。

 危なくないと伝えても伝わらないでしょうし困りました。

 理由は簡単です。私しか知らないからということです。


「……あの、ルリアルカさん」


 サラさんが恐る恐る声を掛けてきました。

 怖いことなんてないのですけど。


「儀式というのは、ルリアルカさんに危険はないんですよね?」

「……微塵もありません」

「それはよかった……」


 サラさん、心底安心したという表情をされても困ります……。


「安心して説明を聞けそうです」


 笑顔で言われました。


「……私、そこまで信用されてないのですか?」

「「信用はしてるけど、心配かけすぎ!」」


 はもったセシリーとシエラさんに怒られました。

 泣きますよ!本当にもう!




「……では、説明しますね」


 ギルドマスター室で皆さんが椅子に座ったのを見て言いました。


「……この儀式は種族ごとにあったものなのです。なので先ほど、人、魔、神、精霊、竜のどれが良いかと聞いたのですよ」

「ねぇ、ルリ。それって、説明通りだと人以外、意味がない気がするんだけど?私たちは人族だし」

「……大丈夫です。儀式の形が違うというだけであって、種族は関係ないと思って問題ありません」

「んー……」


 シエラさんが腕を組みながら、考えていました。


「ルリさん、子供が今日宿るって言ったよね?それって、この儀式と関係あるってことでいいんだよね?」

「……はい」

「それってその……子供に影響はないのかな……?」


 真っ赤になったシエラさんの質問がきました。

 子供に影響ですか。


「……儀式によって、少し効果はありますね。忘れてました」

「ちょっと待ってくださいよ!?」


 大慌てしたのはサラさんでした。


「それって、ルリアルカさんが危ないのじゃなくて、私たちの方が危なくないですか!?」

「……全くありませんよ?」

「しかし、影響はあると?」


 グエンさんまで反応してますね。

 例えがあるといいのでしょうか?


「……儀式で祝福されますから、少しぐらい恩恵はありますね。でも、気が付かないぐらいのものと考えて大丈夫です」


 普通よりも少し元気な子が生まれるぐらいですから。

 運がいいとかもあるみたいですが、本人以外わかりませんから比べられません。


「……まぁ、忘れられない夜になるとは思いますけど」

「「「「「………」」」」」


 今までの会話に混ざっていなかった、ウェイスさんまで固まってしまいました。


「えっと、ルリアルカさん、今更という感じがして仕方がないのですが……私たちは今日新婚になるんですよ」

「……おめでたいですよね」

「そこは素直に嬉しいですけど、夜のことまで決まってるというのが……」

「……サラさんは嫌なのですか?」

「嫌じゃないですけど……何ですか、この恥ずかしいとしか言えない会話!?グエンまで目を逸らしながら赤くならないでよ!」

「……ああ、今夜のことは大丈夫です。静かなものです。誰にも聞こえませんから、遠慮などいらないと思います」

「……ルリアルカさん、そこは恥じらいを持った方がいい。私もシエラがいる手前、発言的に困る。実の娘にそんな風に言われると、しばらく立ち直れそうにない……」

「お父さん!?」


 さらに言い方がまずかったのでしょうか?

 何とも言えない雰囲気です。


「……儀式の恩恵みたいなものです。どれだけ騒いでも、お二人にしか音が届きませんから」


 爆弾が投下された上に誘爆?

 そんな酷いこと言ってませんよ!


「ルリ、言い方……」


 セシリーが顔を隠すように両肘を机に置いて俯きました。

 間違った言い方はしてないですけど、何かあるのでしょうか?


「そうか、ルリアルカさんは島で育っているのを忘れていた……。そういう恩恵というのが付随されるのか。……本当に色々と調べないとダメだなこれは」


 ウェイスさんは納得していたようです。


「……私と皆さんの認識が違うのでしょうか?」

「そう思って間違いはないと思う。これから気を付ければいいことだ。シエラも赤くなって止まってないでよく聞いておくように。…………まだまだ先でいいか」

「……お父さん、蹴り飛ばしてもいいかな?私、恥ずかしいの我慢してるんだけど?」


 シエラさんとウェイスさんの言い合いが始まりました。

 親子仲がいいですよね。


「……まとめまして、お二人には忘れられない幸せな夜がくるということです」

「「言い方!」」


 またもや、はもって怒られました。




「……儀式の種類の説明に移りましょうか」


 私がそう言うと。


「私とグエンの結婚式って大事になっているとしか思えない……」

「祝ってもらえるのは素直に嬉しいです」


 幸せな家族ができるのはいいことだと思いますよ?


「……こほん。人族の儀式は今と形は変わりません。司祭が祝う言葉に意味があるだけです。なので、今回の儀式において、人は無しです」

「静かな内容になると思ったことが、最初からなかったことに!?」


 サラさんの叫び声が部屋に響きました。

 皆さんも残念そうな顔をしないでください!


