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野巫の祭  作者: 凡栄
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野巫の祭 50

野巫の祭 50




扉を抜けて外へ出ると、むせるように緑とコンクリートの匂いがまとわりつく。

同時に灼熱の熱さ。


しかし足の動きは止めない。


広い敷地を足早に通り抜けて門を出て通りに出る。

信号が青だったので反対側へと渡り一瞬振り返り、追っては来てないことを確認して両大師橋へと向かって歩く。


歩きながら色々と考え、昨日から今日を思い返すと出来るだけ人混みや見渡せない場所は通りたくない。

そうすると、いつもなら両大師橋を渡ったところでジグザグに降りる非常階段のようなところを通るのだが、あそこは狭くて見通しが悪い。

このまま車道に沿って坂道を下りた方が道がまっすぐで前も後ろも見通しが良いだろう。

長い坂道は膝と足首に負担がかかるのでいつもは階段をゆっくり下るが、今日は今までとは違う。


はっきり


はっきりと相手がわかった。


いや、わかったとは言えないか。


誰なのか、何人いるのか。


私達が結婚した時から、あるいはそれ以前からかもしれないのだから世代が全く違う。

同じ人間ではありえない。

入れ替わりながらこちらを観察していたのか。


では何故?

今になって姿を現したのか?

今までは見ているだけで、その存在すら気がつかなかったのに。

何故?今なのだ。


そんなことを考えているうちに両大師橋を渡りきって坂と階段の別れ目まで来ていた。


何も考えずにいた時には思いもしなかったが、折返しが続く階段は誰かがいるかもしれないと見てみると、何と恐ろしい場所だろう。


けれど真っ直ぐ長い坂も見通しはいいが歩道は決して広くはない。

後ろから来られたらどうする。

仲間が前から来たらどうする。


暑さだけではない汗が顎へと流れ、焼けた路面へ落ちていく。


ええい!ままよ!


坂の方へと歩みはじめる。


坂の頂上が90度のカーブになっているので歩きながらでも後ろの確認はしやすい。


が、勢いをつけて下ってきてしまったせいか、坂の中程から膝がもういけない。

ガクガクしはじめた。

歩みをゆっくりにして様子を見ながら坂を下りていく。






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