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藤原涼  作者: m@ho
4/13

セントクリストファーネービスの思い出

今から9年前の2011年冬 寒い時期なのに、半袖で空港に行くことに。小さく折りたためできるダウンを着ているので周りからの違和感はないが、少し寒く感じる。

空港に到着し、慣れないスーツケースを引きながら徳田さんとの待ち合わせ場所に向かう。

半袖姿の徳田さんとカイラさんが空港職員に説明を受けていた。

「待ちましたか? すみません。」

「いやいや、待ち合わせ時間前だしな。」

カウンターの端を借り、ダウンを折り畳んでスーツケースに入れた。

「流石にお二人は旅行慣れしてますね。」係員が通関に案内してくれている

「海外旅行は何回目だい?」

「アルバイト代を貯めて行った卒業旅行以降初めてなので2回目です。」

「英語のヒアリングは出来るんだから、もっと出かけたらいい」

「仕事でもっと稼ぎます」

「がんばれ」通関のために荷物をカゴに入れる。

通関を過ぎて、カイラさんを待つ。

「私もワクワクなんですよ、フジワラさん」

「いつもと違うんですか?」

「徳田さんの好意でビジネスで行くんです。今日は特別にって」

「よかったですね」

「貴方も一緒ですよ?」

「え?」

「番号前の方でしょう」

「ファーストやビジネスってチケット自体が違うと思っていました」

乗り込むと、確かにビジネスクラスに3人並んだ。

「徳田さん、いい席をありがとうございます」

「いやいや、無理に来てもらってるし、仕事みたいなもんだから。よろしくね」

フルフラットになる席を知ってしまうとエコノミーの席には乗れないかもしれない。

熟睡していたところ、キャビンアテンダントに起こされた。

〈間も無く到着しますので、シートをお上げください。〉

「おはよう、よく寝てたね。」声をかけてくれた徳田さんの背後からカイラさんも笑顔でいた。

「時差を考えると寝た方が良いと書いてあったので、寝ちゃいました。」

アメリカらしい空港へと飛行機から降りていくと、カイラさんが「乗り継ぎはこっちです」

涼は徳田さんのペースで少し後から着いていく。

乗り継ぎの飛行機が出るまで5時間ある。

「一旦荷物受け取って、再度預けます。」

 税関通って、荷物を受け取り、マイアミ行きの乗り継ぎゲートへ向かう

「アメリカ内の乗り継ぎが大変なんですね」

「アメリカ横断だからねえ」

乗り継ぎ場所にはそんなに多くの店舗は無く、時間つぶしには少し物足りない場所であった。一応ラウンジは使えたのだが、質素であり、それぞれ本を読んだりしていて時間を過ごしていた。徳田さんは窓口でアタッシュケースを受け取り、サインをしたあと、マイアミ行きのアナウンスが響いた。

「やっとお呼びがかかりましたね」

「乗り継ぎの時間つぶしを考えないとな」

「帰りにトランプでも買ってしますか?3人で。」

「いいかもしれないね」

そのようなことをいいながら乗り込んでいく。

 中型機の機材であり、少し窮屈な感じなのはしょうない。5時間ほどでマイアミ空港。マイアミ空港では待ち時間なくセントクリストファーネービスのロバートLブラッドショー空港に向かう。

