第八話 王城からの召喚
帝国が滅んで一ヶ月後、王城から使者が来て、今回のハーベスト子爵の功績に対し、王国として褒章を与えるから、ハーベスト子爵と俺の両名に、王城へ出頭するようにとの、王命が届いた。
だが俺は、拒否。
お礼を言うなら、使者を立てて伝えれば済むことだ。
ハーベスト子爵と代行の二人だけ、呼び付けるなんて、暗殺を企てているとしか思えない。
そのように伝えて、けんもほろろに、使者を追い返した。
王城では、貴族達が勢揃いした謁見の間で、使者からの報告がなされた。
「ハーベスト子爵は、両名だけを出頭させるのは、もしかして、王城は、暗殺でも狙っているのではないか。と言われ、褒章も辞退されました。
子爵らは、今回の敗戦は、貴族個々の勝手な振る舞いが要因であり、それをうやむやにするために、ハーベスト家に褒章を与え、それで全て終わらせようとしているようにしか見えない。
褒章を与えるより、まず、敗戦の責任を取られるのが先ではないか。
そして、国民を守るべき王家と重臣、貴族の皆様が、守る力がないならば、王城も貴族も、存在意味がないのではないか。とも申されました。
子爵は、こうも申されました。
ハーベスト領においては、兵士達が50倍もの敵に立ち向かうために、過酷な訓練に身をやつし、商人や鍛冶師達は、寝る間を惜しんで、避難民の家や食糧を確保し、あるいは武具の生産を図り、女性から子供達まで、総力をあげて戦ったのだと。
子爵だけが、普通に戦って勝利したと思っている王城の方々は、おめでたい方々だと。
私は、恥ずかしさに返す言葉がございませんでした。」
「なんと、無礼なっ。王家家に対して不敬ではないか。」
「代行は、こうも付け加えられました。
無礼や不敬などと発言する者は、王家の権威を自分の都合の良いように、利用しているだけの無能の者ゆえ、近く討伐に参ると。」
「 · · · · · 。」
「そうじゃのう、今回の戦いに破れた貴族は、領地没収の上、取り潰しとする。」
「お待ちください。そんなことをすれば、ほとんどの貴族家がなくなり、国が立ち行かなくなります。」
「そうかな? その領地、全てハーベスト領とすれば、どうじゃ?
かの地は素晴らしく発展し、領民ごぞって領主を信頼し、いざという時は一丸となっておるではないか。
そうできぬ貴族は、無能なのではないのか?
いや、そんな無能な者を貴族にしたままにしておいた儂の失敗か。
このままでは、儂が討伐されてしまうわ。
だから、この際、無能な貴族を取り潰す。わかったな?」
この結果、王国の3分の2にも及ぶ、貴族家が取り潰しとなった。
はむかおうにも、帝国に破れ抵抗できる兵力などなかったからだ。
そんなことをよそに、子爵と俺は執務を休憩し、二人でお茶を飲んでいた。
「コウジ殿、王城の使者への返答は、少し過激すぎたのではないか?」
「そんなことは、ありません。俺の見るところ、アレク国王陛下は、賢い王です。
ただ、周りに賢く、王に献策できる者がいないだけです。」
それを聞いた儂は、〘この目の前にいる男と比べられては、誰もが無能になってしまう〙のに、、と呆れるのであった。




