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気まぐれセカンドライフ  作者: 誰かの何か
第4章 勇者が来るみたいだよ?
51/78

45 なんか、らしくなってきました

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 このお知らせのせいで書いていた原稿が3回吹っ飛びました。私は保存をしないで書き上げちゃう人なので、毎回最初から…

 まあ、保存しない私が悪いって言ったらそれまでですが。


 とまあ、これが今回遅れた理由です。申し訳ありませんでした。


「~~~~~という事なんです。サナトスさん、あなたの力を貸してください」

 前話から1日経った今日、俺はヴェルに転移魔法を教わってレーテルンに飛んだ。

 んでもって、サナトスのいる城に行って勇者について話して助けを求めたのが今の状況。

「あぁ、そんな事。全然いいよ」

 目を見開いて意外そうな顔をした後、あっさり快諾したサナトス。骸骨だから本当に目を見開いたかはよく分からんがな。

「え?あの、そんな簡単に決めちゃっていいんですか?」

「何で?なんかまずかった?」

「その、俺がこんな事言うのも可笑しいんですけど、魔王に組するって事は国としてまずいんじゃないですか?」

「あぁ、そういう事か。大丈夫だよ、この国には勇者は来ないから」

「何でですか?」

 小さい国ではないし、勇者が来ない理由なんて…

「レーテルンの国民は魔物って認識なんだよ。特にバーラン共和国からの偏見は酷くてね、魔国なんて呼ばれてる」

 そう言ったサナトスからは怒りが感じられた。

 確かに自分の国が魔国扱いなんて嫌だわな。怒るのも頷けるか?

「すみません、言いたくないこと言わせてしまって」

「いやいや、そのおかげでジュンの手伝いが出来ると思えばやすいものだよ」 

 カラカラと骨を鳴らして笑う(?)サナトス。皮膚とか筋肉が如何に表情を作る上で大切か学んだ瞬間でした、はい。

「ありがとうございます。それで、計画なんですが…」



「よ~し、勇者討伐(笑)に向けて頑張るぞ~」

「「・・・ぉ~」」

 ここはレーテルンの端っこ、最北端の地《忘却の都市》って呼ばれてるらしい城と朽ち果てた家が並ぶ寂しい土地だ。そこで勇者を返り討ちにするべく、気合いを入れようとしたのだが…

 何かめっちゃ小さい声でやる気なく返された。もう1人の助っ人、プロミネントギルダー第7位魔天剣クラウに至っては返事すらしてくれない。

「はあ、まあいいや。この城を俺たちの本拠地とするわけだが、今から各々の配置を発表します」

「何でてめぇの言う通りにしなきゃいけないんだよ。俺は俺より弱ぇ奴には従わねえんだよ」

 はあ、まったく…

「相手の力量も計れないような奴が調子に乗ると……命を落とすぜ?」

 俺は転移魔法を使い一瞬でクラウとの間合いを詰め、魔剣オルギヌスを首筋に突きつける。

「じょ、上等だ。ちょっくら勝負といこうぜ」

 そう言うと何処からともなく剣を出現させ、オルギヌスを首筋から払いのける。

「あまり時間は無いんだけどな。ヴェル、サナトスさん、少し待っててください」

「いいよ、サッサと終わらしちゃってね?おにいさん」

「うん、でも殺しは無しだよ?」

 と、それぞれ了承の意を返した。

 分かってます。と言って俺は再びクラウに向き直る。

「んじゃ、いくぞ」

 と開戦の合図をする俺。

「サッサと来いよ」

 やれやれ、余裕だね~。

「手始めに、ナイトイリュージョン!」

 目に見えない位小さい黒い魔力を飛ばし、それを吸い込んだ者の脳に作用し、自分の意思とは全く違う行動をとる(右足を動かそうとすると左手が動いたり、もっと言うと右手首を動かそうとすると右目が動いたりと、とにかくあらゆる神経があべこべ)。

「~、!?~、!~」

 何か言いたそうだが口を動かせないので喋れていない。

「はい、チェックメイトっと」

 さっきと同じように首筋にオルギヌスを突きつける。

 俺は勝負ありと見て、オルギヌスを離し、クラウの体内の黒い魔力を取り除く事で神経を元に戻す。


「こ、こんな負け方、認めねぇぞ!」

 真っ赤な眼球を見開いて抗議するクラウ。

「いやいや、今のでお前は死んでたぞ。どう考えたってお前の負けだ」

 まったく、諦めの悪い奴め。

「負けは…認める。だがな、俺が言ってるのはこんな無様な負け方があるかって事だ。俺の攻撃を1発でいい、受け止めてみてくれないか?どうか、頼む」

 そう言うと、頭を下げてきた。

 そんな事されたら、

「いいぜ、1番強いのでこいよ」

 断れるわけ無いだろ?

