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零ー45 仮面少女

なんだか説明感のある文になってしまいました。なんというか...躍動感が無いと言うのでしょうか。

それと、今のやつ(幻魔等の)が完結してないのに世界線が同じ作品の1話を書きました。最低でも水と闇の幻魔の話を書き終えないと今作は終わらないので投稿するのはまだまだ先ですが(土と光はできるだけ巻きますね)。

 

 俺達は"すぐに移動できるように"という事で、人目のない所では基本テントを張らず、1枚の布を敷いて寝ている。


 仮に盗人が来たとしても、リレンが土魔法で落とし穴を作っているので、魔力が見えない人はそこに落ちるのだとか。

 ただこの世界の人間の場合、そんな事はまずありえないことなのだか、どうやら今日は魔力の見えないらしい何かが引っかかったようだ。


 リレンの落とし穴は特殊で、落ちたものを閉じ込めるため、何かが落ちると再び穴が塞がるという完全に落ちた存在を窒息させようとしている構造だ。

 なので俺達は、今それを確認しようと、後で確認しようと、どうせ死んでるだろうし見なくていいよなという事で朝食を摂っていた。


 今日の朝食は、パンにジャムを塗った簡単な物だ。


「いい加減食べるの止めたらどうだ?」


 俺は既に食べ終わっているので武器の確認をしているのだが、リレンとアストの2人は競うように今も尚食べ続けている。

 現在、アストが18本目、リレンが15本目だ。


 何故本なのかというと、買ったパンがフランスパンのような丸い50センチ程の長めのパンだったからだ。綺麗に四角く揃えられたパンより、こっちの方が走りながらでも食べれそうで、何より安かったので大量に買った。


 数を揃えたいけど他の人の事も考えてそれは少し難しいかなと思っていた。何せ少し買ったところで2人がすぐに食べ終わってしまうからだ。けれど、それをお店の人に言うと次の日には大量に作ってくれていて、3日で600本近く用意してくれた。

 用意したパンを食べる2人を見て最初は凄いなーと思っていた俺は、100本切り始めた辺りで少し焦り始めていたりする。


 そんな俺の内心を知ってか知らずか、2人は次のパンを手に取り、互いに指を指して何とも子供らしいことを言った。


「リレンが食うのを止めたらなっ」

「アストが食べるのを止めたら、ですね」

「そうか……」


 まあ、蓄えがないことは無いからパンが無くなろうと飢えるわけじゃないからいいか。


「さて、それじゃあ罠にかかった何かを見てみるか。できれば食べれる物だったらいいんだけどな」


 俺は、リレンが起きた時に教えてくれた何かが落ちたであろう場所に向かって歩く。何が出るか分からないので、一応刀は鞘に入れたまま手に持っておく。


「リレン!」

「? ――退け」


 初めは何をするのか不思議そうにしていたリレン。なので俺は刀で地面を叩いた。


 それでリレンは俺の意図に気づいたのか、口に含んでいたパンを飲み込み、詞を口にすると、穴を塞いでいた土が徐々に無くなり始めた。


「さて、一体何が――」


 落ちたのか、そう口にしようとした俺は、蹲っているそれを見た瞬間、サーッと全身から血の気が失われるのを感じた。

 思わず刀を落としてしまい、その音に反応してリレンとアストは何事かと声を掛けてくるが、あまりの事に2人に言葉を返す事が出来ずにいた。顔だけ2人の方に向けると、口にパンを含んだまま不思議そうにこちらを見ているだけ。


「リレン、アスト! パンなんて食ってないでこの方の治療を――」

「回復役はルイさんではないですか」

「……今すぐ回復を」


 最悪、ミーシア様に借りを作ることになるとはいえ、連絡して助けてもらおうと考えながら魔力を手に集め、再び穴を覗き込んだ、が――。


「あれ、いな――」



「バァッ!」

「いぃぁぁぁぁぁ!?」


「…………」

「あれ?」



 △▽△▽△▽



「ありゃりゃ〜、この仮面はルイ君には少し刺激が強すぎたのかなぁ」


 仮面を付けた人物が片手で頭を掻きながら驚きのあまり気絶してしまった青年-ルイの頬を空いた片手でつついていた。


「と言っても、今回の仮面は唯のスケルトン風お化け仮面なんだけどな〜。ルイ君のお化けへの耐性の無さはこれからの課題だね」


 仮面で顔は分からず、けれど声は少し高めの透き通った少女の声。ルイ達3人の中では1番低い、とはいえ決して小さい方ではないリレンと同じ位の身長であり、腰まで伸びた長い黒髪は土の中にいたせいか若干汚れてしまっていた。着ている服は包丁や服、定規等といったかなり変わった装飾の施された赤と黒の袴、それは動きやすいようになのか幾らか短く改造されていた。


「うーん、待ってるのも暇だしこれでも飲ませ――」


 彼女はそこで言葉を区切り、何ともない風に体を少し後退させる。


 一拍遅れ、先程まで彼女のいた空間に音もなく緋色の閃光が走った。


「何するのさ?」


 顔を上げた少女の付ける仮面の目にゆらりとゆれる炎が灯る。


「何って、見てわからねぇのか?」

「貴方はルイさんに何を飲ませようとしたのですか?」

「分からないかなぁ、私は唯"幻影草"と"針降らし"を調合して作ったポーションを飲ませようとしただけだから」

「なんつーもん作ってやがる……」



 "幻影草"

 何処にでも群生している"命水"に使われる薬草によく似た草。ただ、幻影草には影が無い。少しの摂取でも強い幻覚を引き起こし、摂取し過ぎた場合には最悪死に至る事もある。


