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なんかちょっと思ってたのとは違うけど、とりあえずリンゴゼリーをコンビニで仕入れて教えられた住所へと向かう。
やけに立派な一軒家があるなと思っていたらそこが指定の住所だった。
「こんなのうちとか小屋じゃん……」
経済格差に慄きつつインターホンを押すとしばらくしてガチャリと扉が開かれる。
柔らかな色合いの薄手のハイネックニットに足元まで覆い隠すロングスカート、柔らかなアイボリーのカーディガンを羽織った天羽さんがそこには居た。
その姿は普段の制服姿や夏場の私服ともまた違って見てはいけないものを見ているような錯覚を覚えさせる。
「……はい、これ。……じゃあ、お大事に」
なんだか居心地が悪い。
呼ばれたから来たわけで、決して何も悪いことなんてしていないはずなのに酷く居心地が悪い。
それも手伝って言い終える頃にはすでに体は天羽さんに背中を見せていた。
「……うん、ありがと(いや、なんで帰るの? 私の奴隷になって生涯尽くすって言ったのは嘘?)」
知らない記憶過ぎる。
言うこと聞くって言っただけなのに拡大解釈しすぎでしょ。
「…………あの。……すみません、ちょっとだけ休ませてもらってもいいですか?」
「もちろん! ゆっくりしていってね!(最初からそう言いなさいよ)」
ご家族は全員留守にされていたが当然色っぽいイベントなんてあるわけもなく、ただひたすらに無言の天羽さんの愚痴を聞かされるという学校でやってるのと変わらないイベントが始まったせいで早々に居心地の悪さは消し飛んだ。
というか女子の家に行くとかいう人生初イベントがひたすらに愚痴を聞かされるという残念過ぎるイベントで消化されたの冷静に考えて酷いと思う。




