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藤原涼  作者: m@ho
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防犯カメラ

徳田邸でパソコンのビットコイン画面を見ている涼

「橋本先生、大手の取引所全部に分散してビットコインを預けるのはどうでしょうか。」

「じゃあ3箇所作成しますね」橋本先生は画面で案内する涼に応えた

「口座作成後、ビットコインの口座情報を送付願います、3万づつ分散送金しますので」

「なるほど、元々の口座含めて4箇所ですね。」「今まで無事に保管されている事からも安心かと思いますが、皆さんどう思いますか?」

「意義ありません」安藤先生が手を挙げた

「今の価値だといくらぐらいのものなの?」

「1ビットコインで30万程ですから360億円程です。当初から3600倍です」「えええ」皆驚いていた

「子供が相続する分の10倍?」誠さんが驚いていた

「先行投資、リスク分散の最大の効果が出ましたね」

「親父ってそんなに見識高かった?」

「日々勉強され、有望なものに先行投資してました。株でも多くが高くなっています。当然半分以下のものもありますが。私が担当させていただいた時にも色々と教えていただいて、先生のような方でした。もう一つ御助言しますと、ビットコインはその特徴と業界の独占性からするとまだまだ値上がりします。いろんな業界からの参入で変化が激しいと思いますし。」

橋本弁護士の電話が鳴った

「はい橋本です。おお、分かりました」

喜んだ様子の橋本弁護士「勇さんの件で呼ばれました。おそらく解放されるのかと」

「よろしくお願いします」

橋本弁護士は急いで出て行った。

残った涼は、疑問に思っていた事を誠さんに聞いた。

「誠さん、確認なんですが、自宅の防犯カメラには何も映っていなかったんですか?」

困った顔をする誠さん

「勇が来る姿、帰る姿とカイラさんが帰る姿しかない。」

「防犯カメラを見ていいですか?」

「ああ、構わないよ」

地下に全員で移動した。

徳田邸の地下には大型金庫へ続く廊下の途中に防犯カメラや窓、ドアをコントロールするコントロールルームがある。涼も初めて案内されている。

安藤税理士とカイラさんも気になって全員でやってきた。

10畳ほどあり、警備員を雇えるぐらいのスペースがある。

「これで見られるよ」パソコンの周りにモニターが6つ並んでおり、3つのモニタは分割されていて12個のカメラからの映像が映っている。

「こんなに映っていたんですね。サボっていたのもばれていたのかしら」カイラさんが呟くことで皆に笑みが戻った。 

周囲壁際に4箇所、家の外側4箇所、家の中4箇所

家の中は地下の駐車場からの入り口、地下から家への階段、応接、2階への階段。

「当日の徳田さん推定死亡時間から逆再設定ってでますでしょうか」

画面には勇さん以外には、確かに映っていない。

「気になるのは、壁沿いに止まっている引越しトラックですね。屋根から壁越えて敷地に上がれそう」

「移動の時の映像があればナンバーが映っていそう」

「解ったら警察に調べてもらいましょう」安藤税理士が前のめりになっている。

「亡くなる前から1時間の映像をコピーできませんか?」

「推定死亡時刻が20時から1時なので」

「前後1時間までコピーしておくね」

誠さんは慣れない手つきでパソコンを操作する

「まずはパスワード」先程のIDファイルからメモしたパスワードを見ながら入力している

「録画バックアップ、と」クリックすると

年月日時間を入力すると媒体がDVDかcdになっている。

DVDを選択し、置いてあった空のケースからDVDを取り出して、開いたパソコンのDVDラックに置いた。ボタンを押すとスッと機械に入り画面にコピー完了1%残り30分と出た。