「……お二人が幸せになるのを祝ってはダメですか?」

「いえ、そういうわけでは……」

「……では、次の説明にいきますね」

「「ああ……」」


 グエンさんとサラさんが揃ってうなだれました。


「ルリ、家族という言葉に全力になりすぎてるわ……」

「ルリさんが止まらない……」

「騒動にはなりそうだが、悪いことではない」


 セシリー達の言葉は流します。

 幸せを願って悪いことはありませんよ、もー!



 説明が長くなりそうなので、語り継がれていることを言いましょう。


『魔族の儀式とは即ち、血の混血である。互いの血を混ぜ、己のものにせよ』

 物騒に聞こえますが、そうではありません。

 魔族は本来、血族を大切にする種族なので、この相手と思う方にしか血を混ぜるわけにはいかないのです。お互いの血を混ぜた物で誓約書を作り………あれ?考えると少し物騒ですね。


 次にいきます。こほん。


『神族の儀式とは語り継がれるよう、誠実なものであれ』

 家族である二人はもちろん、友人たちからも祝われるものですね。

 人族の儀式ですが、実は神族の儀式を模倣したもの、とも言われています。

 また、結ばれる二人の先達、血族の頂点の人が司祭を務めていたりする、由緒正しいものです。


『精霊の儀式とは種族の繁栄のためにあれ』

 自分たちのことしか考えていないように思われますが、精霊が一番、子が宿りません。

 そういうこともあり、このような言葉になります。

 他種族と比べても、子供が大切にされます。


『竜族の儀式……己の全てを掛け、幸せを手に入れる』

 竜族は強さが地位に結び付くことが多々あるのです。

 夫婦となる二人が殴り合いの喧嘩で立場を決めるのですよ。妻となる人が勝つと、夫は肩身が狭いと言われていた気がしますね。……人族でもよくある話ですよねこれ?



「……まぁ、難しく考えなくて大丈夫です」

「難しいですよ!?」

「当事者になると結構、大変ですね……」


 サラさんとグエンさんは慌ててます。


「知らない内容とは言え、種族で変わるのね……」

「儀式ってやっぱり、怖い気がする……」

「記録係が必要かもしれん……」


 こちらはまた違う意見でした。


「……では、ウェイスさんとグエンさんは下で会場作りのお手伝いに行ってください」

「そういえば、様子を見ていないな」

「私が聞いてはまずいのでしょうか?」


 ウェイスさんは席を立ちましたが、グエンさんは気になっているようでした。


「……聞いていてもいいですけど、居心地は悪いと思いますよ?女性にしかわからない話もしますから」

「私も手伝いに行きます!」


 グエンさんは直ぐに立ち上がり、部屋から出て行ったのでした。


「ルリアルカさん、あまりからかわないように」

「……事実ですよ。ウェイスさんは大人ですから、大丈夫ということですか?」

「……そのように思われたくないな。皆で話し合うように。良い式になりそうだし、多少の羽目には目を瞑る」

「……ありがとうございます」


 ウェイスさんも部屋を出ていきました。


「……では、男性がいなくなったので、言っていない話をしましょうか」


 私がそう言うと。


「やっぱり、隠し事があったのね……」


 セシリーは疲れ気味に。


「聞いて大丈夫な内容なのかな……」


 シエラさんは心配そうに。


「本当にうまくいくのかな……」


 サラさんは願っていました。


「……サラさんが当事者になりますが、セシリーもシエラさんも知っておいて損はないです」

「「嫌な予感しかしない……」」


 二人揃って、突っ伏しました。




「……今回の儀式は神族で行います」

「ルリ、それは本人たちに決めてもらわなくていいの?」


 セシリーから訊ねられました。


「……決めてもらっても大丈夫なのですが、無難な方ですよ?」

「ルリさん、人族抜いてるのに無難って怖すぎるよ……」

「本当に危険じゃないのよね?」

「……結婚ってこんなにも怖いことでしたっけ……」


 私以外、全員暗い顔をしています。

 説明もちゃんとしますよ!


「……怖いほうがお好みでしたら、魔族か竜族に変更しますけど?」

「それだけはやめてください!」


 サラさんが叫ぶ中。


「結婚したその日に離婚ね……」

「ギルド内最速離婚かもしれないね」


 セシリーとシエラさんは遠くを見ていました。


「そんな不名誉なものはいりませんよ!神族でお願いします!」

「……サラさんの意志確認、完了です」


 別に竜族でもいいのですけどね。

 女性の方が優位というのもありますから。


「はめられました!?」

「……忘れられない、神聖な夜の記憶が得られますね。それもまた良い思い出となりますから」

「釈然としません……」

「……では、男性がいない間に説明していなかったことをいいますね」


 説明を始めてからしばらくすると、セシリーは机に突っ伏し、シエラさんは机をバンバンと叩き、サラさんは固まっていました。

 受け取り方は各自の自由ですから。




「……では、私も準備をしないとですね」


 私は人族です。儀式はその種族が行います。

 ですから。

 目を閉じ、静かに息を吸い。


「……種族解放」


 私は自分の血に宿る力を解放します。

 これは魔法ではありませんから、自由に使えますよ?