「いや、1番と2番は訳あって出来ない。だから3番目に強い攻撃をさせてもらう」

「ああ、いつでもOKだ」

「天を統べる龍の紋章、ナチ・クラウン!」

 空が銀色に輝き、いや、あれは無数の剣か。無数の剣が俺に向かって高速で降ってきた。ご丁寧に防御無視の魔法まで付加してやがる。

「本当なら避けるのが得策なんだろうが、受けきってやるか」

 普通の魔法はマジックキャンセルで無効化されるしな、特別魔法しかないか。

「黒の空洞……」

 右手を天に掲げて呟く。

「総て虚無へと帰さん……ブラックホール」

 出来るだけ静かに、そして厳かに言う。

 詠唱(詠唱なんていらないんだけどな)を終えると同時に、俺の手のひらから黒い球体、というより超重力場が周囲の光と共にナチ・クラウンとやらを吸い寄せる。

 ちゃんと対象を指定してあるから周りの被害は皆無だぞ?

「満足したか?」

 クラウに歩み寄りながら問いかける。

「ああ、お前は俺より強ぇ。これが実戦だったら既に無い命だ。好きに使ってくれ」

 座り込んで負けを認めるクラウ。うん、素直でよろしい。

「んじゃ、これからよろしくな。あと、命を落とさせるような事は絶対にさせないから安心しろ」

 右手をクラウに向けて差し出す。

「まったく、甘いこった」

 クラウも右手を伸ばし、俺の手をつかむ。


「青春してるね~、おにいさん方」

「まったくだよ。若いっていいね~、オジサンも混ぜてくんない?」

 俺たちが手を握りあった事で一段落と見たのか、今まで空気だった2人が茶化してきた。

「チッ、そんなんじゃねぇよ。サッサとそれぞれの配置を言って作戦を考えやがれ」

 ほら~、恥ずかしがって俺に当たってきたじゃねぇか。ま、時間がないからごもっともな意見だけどさ。

「じゃ、ご希望通りに…まず配置だが、基本的に勇者パーティ1人につき俺たち魔王パーティー1人の体制でいこうと思う。勇者パーティにはプロミネントギルダー第2位と第10位がいるって情報だ。第2位をサナトスさんにお願いしようと思うんですがいいですか?」

 俺はサナトスの方を向きお願い、いや、確認をする。第2位に勝てるのは第1位だからな。

「ま、しょうがないね~」

 腕を組んでウンウンと頷いている。骨の姿でそれをされると居眠りしてるようにも見えるんだが。

「ありがとうございます。それで、より確実に第2位とぶつかるように比較的城の入り口付近に居てもらいます。城の見取り図でいうとここですね」

 と、城1階の広間を指差す。

「作戦は後で個別に言うので、とりあえず次いきます。次に勇者パーティに立ちはだかってもらうのはクラウだ」

 意外な所で名前が出たからか、一瞬呆けてその後すぐに

「何で俺なんだよ。確かに第10位は格下の相手だが俺よりも第3位のコイツの方が安全じゃないか?」

 と、ヴェルを指差しながら抗議の声をあげる。

「勇者パーティの最後の1人は誰だか全く分からない。普通の人かもしれないし、ギルドに入っていないだけで本当ならプロミネントギルダー入りしていてもおかしくないような人かもしれない。そういった不確定要素があるからより確実なヴェルを残しとくってわけだ。第10位とは相性が悪いとかじゃないんだろ?」

 残りの1人が滅茶苦茶強い可能性なんてまずないから万が一の保険ってだけだけどな。

「俺と守砦壁の相性か?むしろ俺が有利なくらい相性は最高だぜ」

 と、獰猛な笑みを隠そうともせずに言うクラウ。頼もしいね~。

「それは良かった。んで、配置だが、サナトスさんの戦闘の邪魔にならないように少し離れたここら辺で待機」

 城の見取り図の空中回廊と呼ばれるやたらと大きい橋を指差す。

「問題ない。屋外なら俺も全力で戦える」

 そう言うと見取り図から顔を上げて城の方を見た。

 自分が戦う場所を遠巻きながらも実際に見てみて確認しているのか?

「最後はヴェルだが、ヴェルにはさっきも言った通り素性がよく分かっていない残りの1人を担当してもらう。どれだけの力量なのか、どんな能力なのか、さっぱり分からないからな。警戒しとけよ?」

 作戦を立てる上で不確定要素ほど怖いものはないからな。

「分かってるって~、で?あたしは何処に居ればいいの?」

 翌日に遠足をひかえた小学生みたいな顔でこちらを真っ直ぐ見てくる。何でそんなにワクワクしてんだよ。

「ヴェルの担当はここだ。戦いにくいようだったらこっちに移動しても良いぞ?」

 俺が指差したのは4階にある広間とそこに面した中庭。ヴェルの能力を俺は知らないからな、屋内外どちらでも戦える場所を選んだ。

「オッケーオッケー、頑張っちゃうよ~」

 一応お前は魔王に操られてるみたいな設定なんだが…ま、後で言っとくか。


「さて、これで一通り終わったな。じゃ、それぞれ配置に付いてくれ。そこで俺が作戦を伝えるから」

 そう言ってとりあえず解散させた。


 その後は各々に作戦を伝え、城の見取り図の複製を渡しておき、ピンチになったなどの異常事態が起きた時の合図を取り決め、会議は終了となった。


次回予告


潤「次回は諸々をすっ飛ばして勇者来襲って事で。そういや次回は誰の視点で話が進むんだろうか…」

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