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零ー9 呪い? いえ、試練です

 

「――そのチョーカー……恐らくニーシャ様からかと」


 セティさんに報告したら、思いの外すぐにチョーカーの出処が判明した。


 ちなみに俺は現在座っている状態である。立つなんて1分位しか持たないし。



「外す方法ってないのか? 流石にさっきの重さは生活に支障をきたしまくるんだけど」


 体感ではこれ100kg位あったと思う。セティさんの所に行くだけで凄く疲れる。

 唯一の救いは、首一点が重いんじゃなくて全身が重いという事だろう。首だけ重かったらグインッってなるわ。


「《アンチカース》……残念ながらそれは呪いっぽいですけど呪いでは無いみたいですね。残念ながら」

「……残念を2回目も言う必要無くない?」

「……」

「はは……鑑定魔法は使えない? 使えたらそれで見て欲しいんだけど」


 選択肢にあった鑑定魔法。鑑定というのが俺の知ってる鑑定ならこれの外し方も分かる可能性もあるし。


「そうですね、《鑑定》――――っ! これは……。凄いですね……」


 セティさんが目を見開いて驚いていた。


 下界の統括神が送ってきたものだ、さぞ凄いものなんだろう。そんな物を贈る理由なんてないと思うけど。

 でもずっとチョーカーを見てないでそろそろ俺にも教えて欲しいかな。


「そろそろいいか?」

「あ……すみません。中々に珍しいものを見たものですから少々驚いてしまいました」

「神のセティさんがそこまで言うってそこまでの物なのか、このチョーカー」

「はい。それの名前は"試練の首輪(Ⅹ)"という物らしいですね。名前の通り試練を装備者に与え達成した場合には、試練の内容、難易度に応じた力が与えられるようです」


 チョーカーじゃなくて首輪だったか、まあ見た目はチョーカーだと思うけど……そうだと思いたい……。

 そしてⅩというのは恐らく難易度の事だろうな。内容はこの重さ。


「内容の一つ目は身体への負荷・重らしいです。要するに体重が増えると考えてもらえれば。二つ目はニーシャ様からの攻撃(ちょっかい)を耐えきること。与えられる力は基礎身体能力の向上です。そして装備するには装備者の魔力が必要なようですが……」

「いや、俺は魔力なんてこれに送ってないからな?」

「そうですよね……。恐らくこれ、ミーシア様も一枚噛んでいると思います」


 でたよあの良く分からない神ミーシア様。確かニーシャ様の所に行ってるんだっけ。


「どうしてだ?」

「ルイさんを転生させる時に魔力を宿したのがミーシア様ですからね。同じ魔力をその魔道具に流したのかと。そしてルイさんがそれに近づいたことによって試練が始まったと思っていいかと」

「なるほど。でも試練って言ってもこれは難易度高すぎないか? 全然立てなくなったんだけど」

「まあランク(10)の魔道具ですからね。これは統括神が創らないと出来ないなランクです。ニーシャ様は魔道具を創りたがらないでしょうから恐らく先代の遺した物でしょう。それにしては簡単すぎる気もしますが……」



 先代の統括神、何故こんな物を創った……。

 お陰様で俺は唯でさえ少なかった生存ルートがほぼ皆無になったぞ。



「……どうすればいい?」

「そんなすがるような目で見られましても……」

「そんなぁ……」

「ではユキちゃんに身体強化をしてもらってはどうですか? 今はルイさんが身体強化をするよりユキちゃんがした方が効力が高いでしょうから」

「ああ! その手があったな。ユキ、頼めるか?」

『――分かった』

 


 やっぱ流れが速い。生後2日のユキ負けてるというのはかなりくるものがあるな。


 でもこれで動けるようにはなったはずだし立つか。



「っと。うん、立て……ん? ……おかしい……。だんだん重くなってきたんだけど……」

「なるほど……。流石ランクⅩ。魔道具が魔力の流れを読み取っているみたいですね」

「要するに?」

「いくら身体強化をしようと体感の重さには変化が無いということでしょうか」



 あー、やばい。もう歩けないわ……。


 これって身体強化をユキにしてもらう必要無いよな。いくら強くしてっても重さには変化が無いわけだし。


「ユキありがとう、もういいぞ」

『――え、分かった』

「あ……」





「――っ! ぐぅ……」

「……馬鹿ですか。さっきだってゆっくり重くなってたじゃないですか。そりゃあ急に身体強化を切ったらそうなりますよ。……ルイさん?」

「……」

『――気絶してるみたい』

「ユキちゃんは分かっていたのですか?」

『――それくらいは分かる。でもいいでしょ?』

「そうですね。丁度いいです」



 ~~~~~~~~~~




「――――ん……ん? セティさんか。身体痛いんだけど」

「むぅ、そこは『セ、セセセセティさん!? な、何を!?』と言って欲しかったですね」

『――不能』

「ユキ、それは酷い。今の状況よりも身体の痛みと服を脱がされてる事に意識を持ってかれてるだけだ」



 俺は今セティさんに膝枕をされているようだ。





 ……と、これだけ聞けば中々いい光景に思えるだろう。でも今の俺の姿は半裸、さらに身体を見ると切り傷が1、2、3、4……結構ある。ぱっと見20は普通に超えてる、痛い。



「――どうしろと?」

「回復魔法の練習です。身体を斬りましたので全部治してください。それまでは膝枕をしてあげます。感謝してくださいね?」

「どうせなら普通に膝枕してもらいたかった。まあ感謝。ありがとうございます」

「っ……そ、そう正面から言われると照れてしまいますね。ま、まあどうしてもって言うのでしたらまたしてあげてもいいですけど……」


 魔力は相変わらず遅いし魔法を使うのも結構苦労するな。

 ああ、傷の痛みに意識を取られて魔力が……


「あの……」

「――《ヒール》」

「あの、ルイさん?」

「――《ヒール》」

「うぅ……」

「――《ヒール》……失敗か」

「ルイさんのバカ! アホ! 不能ぉぉぉ!!」

『――不能』

「――《ヒール》」


 しょうがないだろ、痛いんだから。


 そして不能は止めてくれ、俺は至って普通だから。



物の数や日数は英数字(1、2、~9、10)

ランクはアラビア数字(Ⅰ、Ⅱ~Ⅸ、Ⅹ)

にしてます。

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