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第7部第11話

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「ええと……本気ですか、アゼリアさん?」

思わず聞き返してしまった。

「ええ、本気よ。正直、悩んではいたの。今のままでは駄目なんだろうとは思ってたわ」

真剣な表情を見れば、嘘を言っていないことくらいはわかる。

だけどなぁ……

「アゼリアさん、ここを出るということは、今までみたいな生活は出来なくなりますよ」

「そうね、もうちやほやされることは無くなろうだろうし」

――違う。クリスティアを出てコランダムに行くという意味が判ってない。

下手をすれば、裏切り者だ。クリスティアには戻れなくなる。

「――覚悟はあるんですか?」

「ええ、昨晩の件で、全部吹っ切れたわ。貴女が背中を押してくれたのよ、アイリさん」

駄目だ。こうなったら、アゼリアさんは絶対に引かない。もう何を言っても無駄だろう。

「判りました……アゼリアさん、ここを出るという事は、まだ誰にも言ってませんよね?」

「ええ、言っていないわ。どうせ反対されるのがオチでしょうし」

……今から準備をして間に合うだろうか?

ううん、絶対に間に合わせないと、アゼリアさんの命が危ない。

「では、今から出かける準備をしておいて下さい。夜までに」

「ちょ、ちょっと、いくらなんでも、早すぎよ、それに夜って!」

さすがに、アゼリアさんは慌てる。でも、ここは譲るわけにはいかない。

「説明は後です。本当なら今すぐにでも出たいんですけど、人目がありますから」

私の真剣な気持ちを読み取ったのか、アゼリアさんはしぶしぶながらも頷いた。




夜半過ぎ。皆が寝静まった頃を見計らって、アゼリアさんの部屋の戸を叩く。

「こんばんは、アイリです」

「入って頂戴」

昨日の一件から、アゼリアさんは部屋を移動して、私の部屋の直ぐ真上になっていた。

元々荷物が少なかったが、ほとんどカバンに詰め込んだせいで、物はなく、殺風景だ。

見る人が見たら、泥棒にでも入られたか、夜逃げしたかと思うだろう。まあその通りだけど。

「着替えていなかったんですね」

「侍女にだって会わなければ、こうなるわよ」

多分、自分一人で着替えたことなどないのだろう。

アゼリアさんの格好は、これから森を抜けるにはそぐわない格好だ。

先が思いやられる……

「それじゃ、行きますよ。音を立てないでくださいね」


再び私の部屋に移動して、隠し通路から外に出る。

「こんな所に……用意周到ね」

「私みたいな外れ者は、何があるか分かりませんから。では、声を出さないでくださいね」

私達は、そっと集落から離れた。

追ってくる気配はなかったが、用心するに越したことはない。


数刻後。周囲に何も見えなくなってから、一旦立ち止まる。

「もう大丈夫ですよ、アゼリアさん」

そう声をかけると、アゼリアさんは、ほうっ、と息を吐く。

「全く、こんな夜中に出て行かなくてもいいのではないの?」

「いえ。動くのならば、早いほうがいいですし、あまり目立ちたくありません」

「それに、シルフィは? クロード様に挨拶しなくていいの?」

アゼリアさんの疑問はもっともだ。だけど話してる暇はない。

「今は一刻を争います。早くここから離れたほうがいいでしょう」

「何故そこまで焦っているの?」

「昨日の魔獣騒ぎですよ」

話しながらも歩くスピードは緩めない。


「今回の事件は、ただの魔獣騒ぎじゃない。誰かが裏で糸を引いているんです」

そう告げると、彼女の表情がこわばった。

「取り巻きの方たち、夜のことを知らなそうだったじゃないですか」

