閑話九 ロッド達のハーベスト帰郷
マーレ半島に別れを告げた俺達は、俺達の使命の成果を報告のために、王城へとやって来た。
「お帰り、ロッド、ラナ、ニーナ、ハルク、テムジン。
マーレ半島での皆の頑張りは、スフラン伯爵から聞いているよ。
皆、よくやってくれた。予想以上の成果を上げてくれたし、俺も誇らしいよ。」
「兄上に褒められると、なんだか恥ずかしいです。」
「兄様に喜んで貰えて、頑張った甲斐がありました。」
「コウジ兄、とっても楽しかったよ。」
「兄、俺もマーレの人達に感謝されて、嬉しかったぜ。」
「僕も、ほんとに、いろいろ勉強になりました。」
「皆のもの、長きに渡る役目ご苦労じゃった。
儂も皆がマーレで行なってきたことを、逐一報告で聞いていたがな。よくぞここまでやってくれたと思うぞ。
この度の報酬、各人金貨100枚ずつ取らす。」
『『『『『ええっ。』』』』』
「今夜は、家に泊まるといい。レイネがご馳走を作って待っているよ。」
「兄、すげぇお屋敷だなぁ。門を入っても、玄関は、ずっと向こうだぜっ。」
「コウジ兄。偉い人って、自分の家の中でも、いっぱい歩いて大変なんだね。」
「あら、うさぎがいるわ。兄様、うさぎを飼ってるの?」
「まさか、庭が自然のままなんだと思うよ。待てよ、熊とか毒蛇なんか、いないですよね?」
皆、なんか言ってるが、俺もよく知らんから、答えられないんだ。
「皆、お帰りなさいっ。」
「「「レイネさん、ただいまっ。」」」
「ラナちゃん、しばらく見ないうちに、大人っぽくなったわねぇ。
ニーナちゃんも背が伸びて、美人さんになったわね。」
「姉上、女の娘ばっかり褒めて、不公平じゃないですか。」
「あら、ロッドはちっとも変わってないし、ハルクは、痩せてもいないし、テムジン君は、相変わらず背が伸びてないし、褒めるところがないのよ。
ハーベストに帰って、ナターシャさんに褒めてもらいなさいな。」
「ロッド兄、無駄だぜ。レイネ姉は、男は皆、コウジ兄と比べるからね。よく見えるはずないのさ。」
「なるほど、姉上には言うだけ無駄かぁ。」
レイネの心尽くしの手料理を食べながら、マーレ半島での話しを聞く。
「兄上。海岸部に続き、内陸部も石造りの家の建設が始まりましたよ。海岸部の人達が建設組合を作って、建築の請負を始めたんです。」
「兄様。育児院では、教会のシスターではなく、街のお母さん達を雇って、交代で保母さんをしてもらうことになったの。お年寄りは、家事の手伝いだから。」
「コウジ兄。サトウキビ畑は、観光にもなるぜっ。
俺よぉ、いたずらでサトウキビ畑に迷路を作ったんだ。そしたら、大人気でさぁ。うけた、うけたっ。」
「オリーブの実が収穫できるのは、来年からなの。それでね、収穫の時には、私にまた来てほしいって言うのよ。
ちゃんとしたオリーブオイルを作れるか見てほしいんだって。」
「僕だって、また来てほしいって言われてるよっ。オレンジやマンゴーの木の剪定とか、もっと指導してほしいからって。」
「まあまあ、すっかり頼りにされているのね。
皆、また行ってあげないとね。マーレの人達が待っているもの。」
コウジ兄上の屋敷で一泊した僕達は、《杜のくまさん鉄道》に乗って、懐かしいハーベスト領に帰って来た。
ブルータスの街の駅には、孤児院の皆が迎えに来てくれていた。
「ロッド兄ちゃん、お帰りっ。」
「ハルク兄、テムジン兄ちゃん、お疲れっ。」
「ラナ姉ちゃん、お帰り、会いたかったよぉ。」
「ニーナお姉さん、お帰りなさい。」
皆が温かく迎えてくれた。ラナの幼い妹は、よほど寂しかったのだろう、泣いて喜んでいる。
孤児院へ帰って、報告会だ。皆、僕達の体験を興味深く聞いている。
「シスター。今回のことで、報酬に全部で、金貨500枚をいただきました。
これは、孤児院でもらったものですから、シスターが管理してください。」
「ええっ。それはいけないわ、あなた達5人の報酬よ。孤児院は、パン工房もあるし、困ってないのよ。」
「えーと、この孤児院から巣立って行く時に、お祝い金として、皆に渡したらどうかな?」
「そうね。きっと役立つわ。」
「ありがとう、皆の気持ちはわかったわ。ありがたく、使わせてもらうわ。」
「なんだあ、お菓子をいっぱい買ってもらえるかと思ったのにっ。」
「「「あはははっ」」」
「それからね。シスターにもう一つ報告があるんだっ。」
「コウジ兄様が造っているダムの名前なのですが。」
「今回の褒美に、僕達に名前を付けろって。」
「それでね、私達、付けたのっ。」
「俺は、いい名前だと思うんだ。」
『『『『『聖ナターシャダムっ。』』』』』
「えええっ〜。」
シスターは、それを聞いて、しばらく放心から立ち直れなかったが、孤児院の皆に、
『ダムが完成したら、見に行こうよ。』
『シスターの像を造って来ようよ。』
『シスターが有名人になるね。』
と言われて、諦めたらしく、
「まったく、いたずらな子供達ばかりで、困るわ。
でも、皆、私の子供達だから、仕方ないわねぇ。」
僕達の家、ハーベスト領にある孤児院。そこには、故郷とも実家とも言える、温もりがあります。
そして、そこには、僕達の大好きな、母さんがいるのです。
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