第七話 俺とレイネの結婚式の風景 その二
俺とレイネの席には、ひっきりなしに、お祝いの挨拶に訪れる人で、切れ間がない。
披露宴は、他領の貴族を招待すると、国中の貴族が集まりそうで、領内の内輪にしたのだが、王家の使者だけは断われなかったんだよね。
トップバッターは、王家の使者〘リーリッシュ公爵〙だ。
「コウジ卿、それにレイネ嬢、誠におめでとうござる。
今やハーベスト領がこの国を牽引していることは揺るぎのない事実、その中心にいるお二人が夫婦になる。これは王国にとっての慶事でござるよ。
アレク国王陛下は、ご自分で出席なさりたいと、駄々をこねましてな。周りの者が止めるのに一苦労でしたぞ。ハッハッハ。」
「公爵、私達のために、遠路お越しいただきありがとうございました。」
「なんの、鉄道の旅を堪能できて、楽しかったわい。少々駅弁を食べ過ぎたがな。ハッハッハ。」
「若旦那、ご結婚おめでとうごぜぇやす。お嬢もこれで晴れて、若奥様にお成りで、儂らもお嬢が行き遅れになるんじゃねぇかと、ハラハラしてたんで、ほっとしやしたぜっ。」
「ボッシュさん、酷いですっ。行き遅れだなんて、まだ二十歳ですっ。」
「はははっ、レイネ、ボッシュは心配してくれてたんだよ。俺が結婚の年齢にこだわったのが悪かったんだよ。」
「コウジ様、レイネ様、ご結婚おめでとうございます。ご結婚を記念して、特選ウィスキーの樽を仕込みました。10年後、20年後、その味を見てやってください。」
「カルロ、ありがとう。年をとったら二人でそのウィスキーを飲ませてもらうよ。」
「コウジさん、レイネちゃん、おめでとう。
これ、孤児院の皆がね、二人からいろいろしてもらったことの中で、一番嬉しかったことを書いた寄せ書きよ。二人の結婚のお祝いなの。あとで読んでね。」
「ナターシャさん、ありがとう。皆には、劇や歌、とても嬉しかったと伝えてよ。」
「そう、とても良かったわ。ラナちゃん可愛かったし。皆も素敵だったわ。」
披露宴に出席してくれた皆からは、お祝いの言葉とお金では買えない素適な贈り物をいただいた。
ボッシュ達鍛冶ギルドからは、結婚指輪と新居で使う鍋やフライパン。カルロ達商業ギルドからは、同じく新居で使う食器。各街や村の代官達からは、各々自慢の特産品に育てた品。
お茶や紅茶、漬物、干した果物、木の実、陶芸品、木彫りの置物、チーズ、バター、etc。
中には、真っ白な毛皮のマフラーなんていうのもあった。
披露宴もお開きとなり、俺とレイネは、新居である伯爵邸の離れに戻った。今夜からここが俺達の家だ。
まずは、リビングでくつろぐ。レイネが紅茶を入れてくれる。
「レイネ、知っておいてほしいとがある。レイネと出会う前の俺のことだ。
俺は、この世界とは違う世界に生まれ育った。そして、突然この世界へやって来た。
なぜかは、俺にもわからない。
俺には、元の世界の知識や常識があるから、この世界に無いものを造ったり、きみとの結婚を躊躇したりするところがある。
そのことを知っておいてほしい。」
「ええ、なんとなく気付いていたわ。だって、誰もが考えつかない物や、知らない知識をお持ちなのですもの。
でも、私が好きになったのは、あなたの優しさや弱い者を守ろうとする勇気なの。
あなたという人は、私にとって、かけがえのない人よ。ずっと側に居てね。」
「ああ、俺はこの世界で、俺の居場所を見つけたんだ。周りの皆と人々が幸せに暮らせるように、そのために生きるよ。
そしてもちろん、レイネと二人で幸せになることを目指してね。」
その夜、二人は結ばれた。
目が覚めたら、裸のレイネの胸が押しつけられていて、こらえるのに苦労したんだ。
朝食を、ハーベスト伯爵夫妻と共にしたのだが、なぜか、出されたパンが赤い。
母のシモーネ夫人が言うには、以前俺から聞いた、〘おめでたい時に赤飯を食べる〙という話を真似てみたのだという。
俺は人生で初めて、赤いパンというものを食べた。
いつも読んで頂き、ありがとうございます。
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