第四話 テント村
カルロ商会には、薬品や包帯、消毒用の焼酎を頼んだほかに、もう一つ依頼したものがあった。
その数は多く、遠方からの仕入れとなるため、ようやく第一陣が届いたのは、地震から二週間経った日のことだった。
ブルータスとハバナの街には、20棟。その他の村々には、5棟ずつ。第一陣で届いた100棟余を配分した。
配分したのは、ゲル。北方の遊牧民族が住居とするテントだ。一棟に20人は、居住できるすぐれものだ。このあと、10日ごとに第三陣まで届く手配になっている。
これまで、幸いなことに、雨が少なかったが、地震で家々を失い、皆、雨露を凌ぐ手段を失っているのだ。パネル工法の住居でも、皆に行き渡るには、半年以上かかる。
俺がテントみたいなものがないかと、カルロに相談に行ったところ、商会の一人が西方へ旅したことがあり、ゲルのことを知っていたのだ。
俺は、すぐさま、その男に詳細を聞き、十分な資金を持たせ、その男ほか四人を馬で送り出した。
男達は、自分達の双肩に、皆の命運が架かっていると知ると、奮い立って、出かけて行った。
ゲルが届くと、すぐさま、ハーベスト家の者達を集め、ゲルの組み立て方の講習を行い、ゲルの資材と共に、街と村々に送り出した。
こうして、ハーベスト領の街や村々には、ゲルのテント村が出現した。
余談であるが、レイネがどうしても、ゲルの体験をしてみたいと言い張り、仕方なく俺が付き添うことになったのだが、レイネに寝ぼけて抱きつかれ、大変な目にあったのは、ハーベスト子爵夫妻には、絶対の秘密だ。
もし、ばれて、責任を取れ。などと言われたら、どうしよう。




