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「天羽さん、委員長を任せてもいいかな?(毎年ここで揉めるって聞いてたけど、今年はラッキーだな。あの有名な天羽さんがいるなら委員長は決まったようなものだし)」
「……分かりました! 一緒に頑張ろうね、音無君!(手伝いなさい。あんたに拒否権はない)」
「…………はい」
放課後。
各クラスから集まった文実と生徒会、それから文化祭周りのことに投入された教師を交えての顔合わせを兼ねての打ち合わせ。
先の発言は各クラスの文実をまとめ上げる中心人物、文化祭実行委員長を決める話し合いの中で現役の生徒会長から天羽さんに投げかけられたものとその回答だ。
なんとなくそうなる気はしていたが、やはり彼女が委員長を務めることになるらしい。
そして、とても残念なことに俺はその小間使いとして文化祭期間中こき使われる運命にあるらしい。
「最高の文化祭にしようね!(何嫌そうな顔してんのよ。私だって嫌なんだから我慢しなさい)」
嫌なことに人巻き込んじゃダメじゃない?
「期待してるよ天羽さん、と……音無、君?(なんかよく分からんけどこの人が副委員長やるっぽいな。決める手間省けてラッキー)」
「はい、任せてください!(ねぇ、もしかして名前覚えられてないんじゃない? さっき自己紹介したわよね? 印象薄すぎない?)」
「…………頑張ります」
ほっとけ。
そんな一回紹介されたくらいじゃ人間の名前なんて本来覚えられないんだよ。
むしろ学年も違うのに最初っから存在を認知されてる天羽さんの方がこの場合はおかしいから。
「じゃあ、早速で悪いんだけどここからの進行役は二人に任せてもいいかな?」
「はい、もちろんです。(私は全員分の名前もクラスも覚えたけど?)」
そりゃ凄いね。相変わらずの変態スペックだ。
生徒会長と会話をしながらこちらの反論に心の声で反応を示す天羽さん。
前に出る彼女の背中を「絶対にこれ俺要らないよね」と思いながら追いかける。
なにしろこちとら他クラスの文実の名前どころか生徒会長の名前すら覚えていない。
もう天羽さん一人でよくないですか?




