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第三十話 ギルドメンバーの行方

「ロザリー、ガストルから何か話を聞いているか?」


「以前から体調不良というのは聞いていたのですが、定例会に欠席するとは聞いていません」


「そうか、ありがとう。ガストルが心配だな。彼は王都に家があるから誰か見舞いに行ってくれないか?」


「わかりました。そういうことなら俺が行ってきます」


 ガストルには初仕事の時から世話になっているので立候補した。


「ありがとう、カイル。任せたぜ」


 定例会終了後、カイルはガストルの家に向かう。


 家までは馬車で数十分かかった。


 玄関の扉をノックすると中からガストルが出てくる。


「やぁ、カイルじゃないか。今日はギルドの定例会だったね。無断で欠席してしまってすまない」


「いえ、そのことはいいんです。心配だったんで来ました」


「そうか、ありがとう。とりあえず中へ入って」


 カイルはガストルの家に入ると、テーブルに備え付けられている椅子へ座るよう促された。


「マグロックさん、何か言ってたかい?」


「ガストルさんのこと心配していましたよ」


「そうか……他には何か言ってたかい?」


「他? いえ、特には」


「……そうなんだ。せっかく来たんだ何か食べていきなよ」


「ありがとうございます。ですが、次の仕事がありますので気持ちだけ」


「わかった、仕事頑張れよ」


「はい、ありがとうございます」


「ガストルさんも体調が回復したら戻ってきてください。みんな待っていますので」


「そうだね、回復したら戻るよ」


 カイルは帰る前にマグロックの言っていたことをもう一度思い返してみるがガストルに対しての発言で新たに思い出したことはなかった。


 ガストルと話し終わった後、ギルドの建物に戻ってきてマグロックに報告する。


「どうだった?」


「少し元気なさそうでしたが、回復したら復帰すると言っていました」


「無事で安心した」


 ――それから三日後の朝、カイルは仕事準備のためギルドへ来ていた。


「おい、皆集まってくれ!」


 マグロックがギルドメンバー全員に召集をかけていく。


 今日はガストルを除いて全員がいる。


 カイルはマグロックの表情から何かただならぬ雰囲気を感じた。


 集まったギルドメンバーにマグロックが話始める。


「……今朝、金庫を確認したら中の資金が全てなくなっていることがわかった!」


 その言葉を聞いたメンバー全員が驚きの表情をあらわにする。


「冗談ではなく、何者かに盗まれたということですよね?」


 エリックがマグロックに確認する。


「そう考えている……」


 メンバー全員が一斉に沈黙する。


「俺は違いますからね! いくら新人で資金に困っていてもそんなことしませんから!」


 レスタが沈黙を破り発言した。


「俺も新人ですがそんなことはしません」


 レスタが発言したことにより、黙っていると怪しまれると思ったのでカイルも続けて発言する。


「大丈夫だ! ワシは皆を信じておる」


 マグロックはギルドメンバーに疑念を向けていないことを明確にした。


 すると一同は再び沈黙に包まれた。


「……あの、非常に申し上げにくいのですが……」


 長い沈黙の後、受付のロザリーが口を開く。


「ん? どうした?」


「……仮に今ここにいる全員が無実だった場合で考えてみました……」


 カイルはロザリーの発言を聞いて次に何を言うのかは何となく想像できたが、そう思いたくなかった。


 初仕事の時も親切丁寧に指導してくれたし、何度も会話している。


 家に訪問した時も普通に会話した。


 そんな人が、こんなことをするはずないと思っている。


「……可能性として考えられるのは……ガストルかもしれません」


「……あいつからも話を聞いてみよう。カイルまた頼まれてくれるか?」


「わかりました!」


「あのー、俺も行っていいですか?」


 レスタもカイルに同行したいと発言する。


「わかった、それじゃ二人で行ってくれ。エリックとスコラムは俺と一緒に調査だ。ロザリーはギルドの受付に戻り、カミールとレイジーンは待機してくれ」


 マグロックから指示を受け、それぞれが目的に向かって行動を開始する。


 カイルとレスタは馬車に乗り込み、ガストルの家を目指した。


「俺は本当にやってねぇからな」


「わかっている。そんな嘘をつくような人間には見えないからな」


「なんだよ、思ったより人を見る目あんじゃねぇか。……俺もお前がやってねぇことは信じてる」


 二人を乗せた馬車はガストルの家に着いた。


 馬車から降りて扉まで近づいてノックしてみる。


 数回ノックしてみたが、家の中に人がいる気配がない。


 その後も何度かノックしてみるが、やはり反応はなかった。


(留守か)


 ドアノブに手をかけて手前に引いてみると扉が開く。


(鍵がかかっていない)


 二人は顔を見合わせると互いに頷き、カイルを先頭にして家の中へと入る。


「ガストルさーん!」


 部屋の中で二人は声を出してみるが、何も反応は返ってこない。


「やっぱり留守みてぇだな。……なぁカイル、留守なんだからよ、ガストルさんには悪いけど少し手掛かりになるものがないか調べようぜ」


 カイルは空き巣みたいな行為に抵抗感を感じたが事態は急を要するため同意する。


 レスタは外で待機してガストルが帰ってきたらカイルに合図する段取りで進めた。


 カイルはしばらく部屋を物色していると紙の束を発見する。


(ん? これはなんだ?)


 紙の束確認してみるとギルド マグロックの売上に関する資料だった。


(なぜこんな資料がガストルさんの家に?)


 カイルは資料をいくつか持って外で待機しているレスタの元へ行った。


「お? どうした? 何か見つかったか?」


「ちょっと気になるものを見つけてな」


 カイルはレスタに家の中で見つけた資料を見せる。


「この資料は……なんでこれがガストルさんの家にあるんだ?」


「わからない。これは回収して後でマグロックさんに報告しよう」


 その後、カイルとレスタは周辺の人へ何かガストルの情報が得られないか聞き込みをしてみる。


 数人に確認したところで事情を知っていそうな近所の住民と話せた。


「ここの人かい? ちょっと前に荷物をまとめて馬車に乗せて出ていったよ。何か急いでたみたいだね」


「どこに向かったかご存知ですか?」


「いやー、そこまでは……」


「どっちの方角に向かったかだけでも教えてください」


 カイルはガストルが向かった方角を教えてもらうと礼を言って馬車に戻る。


「レスタ、ギルドに戻るぞ!」


「ちょっと前に出て行ったって言ってただろ? ってことは、このまま追いかけたら追い付けるんじゃないか?」


「それも考えたが、まずはマグロックさんに報告することが先決だ。資料の件もあるしな」


 二人はギルドに戻り、マグロックのいる部屋へ向かった。

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