 "針降らし"

 触れただけで全身に激痛を数分間雨のようにもたらす事から針降らしと名付けられた毒花。別段触れただけで死に至る事はないが、服用してしまった場合、その激痛に精神が崩壊し始め、半日もすれば人として死んだも同然になる。


「そのような材料で作ったポーション、想像しただけで恐ろしいですね。勿論、そのポーションを作った貴方に対しても」


 リレンは魔力の循環を早め、いつでも魔法を放てるよう杖を構えた。同じようにアストも大剣を構える。視線は仮面少女から逸らさず、その足元にいるルイをどう奪還しようかと考えながら。


 先程、アストは目の前の仮面少女の首を切り飛ばす勢いで剣を薙いだ。けれど、結果はあっさり躱され、更には追撃をしようとしたが、何故か自分が後ろに下がっていた。

 これを踏まえるに、仮面少女は幻影、または精神に影響をもたらす魔法を使うものだとアストは考えた。自らが気付かないうちに仮面少女の術中にハマっていたのだと。

 けれど、後ろから「魔力がありません」と伝えられた事から、その考えは覆される事となった。


 "魔法は魔力を持っていなければ使えない"


 これは1部の例外を除いて確かな事だと証明されている。

 その例外はゴブリンやオーガといった鬼種。鬼種は体内の魔力生成と同時にその魔力を肉体の強化に回すため、体内に魔力が貯まる事は無いと言われている。また、鬼種以外の生物には少なかれ魔力が必ず存在する為、完全に魔力が無い生物というのは鬼種をおいて他にいない。

 それを初めて聞いた魔力を見る事が出来る人々は、魔力の無い鬼種は隠密に優れた種族と考える。けれど、鬼種は身体に魔力が常時纏っている状態の為、隠密とはほど遠い種族となる。


 ただし、目の前の相手は鬼種ではない。それで尚、魔力が無い。


「んじゃあ、俺には戦いやすい相手って事か?」

「そうかもしれませんね。ですが、魔力がないという事以外は何も見えませんでした。警戒は怠らないで下さい」

「んなもん分かってるっての」


 アストは、初めての魔法を警戒しなくていい人間との遭遇に瞳をギラつかせ笑みを浮かべてしまう。


 それを顔は見えはしないが、生まれた時から見てきた為、何となくアストがどんな顔をしているのかを後ろからでも感じ取れてしまうリレンはどこか呆れた様子でアスト頭に向けて氷の粒を1つ放つ。


「っ……地味に痛てぇんだからそれ止めろ」

「ルイさんなら避けれたでしょうね」

「魔力が見えねえってのにどう避けろと? しかも後ろからのをよ」

「ルイさんは見なくても分かるみたいですよ?」

「……」


 リレンから初めて聞く事実にアストは言葉を詰まらせてしまう。


「(魔力を感じとるって事だよな? 出来るか分からねぇが今度ルイに聞いてみるか……。感じられるようになれば……いや、やっぱ俺にはいらねぇものかもしれねぇな。俺には俺の勘と……この色ボケがいる。今はおかしな執事もだな)」


 アストは生まれた頃より魔力が見えなかった。これは王族に生まれた者にとって己の死を意味する。別段、魔力が見えなくとも日常生活には何ら支障は無い。ただ、それが他国の間者にバレてしまった場合、数日で命を落とすとされている。


 ただし、それは幼少の頃にリレンが拾ってきた魔道具である程度解消されているのだが、見えるようになるのはあくまで自らに害ある魔力のみ。相手が自分に向かって魔法を放とうとしない限りは魔力が見えない。


 なので、もし魔力が見えなくとも感じられるようになれば幾らか戦いやすくなるのでは、と一瞬考えたが、頭に感じる痛みと目の前で何故か気絶したエセ執事を見てそれを否定した。


「もぉいーかな? そろそろ待ってるのも暇だしルイ君にこれ飲ませたいんだけど」


 手に持つ透明な液体の入った試験管を指で挟みぷらぷらと揺らしながら仮面少女は言った。


「なんでルイの名前を知ってんのか知らねぇが、そんなもん飲ませたらルイが死ぬだろうが」

「え? いや、これは――」

「ハァァァッ!」


 仮面少女が何かを言おうとしたが、アストの横薙ぎに振るわれた剣によって真横に飛ばされた事により、それは途切れてしまう。


「っ、リレン!」

「《包囲し圧殺せよ――土波》」


 アストがルイを回収し、即座にリレンが詞を唱え――吹き飛んだ仮面少女はそのまま四方八方から迫り来る土の波に呑み込まれてしまった。


何気に大剣の色は初めて書きました(緋色)

アストの初手は基本横に勢いよく剣を振るので隙ができます。ですが、それを避け、できた隙に付け入ろうとするとリレンが魔法を放ち、更にそれを防御してもアストが回転し、勢いが増した剣を叩き込まれます。というより、隙に付け入らなくてもアストから離れた敵をリレンが包囲する系の魔法を放つのでそれで戦いが終わる事が多いです。2体1だとほぼ勝ち目はない。(殆どの魔導師は魔法を離れた位置から使えない。せいぜい半径5~10m程度。魔道士(アスト)は手元から、リレンは最大50m、ルイは15m、セティは1km)


魔力を見なくても何処にあるのかを分かるのはルイとセティくらい。


あと身長は今の所(高→低)

ロイツ→アスト(190前半位)

テイト→ルイ→セティ(170後半位)

リレン→仮面少女(160後半位)

混:ミーシア(150後半位)

単:ミーシア(150前半位)

スイハ(120後半位)

スウ(110後半位)

くらいの設定でいきます。

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