「そう言えばそうね。でも、大騒ぎになるから伝えていないのかもしれないわ」

「あの方たちは、急進派に属されてますよね、確か」

「ええ、でも、それとどんな関係が?」

「あの襲われた地域は、中立派の方が多かったんです。アゼリアさんも中立派ですよね」

コランダムと同じように、クリスティアもやはり一枚岩ではない。

急進派、慎重派、中立派など派閥に分かれている。

その派閥の中でさえ、権力争いが起こっていたりする。どこの国でも状況は同じだろう。

こういう時の、私の勘は、大体当たる。それも、悪い方向に。


「中立派の名が知れてる方で生き残ったのは、アゼリアさんただ一人だそうですよ」

「なんなのそれ、それじゃ、まるで……まさか――」

思い当たる節があったのか、足を止めてうずくまる。

自分が命を狙われていたと判ったのだろう。

「確証がないからなんとも言えません。ですが、可能性は大いにあると思います」

私はそんな震える彼女の手を取り、何とか立たせると、手を握ったまま再度歩き始める。

「大丈夫です。私が必ずお守りしますよ。ですから、今は急ぎましょう」

私がそう告げると、アゼリアさんは、こくりと頷いた。



しばらく歩いていると、徐々に視界が開け、うっすらと足元にあぜ道のようなものが見え始める。

ようやく森のコランダム側に入ったようだ。

丁度朝日が昇ってきたところだ。周りが少しづつ明るくなっていく。

この森には、かなりの魔獣が住み着いてはいるが、幸いこの辺りのは夜行性がほとんど。

なんとか出くわさずに済みそうだ。

「やっと夜が明けたわね。ところで、アイリさんは、シルフィが犯人、とでも言うつもりかしら?」

「へぇ……」

私は思わず感心した。

この短期間で、しかもこの状況からそこまで頭が回るのは凄い。

「貴女の話しぶりだとその答えしかないでしょう? シルフィは急進派だし」

「そうですね、でも多分、シルフィさんは、使われているだけですよ」

アゼリアさんは首をかしげた。

「私の部屋に向かうように指示したのは、多分、いえ、間違いなくクロード様ですよ」

「クロード様がっ?! まさか、そんなこと?! 貴女、クロード様の婚約者でしょう?!」

これには流石にアゼリアさんも驚いたようだ。

「そうでなければ、説明が付かないんですよ。ラディス卿ですよ、アゼリアさん」

「ラディス卿!? まさか、本当にコランダムと戦争を!?」

「知っていたんですね、アゼリアさん」

「ええ。噂程度には。でも、どうして貴女も知っているの? コランダムにいたのでしょう?」

以前の婚約時のいざこざは誰にも伝わっていないのだろう。

知ってるのは、当事者である私、クロード様、ラディス卿、ルビス様と一部の貴族のみ。


クロード様本人も、そしてシルフィさんも、急進派の一派だ。

今回参加したのは、ほとんどが急進派と中立派で、慎重派の方はあまり参加していない。

事故に見せかけて、中立派の面々を処分しようとしたのだろう。

あの魔獣を見た時は思わなかったけど、今考えると明らかにおかしい。

もしあれがこの辺りの森で生息しているものだったら、魔獣の痕跡があるはず。

でも、クリスティア側にはそれがなかった。

多分あの時と同じように、魔術か何かで作り出したものだったんだろう。

街の外に出ない様に、操っていたのかもしれない。

アゼリアさんが魔獣に殺されるのを、私とシルフィさんとで証人になって貰うつもりでいたんだろう。

私が倒しに行くのは予想外だったのかもしれない。

目立つ事はする筈ない、とクロード様思ったのかな? それとも、それも織り込み済み?

もしかしたら、今も見張られているのかも。

まさか、狙われたりしてないよね……?