小型機に乗り込むのだが、3人以外は一組の夫婦しか乗らなく、プライベート旅行の気分である。同じ航空会社なので、乗り換えは楽だった。

3時間ほどすると、到着し、空港へ降りると、ひらけた場所に飛行機がぽつんとある。空港と言うより開けた草原という感じだ。

「大都市の空港から来ると随分と小さな空港ですね」

「一応国際空港だけどね」

「島国の空港はどこも同じですよ」カイラさんが笑いながら答えた。

有名なリゾートホテルがあり、1週間のんびりとする事になっていたが、高級感がすごく、涼は驚きの連続であった。

カイラさんと涼は徳田さんの続き部屋であったが、十分贅沢な部屋であった。

「すみません、仕事って事忘れそうです。」部屋のバルコニーから外の風景を見ながら話す涼。

「みんなで楽しんで帰ろう。」肩を軽くたたく徳田さん。

「せっかくだから楽しみましょう」カイラさんも楽しそうである。

翌日、銀行の窓口で口座開設に訪問した。日本の銀行とは想像も出来ないぐらいに待たされる。

<口座開設には、パスポート、500ドル以上の預金が必要です。>

<こちらが申請書、パスポート、現金です>

税関でも驚かれたが、20万ドルの現金をアメリカの空港で銀行員から受け取り持って来ていたのだ。

<少々お待ちください>そう言われてから30分ほど待たされている。

「日本じゃ考えられないくらいカリブ時間の仕事ですね。」

「のんびり行こう」徳田さんはカリブ時間に楽しんでいるが、会社員の若い涼には耐えられなかった。

「少し外にいます。」カイラさんに徳田さんを任せ、外に出た。

涼は少し歩き、円形の公園の真ん中に小さな噴水の端に座った。

今は使用されていない噴水の様子を見てから海の方へ歩いて行った。

人が少ないのは日本の田舎も同じだが、時間の経過が遅く感じる。働いている人がのんびりしていて、人を待たせていても何ともない。

時間のルーズさに驚いてばかりだ。

バス停らしきものがあるが、時刻表もなく、どこ行きかもわからない。

『これが南国なのかな』

銀行に戻っても、未だ口座開設がなされていない。

〈徳田ですが、どんな感じですかね?〉

〈順番に作業しておりますので少しお待ちください〉

順番といいながら、地元の人が来ると先に処理をしている事は一目瞭然だった。日本だと騒ぎ出す人が多そうだ。そう思ったら、思わず笑い出してしまった。

笑い出した涼が怖かったのか、徳田さんの手続きを始めたようだった。

少しして、〈ミスタートクダ〉呼ばれた

ゆっくりと徳田さんと窓口に行く。

〈こちらが口座書類とインターネットIdです。詳細はご案内をお読みください。〉

〈ありがとう〉書類を受け取りホテルへ向かった

「大変と時間がかかりましたね」カイラさんも感じていた

「地元優先で、閉鎖的な国なんですね。国の方針とのギャップに違和感を感じました」

「フィリピンものんびりですが、ここはすごかった。」

「2人ともありがとう。座っているだけだったけど疲れたのでホテル一休みしよう」徳田さんも疲れていた。ホテルに着くとベットにすぐ入って横になられた。

次の日の朝、朝食を食べながら徳田さん「口座開設のみで、寄付や土地購入でのパスポート作成は辞めます。この国の国民にはなる気がなくなりました。」と宣言した。

「いい決断と思います」涼も同感だった。

カイラさんも頷いている。

「2人にはすまないと思ってる。」

「いえいえ、実際来てみないとわからないですし、我々2人はバケーションと思ってます。ねえ、カイラさん」

「フジワラさんの言う通りです。カイラもフジワラさんも楽しんでます。」

「そうです。日本にいたら経験できない事です。日本がいかに恵まれている事が分かります。」

「ありがとう」

ホテルのプライベートビーチでのんびりする3人 ノートパソコンで確認している涼

「徳田さん、ビットコインの購入しますが、150,000ビットコインで約1千万円です。この予定でいいですか?」「うん、よろしく。」

「10円程上がってしまいましたが、買えました。」ビットコイン表記がなされた。

「テストに藤原さんの口座に1ビット送って。」

「せっかくなので、ご自分で体験しませんか?」「おぉ、そうだね。時代の最先端の電子マネー送金だ。」カイラさんも覗き込む。

画面を徳田さんの方へパソコンを見せ、徳田さんがキーボードを打ち込む。

テスト用に作成した涼の口座へ送金してみる

「おぉ、意外と簡単だね口座の記号は覚えられんが。」

口座は電子メールでのやりとりなので、コピーが主ですね。」

「なるほど」

「1ビット送っていただきましたが、手数料引かれるので、頻繁に移動するなら多めに購入しないといけませんね」

「なるほど。まあ、移動しないから。将来はデジタルマネーがお金に変わるだろうし、先行投資だしね」あれから9年、徳田さんの予想通りめまぐるしく電子マネーが活躍してきた。

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