「終わるまで居間に戻りましょう」誠さんが上がっていく。

「さあ、紅茶でも飲みましょう」カイラさんも上がっていく

防犯カメラ画面には皆んなが移動していく姿が映っている。問題はなさそうだ。

『映像のどこかに犯人のヒントがあるはずだ』

そう思いながら涼はコントロールルームを後にした。

カイラさんの入れてくれた紅茶を飲みながら、皆が少し落ち着いた所に、橋本弁護士が戻って来た。

「戻りました」そう言う橋本弁護士の後ろから疲れた顔の徳田勇が帰ってきた。

「お帰りなさい」カイラさんが勇さんにハグした。

「お久しぶりです。お疲れ様です。大変でしたね。」涼も手を出し、握手した。

「みなさん、ご迷惑おかけしてますが、僕の無実を信じてください。」頭を下げる勇さん。

「皆、勇さんが無実な事は分かっています。徳田さんが殴る事はあっても、勇さんが手を上げることがないことぐらい。」全員頷いた。

「警察で詰問され、自分でも殴ったんじゃないかと洗脳されそうになりました。橋本弁護士から自分を信じるように言われていたので、少し心構えは出来ていたものの。ありがとう。」ソファーに座り、カイラさんの紅茶を飲んで落ち着いた勇さん。

涼が口を出した

 「帰ってばかりで申し訳ないのですが、記憶が鮮明なうちに何があったのか知りたいのです。警察は先入観で他を調べそうにないので。」

「そうなんだよ。僕にとっては全く訳が分からず、説明を求められても、ここに来て口喧嘩して帰っただけなんだよな。」

「家出てから教えてもらえますか?」

勇さんは思い出しながら語った。


「夕飯を食べた後でもいいので話したい事があるから来て欲しいと言われてここに向かったのが9時ごろ。」勇さんは渋谷区南平台にあるマンションに住んでいる。相続税対策で徳田さんから購入して銀行のローンを利用している。ローンは半分賃貸が無くても十分返済できるように設定、空きの少ない好立地な物件である。

「マンションの駐車場から車でいつも通りのルートで、梅丘通りを使って駐車場に入り、勝手口から入ってカイラさんと話してから親父の書斎に行った。」カイラさんも頷いている。

「いつものように、仕事は無いのかっていう文句を言われ、しばらくして、カイラさんが帰る時に挨拶に来たのが10時くらい?」頷くカイラさん。

「ジャズ喫茶を始めたいって話したら親父に怒鳴られたのが最後かな?」

『勇さんなら良い店を出しそうなのに』涼はそう思った。

「そのあと帰ったのが10時半かな?」

 携帯を見る勇さんは、確信した。「22:35に駐車場前で10分ほどいた。」

橋本弁護士が不思議がる「なんでそんなに正確にわかるんですか?」

「帰る途中で引越し業者からの電話が止まらなくて。嫌がらせと思う。」ほら見ろよと言うように携帯を橋本弁護士に渡す。橋本弁護士は携帯を見て納得いったようだ。

「引っ越すんですか?」カイラさんが驚いた。

「いやいや、登録間違いか何かじゃないかな。かかってきた業者にも間違いだって言ったんだけど、色んな業者からひっきりなしにかかってきた」

「そのあと帰ったんですね?」

「ええ、その後駐車場から帰りました。日常の行動しかしていないから、警察に疑われる理由がわからない」

「今の話を元に、防犯カメラ映像を再度見てみますが、警察にも同じ説明をしたんですよね?」

「はい。全く同じ説明です。」

『警察は携帯にかかってきた引越し業者を調べたのかな、帰るタイミングでかかってくるタイミングが良すぎる』

「警察で聞いてみたいので、明日行ってみます。刑事さんの名前分かりますか?」

「佐藤圭二警部です」橋本弁護士が答えてくれた。

「勇さんも疲れていると思いますので、僕は今日帰ります。」地下に行っていた誠さんがDVDを渡してくれたので、カバンに入れて帰ることに。

玄関から帰るときには全員が送り出してくれた。

 梅ヶ丘駅から自宅のある市ヶ谷までは新宿経由で帰る事になる。帰り道に支店長に電話をした。

「藤原です。今日、先方のご自宅に行ってきまして、ご協力出来ることはしてきたのですが、報告しなといけないことがありまして、明日の朝宜しいでしょうか」

「お疲れ様、明日の朝一なら大丈夫なので、よろしく頼む」

新宿の乗り換えでいつもの時間ではないからだろうか、色々あったからか、景色が違うように感じる。

中央・総武線に乗り換え市ヶ谷に向かう中で感じた。


『誰が何のために徳田さんを殺したのだろうか。』


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