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第ニ話 杜のくまさん鉄道

 さて、俺の内政編です。

 みなさんなら、つぎに何をやりますか?

 いくらハーベスト領の外の事には、関わらないと言っても、他領との商取引はある訳だし、間接的な関わりは切っても切れないものがある。

 隣の領民なら特に、行き来も頻繁に有る訳だし、その人々の生活を豊かにするためにも、間接的な生活向上の支援は必要だろう。


 そこで俺は、ハーベスト領の外の人々が、ハーベスト領に直接来て、その目で見て知って理解してもらうことができる施策を実行することとした。


 名付けて、《シルバニア王国手つなぎ政策 第一弾 果てしなき線路拡張作戦。》

 さて、先立つものは資金の捻出だが、そうそう金鉱が見つかるわけもない。

 そこで今回は、造幣局を作るように、アレク国王に提言した。

 この世界のお金は、白金貨[百万円相当]、金貨[1万円相当]、銀貨[千円相当]、大銅貨[百円相当]、銅貨[10円相当] で、貨幣しかない。

 大金になると、かさ張るし重いのである。

 そこで、金貨、銀貨の代わりになる二種類の紙幣を発行することにした。

 ボッシュに、活版印刷機を作らせ、アレク国王の顔の透かしを入れた。

 紙幣の発行量は、国王の専決事項とし、通年の発行量は、原則定額とした。インフレを起こさない為である。


 次に線路の資材となる鉄を作るために、高炉の建設を行った。

 同時に、蒸気機関車の製作にも取り掛かった。

 D51〘デゴイチ〙のような大型で複雑な機関車ではなく、イギリスの初期に使われたような小型でシンプルな機構のもので、日本の遊園地などで見かけるタイプのものである。

 ちなみに、『可愛いい機関車がいい。』との孤児院の子供達のリクエストにお応えして、前面を〘くまさんの顔〙に仕立てた。

 俺は機関車トーマスをイメージしてたのだが、子供達に不評だった。


 線路は、街道の整備と共に行なわれ、街道の側に並行して敷設された。

 建設から一年、王都とハーベスト領ブルータスの街を結ぶ路線が、第一号として開通した。

 《杜のくまさん鉄道》は、小型なので一度に運べる乗客の数は、60人程。でも、大型馬車5台分の貨車を2両連結している。

 速度は、時速30km。この世界では馬車の2倍。画期的な速さの大量輸送を実現したのである。

 初めて乗る汽車に、乗客は揺れが少ない乗り心地とその速さに驚き、汽車から眺める景色を堪能している。

 おまけに、商業ギルドが手配した《駅弁》が大好評で、乗客の楽しみになっている。

 《駅弁》は、その街々の特産品を使い、観光スポットをPRするものや、動植物を形取ったものなど多種多彩で、味も悪くない。

 全ての王国民は最初の一度の往復だけ、この汽車に無料で乗れる。

 半年後には、北方路線が開通する。そのさらに半年後に南方路線も開通予定だ。

 自分の住む街に、汽車が開通してから、無料の権利を使うのも自由だ。

 今のところ単線だが、途中の街の駅で時間調整してすれ違うので、列車は淀みなく運行している。 


 ちなみに、開通式を王都とブルータスの街の両方で同時に行ったのであるが、ブルータス発の開通第一号列車には、《聖ナターシャの家》御一行様がレイネと共に試乗され、王都2拍3日の旅を楽しまれたようである。



 私の名はミリヤ14才、5才の時に母を亡くし《聖ナターシャの家》に来ました。

 当時は、《シスターのナターシャ》ひとりで、私達16人もの孤児の面倒を見ていて、貧しい中、たいへんだったと思います。

 三年前に、孤児院の土地建物が、ボルツ商会に乗っ取られそうになった時、自分のせいだと、泣いて飛び出したミーシャを保護して連れて帰ってくれた《コウジお兄ちゃん》が、ボルツ商会をやっつけてくれて、パンを焼くことを教えてくれて。

 それから、驚くほど孤児院は変わりました。


 そして今日、王都まで開通した蒸気機関車の一号車に乗せてもらい、私は初めて王都へ来ました。

 初めて見る王都の街は、たくさんの建物とたくさんの人々がいて、お店も驚くほどたくさんあります。

 私は、特にその中の洋服を売るお店に、目が釘付けになりました。お店はお洒落なガラス張りで、中には、お洋服がたくさん飾ってあります。

 とても素敵な上品な服。可愛らしい子供服。

 今日、王都に来られて、いろんなお店を見ることができて、ほんとうに良かった。

 だって私の夢は、いつか洋服のお店をやることなんですもの。 

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― 新着の感想 ―
[一言] なんだか心が暖かくなるようなお話ですね。 応援していますね!
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