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最終話 [レベルアップの時間だ]

 閃光と大爆発により地面が崩れる。

 配管なども吹っ飛び大きなクレーターがその場にできた。


 カオスはさっきの爆発で氷と成っていた足が完全に砕け、体を構成する表面のエネルギーもかなり持って行かれたため一気に残存エネルギーの40%を失う大打撃を受けた。

 エンドレイを撃った時に残存エネルギーの20%を使った為、残り40%しかなく、身体は上半身を何とか保つ程のエネルギーしか残っていなかった。

 しかし、自分がここまでダメージを負ったことにより亮にはそれ以上のダメージがあると確信する。


 カオスは身体を再生成。

 10歳児程の体型に直し、直ぐ様攻撃に転じる。

 しかし、土ぼこりの中を突っ込んだカオスに見えたのは瀕死の生物ではなく、自分に殴りかかってくる生物だった。


 「何故死んでない?!アレほどの衝撃で!」

 「さぁな!」


 金剛硬化の二つ目の能力。

 インターバルがあるが、どんな攻撃でも一度必ず耐えるというもの。

 初めて使われたのはカオスの拳を正面から受け止めたあの時。

 その後はずっと金剛硬化の硬さで頑張っていた。

 本来、あのぶつかり合いをもろに受けると、金剛硬化など簡単に剥がされて身体は完全に消し飛び、そこでゲームオーバーだった。

 あの時は本当は何やっても『死』が確定していたのだ。


 だが、ぶつかり合いが起こるほんの数秒前、インターバルが終了した。

 そして、打ち消した。

 だが、打ち消したのはあくまでも最初に到達したインパクトだけ。だからこそ、それによって生じた熱等によって亮の体もボロボロにはなっているが、即死は免れた。

 死ななければ、戦いは続けられる。


 カオスにもそれなりのダメージを与えられたことが確信できた亮は詠唱による治療を放棄。代わりに『創造』で治療速度を強化する事にした。

 四肢や内臓系などを優先的に直し、体全体に走る激痛は無視する。

 そして、土ぼこりの中へと飛び込んだ。


 カオスと接敵した時は回復もう一回分位魔力を注ぎ込んだのにまだ全快ではなかった。

 だからカオスには裸のゾンビの様に見えていた。


 だがこの瞬間、お互いに瞬時に走ったのは『此奴、あと一発で殺せるぞ?!』という感覚だった。


 カオスは亮の皮膚の下の筋肉などがまだかなり見えた事で、再生が間に合っていないと判断。

 そして、今までの継承者を総合した結果、硬化は鎧の様なものだと勝手に解釈していた。

 よってその鎧が剥がれた今ならば、この様な身体でも強化して殴れば殺せると考えた。


 本来はその認識は間違っており、皮膚が無かったとしても硬化は発動している。

 その為、その10歳児程の体の攻撃ならば結構ギリギリだが耐えられる。

 だが、亮よりも大きかった時に一回防がれてしまったことから強化を前提に入れた。

 必ず耐える能力はインターバル中。

 つまり、拳が当たったときが亮の最後である。


 だが、それは亮にとっても同じだった。

 今まで亮が使ってきた必殺技はライトブレスでは無い。リミットブレイクの方だ。

 そして、さっき使ったときは貫通力さえあれば問題なかった為、殆ど強化せずに使っていた。

 だからインターバルは既に終了している。

 これを強く光っている胸の所に打ち込めばおそらく核を破壊できるという確信が持てた。


 お互いの拳に最後の力が乗る。


 『『これで終わる!だから、この一撃にありったけの力を!』』


 「終わりの破壊(エンドバースト)!」

 「神の拳(ゴッドハンド)!」


 お互いの拳はお互いを邪魔せず、真っすぐと胸を狙った。


 たが、結果は簡単だった。

 カオスは小さくなってもあまり小さくなったことを実感できてなかったのだ。

 だから、腕が亮よりも圧倒的に短かったことに気が付くこともできなかった。


 自分が殴る時のエネルギーと自分が殴られた時のエネルギーが合わさり、カオスは核を残して爆散した。


 神に成ろうとした生物の最期は実に呆気なかった。


 「…これは砕けなかったのか。」


 亮は手の中にあった核を持って、爆発で吹っ飛んでいた短剣を握った。


