第34話【ムキになって悪いかよ】
3タテ食らわせてたからこそ影響がなかったものの、俺が1本負け、新浦が引き分け。
「それが全国で勝つチームか?」
もはや叱責どころか疑問の態で徳田が言ってくれた。はい、すみません。と頭を下げるしかなかった。
そのあとの選手だけの集合でも、矢野から「普通にやれ」と言われて解散になった。その言葉通り、南和大には4-1でしれっと勝って選抜を決める。負けたのは倉富だ。想像しうる限り万全の勝ち上がりと言って良い。
「お前は一場に負けるのが気持ちいいのか?」
表彰式が終わってそこそこホッとしたときに、挑むような口調でムッときた。こちらの戦い方に非がある分、余計にムッときたのだ。
「お前が負けたのは地力とは関係なく、お前がそのとき平静と違っていたこと。誰に負けても不思議ではない精神状態だったからだ」
ただ県大会で勝っただけじゃダメって、全国じゃ通用しないってことでしょ。分かってますってば。それを差っ引いても一場とはやり取りを楽しみたいんだよ。考えなしだった俺が悪いってのは自覚してる。
言いたいことは言い、尽くしたのかこの日寮に帰った後は矢野から何かを言われることもなかった。
あの悪夢のインハイ予選は2本負け。そして今回は1本負け。だったら成長したんじゃないのか。
今一度、試合内容を振り返る。俺は一場のさりげない色気や滋味を思う存分堪能してやった。面白くて、だけど負けた。
次は引き分けにもっていけるのだろうか。いや、勝ちたい。
次に手合わせする時、一場は成長しているだろう。それに勝ってるよう、今は目一杯コップに水を注ぐのだ。




