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「……なんか、ここ数日天羽さんの様子が変なんだよ」
「そんなわけないよ。もしそう見えるのならそれはお兄ちゃんの目と頭と顔が変なんだよ」
「いま顔のこと言う必要あった? いや、まぁ気持ちは分からんでもないけど」
絶対に必要のない侮辱に心を傷つけられながら、相も変わらず凄まじい天羽天音への信頼感に恐れ戦く。
別に遥だけに限った話ではない。きっと同じような話題を持ちかけたらほとんどが同じような反応を返すだろう。それほどに天羽さんは完璧を期待されている。決して完璧ではないのに。
完璧でないからこそ、今の彼女はどう見たっておかしい。
完璧だと期待しているからこそ、どう見たって様子のおかしい彼女の姿に誰も違和感を覚えない。
「……ん?」
あまり健全な状態ではないなと改めて思っていると傍らに置いた携帯から通知音が響いた。
体を傾けて画面を覗き込む。
『いま、話せる?』
天羽さんからのチャットだった。
時計に目をやると23時を回ったところだった。天羽さんがそんな時間にチャットをよこした。
「……遥、悪いんだけど通話するから出てってくんない?」
「えー、誰と? もしかして天音さん? だったら私も──」
「悪い。今度にして」
「…………はーい」
そういや結局探してたマンガのことは何も解決してないけどいいんだろうか。
閉まる扉にふとそれが頭をよぎったがまぁそんな急ぎの話でもないだろう。
それよりも、今はこっちだ。
チャットアプリの通話ボタンに指を置く。
数コールの機械音のあと、よく知った声が耳に入った。
「……もしもし」
「珍しいですね。天羽さんから電話なんて。どうかしたんですか?」
「うん。あのさ……ちょっと考えたんだけど……」
「はい」
「明日から付き合うことにしない?」