 「じゃあな。」


 短剣は核を真っ二つに切り、その核は紺色の色を失って地面に落ちた。


 『レベルがアップしました。』

 『レベルがアップしました。』

 『レベルがアップしました。』……………


 レベルアップの通知は鳴り止まなかった。


 だが、俺のやりたい事はまだ残ってた。


 俺は影の中からシュヴァリエ達の壊れた核の破片を出す。


 「死んだ奴を一度生き返らせることができるなら…俺はお前を生き返らせたい。」


 『創造』、対価はカオス戦で得た経験値、残りの魔力、足りなかったら何でも持っていって良い。

 だから、ありったけの強化を。


 「神竜の力よ、輪廻の理を壊し、神の奇跡を起こせ。『復活(リターン)』」

 「…戻ってこい。相棒。」


 輝く神の光が核に収束し、周囲は閃光に包まれた。


 「……よう。」

 「…終わりましたか。」

 「やっとな。」


 俺はシュヴァリエを勢いよく抱きしめた。

 涙は出なかったし、言うことも思いつかなかった。だか、抱きしめたかった。


 「…」


 シュヴァリエは何も言わず、俺を抱き返してくれた。




 …あの日から5年。

 もうシュヴァリエ達はこの世界に居ない。

 彼奴等はあの後無事に分離し、元の世界に帰って行った。

 もう二度と喧嘩はしないで欲しいものだ。


 結局、俺はまだ力が使えた。

 覚醒技は使えなくなったし、大部経験値も持って行かれて弱かなったが、まだまだS級の強さは健在だった。

 未だに義兄姉たちは夢に出てきて喋ることがある。あの人達も終わったら消えるのかと思っていたが、消えなかったようで少し戸惑っていた。

 だが、消えて無になるくらいなら俺を見ているのも悪くないようで、皆元気だ。


 世界の復興はまだ全然進んでいない。

 カオスの影響が残ってるのか危険なゲートは未だに現れるし、カオスのせいでハンターの基準が上がったので南田君はE級に落ちた。

 この世界が元の世界を取り戻すのは俺が死んだ何十年も後のことだろう。


 そんな俺は今仕事帰りだ。

 最近は南田君が事務員を5人ほど雇ったので給料が多く必要になったのだ。

(因みに、名前を貸してくれていた人たちは自主脱退した。感謝としてかなりのお礼を送らせてもらった。)

 それに俺は南田君の両親に多額の借金がある。

 だから今以上に積極的にゲートをまわらなくちゃいけなくなった。

 毎週最低二つは回ってる。


 俺は車を停めてある建物にはいった。

 そしてインターホンを押す。


 「は~い。」

 「あ、赤月晴人の父です。」

 「は~い。」


 暫くして晴人が先生と一緒に降りてきた。


 「パパ〜おかえり〜」

 「ただいま〜」


 俺は今や一児の父だ。


 ここは国営保育園の一つ。復興がある程度終わるまで国が色々補償した結果できた仕事場の一つだ。


 俺は息子と車に乗り込み、家に帰った。


 「ママ、ジージ、バーバ、ただいま〜!」

 「「「おかえり晴人。」」」

 「ただいま、柚月。」

 「おかえり、亮君。」

 「赤ちゃんもただいま〜!」

 「フフフ、お兄ちゃん帰ってきたわよ。」


 柚月は今女の子を妊娠中。

 親たちは一緒に住んでる。と言うか、家が無いから別々に住むなんて無理だ。

 彩はまだ大学から帰ってきてない。

 彼奴は医者を目指すことにしたらしく、医学部にも受かりやがった。あんだけ色々合ったのに良く出来たものだ。


 俺は今幸せだ。

 守りたかった人を守れた。

 帰ってきて欲しかった人も帰ってきた。

 守るものが増えた。

 そして、あの人同じ桜の満ちる3月のある日俺は今日もダンジョンへと向かう。

 その時の背中はもうあの時の便りない背中ではない。


 俺は短剣を構えてゲートをくぐる。


 「さぁ、レベルアップの時間だ。」

これにて完結です!

ここまで見てくださった皆様、ありがとうございました!!

作品を書くことは続けるつもりなので、ご縁が有ればまた何処かでお会いしましょう。

短い間でしたが、本当にありがとう御座いました!!

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