表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔狼の恩返し  作者: 花畑
7・終章~新たなる神~
81/89

エピローグ

裏ボスの登場です。

 全ての戦いが終わり、安堵する俺達に迫る脅威。

 ”無”によって吹き飛ばした雲の切れ間から世界を断絶する亀裂が、割れ目が現れる。


『おめでとう。私の可愛い可愛い、愛しい愛しいオルフ。遂に至ったのね』


 割れ目から伸びる鎖が、安堵していたが油断していた訳ではない俺の首に、易々と巻き付く。


「オルフ!!??」


 ベラが、スノウが、ルナが、クロイツェルが、カリン嬢が、仲間達が総出で鎖を断ち切ろうとするが、ビクともしない。

 感覚として理解できるのは、この鎖は()()()()そのもの。



『無駄ですよ。その鎖は私達、神々が総出で作った理の1つ。今は亡き【  】と同じもの。”無”のように、理に干渉できるものでなければ破れない』


 理さえも消し去る”無”を放った直後の俺達に、再度の”無”を放てぬ程の疲弊をした俺達に語られる非情な真実。


「やはりですか。ジャミラ様は良くて3回だと言っていましたが。全力を越える全世界からの希望(信仰)は、やりすぎでしたか」


『神は下界に過度に干渉しては、ならない。長く留まっては居られない。(コレ)は、そういう理。その具象。ようこそ、私の可愛い可愛い、愛しい愛しいオルフ。同僚として、仲良くしましょうね。ね!』


 良くて三回、ジョイフルに一度、この戦いで一度の全力を越えた戦闘の計二回。

 あくまでも、()()()()()の基準は、この戦いの過度の酷使により、とっくに限界を迎えていた自覚は有った。

 ゆっくりと割れ目へと、亀裂へと引きづられながら、最期に我儘(恩返し)を果たしたことへの満足感で、観念して運ばれる。

 これからは、敬愛するアスラ様のために生きていきながら、ベラの今後を見守っていこうと思っていた。




「行かせない!! そんな()()よりも、私の方が良いはず!!!!!」


『と、年増ぁ!!!??』


 大変に失礼で的確な叫びと共に、俺と同じ神となったベラの手から、俺を逃すまじと”()”が伸びる。


「ベラ! 止めてください!! このままでは貴女まで!!!」


『無駄ですよ。小娘!! たった1柱の神の力で、理は破れません。ましては、生まれたての()()()()小娘の貴女では、尚更のこと!!!』


 年増呼ばわりに激昂したアスラ様の叱咤を聞きながらも、俺に絡み付けた鎖を引く手を緩めない。

 俺と共に引きづられて、このままではベラまでもが神界に連れ込まれてしまう!!


「行かせない! 絶対に行かせない!! 引き戻せないなら、貴方を()()では行かせない!!!」


 それでも、俺と共に引きづられながらも、手を緩めず諦めない。

 可憐な手に鎖が食い込み、血が流れだしても、引きづられて、その身を周辺の瓦礫で擦られても緩めない!!



 理を打ち破るための”無”は、疲弊のために撃つことは出来ない。



 理を破るスキルも能力も俺には、俺達には、残されていない……。



 ーーーーーー

 ーーーーー

 ーーーー

 ーーー


 ーー


 ー















『シルバは幼い時から罪悪感と使命感だけを糧に生きてきた。この戦いを無事に乗り越えられたら、シルバは報われるべきだ。仮に無事で無かったとしても、()()()()()()()()()()()



 ーー【言霊】ーー



 心の底から想うなら、願うのなら、信じるのならば!

 人の生死を、天地の上下を、()()()()ですら覆すことの出来る大恩人、アレクセイ・ヴォルフが生前に語った本気の言葉!!

 その言葉通りに次の生、オルフ()()()が報われるようにと、(ユキ)に、(ツララ)に宿る!!!




『そんな!!? 嫌!?? 嫌ぁぁぁあぁぁあぁああぁぁあ!!!!!??』


 半狂乱で髪を振り乱しながら、アスラ様が追いすがってくる。


「アレク。ありがとう。貴方に受けた恩に少しでも報いたことを、仕えられたことを誇りとします」


 (ツララ)によって弾かれ、緩んだ世界の理()に、万感の思いを込めて(ユキ)を振り下ろす!!!




 断ち切られた鎖が、地に落ちる前に光となって、空に溶け込んでいく幻想的な光景。


『ああぁぁああぁぁああぁ!!!! そんな!? そんなぁぁああ!!!??』


 必死に追いすがり、俺に寸でのところで触れそうになっていたアスラ様に、俺を縛っていた世界の理()と同じものが巻き付く。


「アスラ様。貴女には感謝しています。どんなことをされても、俺に愛想が尽きて加護を取り上げたとしても、貴女を変わらず信仰することを約束します。……ですが、俺の人生を狂わせた神に対して、親愛も恋慕も抱くつもりは有りません!!!」


 俺の決別の言葉を受け、目を見開きながら鎖によって神界に引き戻されていく。


『そんな!!? あああぁぁあ!!! 私の愛しい愛しいオルフ!!! 貴方が私を愛さなくても私は!! 私は!!!!!』


 アスラ様を引き戻し、割れ目が閉じていく……。


『……バイバイ。年増』


『ふわぁあ。年増。バイバイ』


 誰の影響なのかユキとツララが、俺を連れて行こうとしたアスラ様を敵視し、それぞれが中指を立て、親指を下にしながら舌を出している。


「元凶は、アレか……」


 振り返ると仲間達が同じポーズでアスラ様を見送っていた。

 特にベラとスノウが両手で、入念に嫌悪を表していた。


「教育上、あまり良くないんだがな」


 俺の生還を仲間達が喜んでくれている。

 ユキとツララに対して良くないことだが、その想いが嬉しく顔が緩んでしまう。





 割れ目が閉じきり、全てが終わったことを静寂が伝える。




 俺の、俺達の戦いが終わる……。







まだ続きます。


完結まで更新は平日午前6時、土日祝日午前1時に行います。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