 私だけが使える能力です。家族の血を得ている、私だけの大切な力です。


「久々に使いました」


 目を開けた時、壁にかかっている鏡を見つけたので、覗き込みます。


(金色の髪、アルシェの髪の色と同じです)


 今はいない、懐かしい家族の面影が少し現れます。

 私自身の気配も人族のものから、神族のものへと切り替わります。

 少し、神聖なものになりますからね。


「違和感はありませんね。翼も……」


 背に翼を出現させ広げます。

 綺麗な純白の翼です。


「大好きです。アルシェ……」


 思わず、家族の名前を出してしまいました。


「ルリよね……?」


 ふと、セシリーから動揺したような声が聞こえました。


「はい」

「ちょ、ちょっとまって!?」


 シエラさんは大慌てです。


「いきなり、ルリさんの髪の色が金色になって、翼を広げたと思ったら急に気配も変わって!しかも、神々しい雰囲気も急に纏だしたから怖いよ!?」

「怖いは酷いです……」

「だって!セシリーもそう思うよね!?サラも!?」

「……確かに驚いたわよ。ルリが色々とあり得ないことをするのはわかっていたつもりだけど、これは予想できないわ。しかも種族解放って、他にも色々ありすぎて考えると頭が痛くなってきた……」

「私はどうすればいいのかわかりません……」


 そのような反応されても困ります。

 私は儀式を行うためにしているのですから。


「ねぇ、ルリ」

「なんですか?」

「今のは『種族解放』って言ったわよね?」

「はい。今の私は種族も神族に変わっていると思います」

「……ほかの種族にもなれるのよね?」

「なれますよ?」


 私の簡単な返答に対して。


「二人とも、本当に神族で良かったと思うわよね……」

「そうだね……。説明聞いていただけだと実感がなかったけど、魔族にもなれると思うし……」

「あの、竜族なんて伝承の種族な気がするのですけど……?」


 このように言われるのでした。


「?」


 皆さんが騒いでいる中、ドアがノックされた音がしました。


「入っていいかね?」


 声はウェイスさんでした。

 ギルドマスターの部屋なのですから、自由に入っていい気もします。

 女性だけになったので、気を使ってくれたのですね。


「大丈夫ですよ」

「ありがとう」


 ドアを開け部屋の中に入り、後ろ手に閉め、私を見た瞬間。


「神よ……」


 と、ウェイスさんが跪いたのでした。


「ウェイスさん、さすがにそれは言い過ぎですよ」


 思わず、笑みがこぼれます。


「すまない、つい……」


 ウェイスさんが立ち上がりました。


「だが、完全に上位の神族と同じ気配がするな……。神というのも間違いではない」

「家族はそうだったかもしれませんね。神託というのを受けたり、出したりしていたと聞いたことがあります」

「それは完全に神だ……」


 ウェイスさんが顔を手で覆いました。


「お父さん、これ大事になるの間違いないよね?」

「大事どころじゃない。本来なら世界中の国賓が着てもおかしくない出来事だ……」

「ルリは本当に予想を吹き飛ばしてくれるわね……」

「あの、私は普通が……」


 皆さんが次々に言いますが。


「神族で行うのは変わりません。さぁ、大切な結婚式を始めますよ」


 順番は簡単なことです。

 新郎と新婦はウェイスさんたちが整えた場に先に行ってもらいます。

 おめでたい場ですから、皆さんから沢山のお祝いを言われるでしょう。

 神族の儀式での祝いの言葉はまとめると『歌』のようなものになります。

 家族になる二人を祝う祝福の歌。

 それを心を込めて言うことが、大切なのです。


「あ……」


 ふと、思ったことがありました。


「今のままの服で良いのでしょうか?」


 私の今の服装は言わば、普段着と変わりません。

 アルシェの様に神託を出す時のような豪華なものは持っていないのですよ。


「ルリ、それ以上は止めて……」

「私もそのままの服でいいと思うよ……」


 セシリーとシエラさんがため息を吐きました。


「さすがに神族の服はギルドにもないな……」

「お願いですから、これ以上は派手にしないでください!」


 ウェイスさんよりも、サラさんの必死な声が聞こえました。


「残念ですけど、このままですね」

「「普段なら残念だけど、今はそのままでいて!」」

「えぇ……」


 セシリーとシエラさんの声は綺麗にはもってました。




 大切な思い出となり、大切な人と巡り会え、幸せを得る

 それは素晴らしいことであり、周囲にも幸せをもたらす

 

 この式は大切なものです。

 皆さんの記憶に残りますよう、私は行います。

 ものすごく久々の更新となりました。

 ニュースを見ていると一日が終わるという日もありましたので。



 ついに結婚式が行われます。

 レティアのお迎えはさらに延長されます(間違いなく怒りそうです)。




 次回の更新は書き終わり次第となります。

 もう少し早く更新したいですね。

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