たまには、真面目に
これを書き上げるのに2時間も掛かりました…しかも大して面白くも無いです。
はぁ、待ってくれていた皆様には本当に申し訳が立ちません。
『こんばんは、コンビニホライズンで出会った者です。名前はカトレアと申します。よろしくお願いします』
ん?これか?これはさっき携帯に来たメールの内容だ。
ふ~ん、メイドさんの言うとおり、このお嬢さんはカトレアっていうのか。
『こんばんは、俺はジュンといいます。こちらこそよろしく。今回は食事の件でメールを?』
なるべくフレンドリーに、しかし礼儀をわきまえる。これがポイント。何のポイントだかは言わないがな。
『はい、外食の許可がおりたので。日時はいつに致しますか?』
外食をするのに許可が必要って、厳しい家なのか?まあ、大貴族だしな、色々あるんだろ。
『明日にでもいかがでしょうか。お店は俺が選んでおきます』
男がエスコートするのはこの世界でも通じるのか少し心配だが、まあ、大丈夫だろ。
『ありがとうございます。私の方は大丈夫です。では明日にお食事という事でよろしいですか?』
まあ、俺が言った事だしな。
『よろしくお願いします。では詳しい日時と場所が決まり次第、再度連絡させていただきます』
『お会いするのを楽しみです』
『俺もです。それでは、また連絡します』
てな感じでメールを切り上げて、店探しに移行する。
そういえば、今日の夕食が終わった後にメイドさんから話があったんだが、店探しをインターネットでする間に話しちゃうか。
メイドさんが言うには、ハリンテの政は幾つかの派閥によって構成されているらしい。ありがちな設定だな。
んで、派閥は主に3つあって、女王や騎士たちで構成されている女王派、大臣やその他貴族によって構成されている貴族派、最も数の多い市民議員を含む市民派だそうだ。あ、この店の料理おいしそう。
アイシス家ってのはメイドさんの言った通り大貴族で、もちろん貴族派だ。
そんな中にどこの派閥にも所属してない俺が現れ、少しでも人数を増やして優位に立とうとみんな躍起になってるらしい。まあ、女王と親しいから女王派と捉えて諦めてる人もいるみたいだがな。
メイドさんは俺が唆されて貴族派になることを恐れてるらしい。まあ、メイドさんは俺が魔王(笑)である事を知ってるみたいだし、色々考えてるんだろうなぁ、俺は何もする気はないけど。
おっ、この店がいいかな?高級レストランってやつだ。偏見かもしれないが、貴族ならそこら辺の料理なんて口に合わなさそうだからな。ハリンテ城から徒歩3分、雰囲気も良さそうだ。ネット予約は…出来そうだな。はい、予約っと。
『レストランが決まりました。ハリンガル内のお店なので中央広場のオブジェクト前に5時に集合でいかがでしょう?』
今は夜の8時30分、まだ寝てはいないだろ。
『はい、分かりました。ではまた明日、よろしくお願いします。おやすみなさい』
ほらな、ちゃんと返ってきた。20秒位で返ってきたけど、滅茶苦茶打つの速いんだな…
『おやすみなさい』
もう返信は来ないだろ、とパタンと携帯を閉じてテーブルに放る。ちゃんと魔力でクッションをおいたから大丈夫だぜ?ファンタジーな世界は便利だな。
時は経って次の日の4時ちょい過ぎ、え?時間が経つのが早すぎないかって?う、うん、まあな。聞かないでやってくれ。
「セレン~?ちょっといいか?」
最近小説内では出てこないが、ちゃんと会ってるから安心しろよ?この前も一緒に買い物に行ってだな…っと、この話はまたの機会にしよう。セレンが部屋から出てきた。
「ジュン?どうしたのよ」
この前とは違い普通に出てきたセレン。って、この前を知らないんだっけか?しょうがない、今度そん時の話をするか。
「ちょっと外に出てくる。夕食には間に合いそうにないからそのつもりでって事を言いにな」
「私に言わないでメイドさんに言うことだと思うけど…分かった、メイドさんにも伝えとく。あと、」
そこでセレンは一旦言葉を切った。
「ん?どうした?」
「また誰か女の子とでしょ…」
怒り、悲しみ、不安、呆れ、様々な負の感情が見てとれる。暗黒面に支配されてはならぬぞ、セレンよ。
「ま、まあ、その、な?」
「私がどんな気持ちで……………」
何か言ってるが小さくて良く聞こえない。
「この埋め合わせは必ず、な?」
セレンの頭にポンと手を乗せ、その場を離れる。セレンには悪いが時間が無いもんでな。
現在4時30分、俺は中央広場のオブジェクト前にいる。30分前行動の俺に抜かりはないぜ。
「お待たせしました」
俺が睡魔に襲われうつらうつらしていた時に、コンビニで出会ったお嬢さん、カトレアが声をかけてきた。
「いやいや、俺もさっき来たのでそれほど待ちませんでしたよ」
と、お決まりの科白を言う俺。
「ふふっ、先ほどまで眠そうにしていた人とは思えない科白ですね」
「い、いや、それは、今日の日差しがポカポカと気持ちいい陽気で」
別に待ってた事がバレても問題はないのに必死に取り繕う俺。
「今日は今年1番の冷え込みだそうですよ?」
「ははははは…ちょっと街を歩いてから食事にしませんか?」
って事で話題チェンジ。
まず訪れたのは服屋だ。定番だろ?
「へぇ~、色々な服があるんですね」
「カトレアさんは服屋にはあまり来ないんですか?」
「はい、いつも着ている服は家のメイドさんが選んでくれるので」
「そうでしたか」
貴族ってのも大変なんだな。
その後、この服は似合うか、こっちはどうかと、散々俺を使ったお姫様(いや、貴族だからお嬢様か?)。
毎回思うが、どうして女性は買う気のない服を長々と選ぶのだろうか、まあ、結果的には俺がプレゼントとして買ってあげるんだけどな…ま、まさかそれを狙っているのか!?恐るべし女の子。
と、そんな適当な事を考えているうちにカトレアが服を見終えたようだ。
「お待たせいたしました」
「いいですよ、で、何かいい服は見つかりました?」
「はい、どれも可愛らしいのですが、特にこの服が気に入りました」
そう言って俺に見せたのは水色のワンピース。この真冬に随分涼しげだな…
「そうですか、んじゃ記念として買ってあげますよ」
「え?でもそんな…」
カトレアの声を背中に浴びながら会計を済ませる。
「どうぞ、受け取ってください」
と、ワンピースの入った袋を渡す。
「あの、本当にいいんですか?」
袋と俺とを交互に見て少し困惑気味なカトレア。
「それじゃあ、代わりにと言ってはなんですが、今度そのワンピースを着た姿を見せてください」
「は、はい、それでいいのでしたら」
と、何とか納得してくれたみたいだ。
服屋を出ると、辺りはすっかり暗くなっていた。この世界でも冬は日が暮れるのが早いんだな。まあ、当たり前か。
因みに近くの時計台を見ると、時計は6時45分を指していた。予約を入れたのが7時だから余裕だな。というよりも服屋に何時間も居たことが驚きなんだが…
「レストランには7時に予約を入れてありますので、そろそろ向かいましょう」
「はい、分かりました」
そう言って俺たちはレストランへと歩いていった。
次回予告
潤「よし、今のところは失敗無しにきてるぞ、あとは食事を乗り越えればゴールだ。って事で次回は食事風景をご覧あれ」