鼓動が早くなり、息が荒くなる。私の背中から冷や汗が流れ始めていた。


「アイリさん……?」

アゼリアさんの声で、我に返る。

急に黙ってしまった私を見て心配になったのだろう。

だめだ、私まで弱気になっちゃ。

「……その話は後にしましょう」

私達の視界に検問所が入ってきた。少し前は無かった物だ。

魔獣が増えてきたこと、そしてクリスティアの動向を探る目的で最近設置された。

これを抜ければ仮に追っ手が来ていたとしても簡単には入ってこられなくなる。

門の前には、男性兵士が四名、女性兵士が二名。

全員がこちらに警戒する視線を向けている。クリスティア側からやって来たのだから当然だ。

「だ、大丈夫なの?」

「ええ。これでも、コランダムでは結構顔は通るほうなんです。身分証持って来ましたか?」

「あるわ」

アゼリアさんがクリスティアの住民票を見せる。

私も、隠してあった騎士団の紋章を兵に見せた。

すると、応対した女性兵の態度ががらりと変わる。

「お帰りなさいませ。そちらの方は?」

「私と同族の精霊ヒトよ。しばらくコランダムに滞在するから」

検問所の門を潜り抜ける。

ここから先は、コランダム領だ。森の奥の方に、王宮の塔の部分が見えている。

あ、そうだ。一応伝えておかないと。

「――そうそう、クリスティアの北の森で、一昨日魔獣騒ぎがあったの。調べてもらえる?」

「は。報告はいかがなさいますか?」

「一応しておいて。私からも言っておくから」

「承知いたしました」

兵とのやり取りを見て、アゼリアさんが目を丸くしていた。

「アイリさん……貴女、一体!?」

まあ、そりゃそうか。普通と逆だもんね、応対が。

「詳しい話は……そうですね。とりあえず、王都コランダムに入ってからにしませんか?」

「コランダム王都……来るのは初めてね。こんな遠くからでも見えるなんてやはり大きいわね、王宮は」

アゼリアさんが、少し恨めしそうに塔を見やっていた。



大通りは、朝から大勢の人でにぎわっていた。

先日の会議で決まったことで、当面の間は、月二回程、日の出から日の入まで、自由市場を開くことになった。

コランダムの住民だけでなく、他の都市国家の者も身分証があれば、入国税なしで利用できるとあって好評みたい。

しかも、税を無料にしようといったのは、ルビス様本人らしい。

さすがはルビス様。やっぱりすごい。憧れる。

「朝市かしら。賑やかね」

アゼリアさんは、落ち着かない様子で周囲を見渡す。物珍しいのだろうか。

「そうですね、何か買っていかれます?」

「時間がないんじゃなかったの? それに、歩きっぱなしだったんだから、疲れたわ」

「確かに疲れましたね……先にリヴァノールの寮に向かいましょうか」

「話は通っているの?」

「急だから、直ぐに部屋には行けないかもですけど、休憩くらいはさせて貰えますよ」


大通りから一歩入る。早朝だから、こっちの方はまだ静かだ。

裏道をぐるーっと回ってリヴァノールの裏門に到着。

「ずいぶん奥まった所ね。裏門かしら」

ここだけは、寮生活の生徒のために、いつも鍵が開いているのだ。

一見、どこかの民家のような風貌で、学園の門らしくない。

元々、比較的平和なコランダムだし、物盗りが侵入した話も聞かないしいいのかな? 物騒だけど。

門を入って、そのまま校舎の脇を抜ける。演習場の角を曲がると、すぐに寮の前に出た。

そのままミラさんの部屋の戸を叩く。

「お早うございます、アイリです」

「あら、アイリ。珍しいわね、こんな早くに。開いてるわよ」

「失礼しまーす」

戸を開ける。

こんな朝早くだから、準備しているとは思わなかったけど流石。

少し待たされるかと思ったのに。

「あら、そちらの方は?」

ミラさんの質問にアゼリアさんが名乗る。

「アゼリア=クリスティアよ」

クリスティア、の名前に、納得したような表情を浮かべる。

「ああ、なるほど。編入かしら?」

「話が早くて助かります。書類はここに来る前に、門の所の衛兵に提出したので後で届くと思います」

「ここに持ってきたって良かったのに」

確かにそれの方が事務的には早いかもしれないけど。

最終的に王宮印が必要だから、結局二度手間になるような気がしたのだ。

理由を説明すると、ミラさんは納得したようだった。

「ま、確かにね。この方が合理的か。まあ、とりあえず」

そこで、アゼリアさんの方に向き直った。

「ようこそ、コランダム、そしてリヴァノール魔法学園へ。歓迎するわ」

「ど、どうも……貴方は、光の人?」

「ええ、そうよ。ああ、クリスティアには火属性以外は居ないのかしら?」

「少ないと思うわ。ここみたいに多種族な都市くには珍しいと思うけど」

「まあ、そうね。とりあえず、貴女の部屋を決めないとね――案内するわ」


アゼリアさんの事を考慮して、一番広い部屋にしてもらった。

貴族階級の子が住むように作られた部屋で、窓からは、学園の広い中庭が見渡せる好条件だ。

遠くには、王宮の塔も見える。

「眺めがいいわね。なかなか気に入ったわ。狭いのを我慢すればね」

ミラさんが、信じられないといった表情でアゼリアさんを見た。

「どんなお屋敷に住んでたのよ、貴女……」

クリスティアでの立場は、私より上だということをミラさんに伝えると、少し顔がこわばっていた。




一休み入れた後、寮の食堂で朝食をほおばる。

「この『ハンバーガー』というものは中々面白いわね」

「そうですね。パンに肉を挟むという単純な物なのに、何で誰も思い付かなかったんでしょう?」


私たちが、チキュウに行った後、ルビス様が、王宮と学園の食事改革に乗り出した。

ここの食堂も、実際、レーコの国で食べられているレシピを持ち込んだものだ。

私たち精霊にはなじみのない料理だけど、実は人気がかなり高い。

今は早朝だけど、朝練組が戻って来るから、この時間から開いているのだ。

昼休みの時間は、かなり混雑する。


「それじゃ、今日は、学園の案内をして、王宮は明日にしましょうか」

「そうして貰おうかしら」

食事を終えた私たちは、学園で一番広い講堂へ向かう。

「ここが大講義室ですね。今、丁度午前の講義が始まる時間ですね。覗いていきます?」

「そうね。どんなものかを見ておきたいし」


一番後ろの開いている席に、適当に座る。


『――つまり、この世界における魔力には火、風、水、氷、光、地、闇の七種がある』

どうやら、魔法の初期講座のようだ。レベルは1かな? よく見ないで入っちゃったけど。


『これは、われわれ精霊の力に大きく関わっている。ここまでは理解できるな』

そう言って先生が講堂をぐるっと見渡す。

『当然、この国は火の国だから火精霊が一番多い……が』

「あ」

目が合った。

『ほう、珍しいのが来ているな』

生徒が一斉にこちらを振り向く。


『お、おい、あれって、あの、アイリ=クリスティアか?』

『すげぇな、入って三年でもう特待生なんだろ?』

『だけど、何でここにいるんだ? ここレベル1だぜ』

『ねえ、あの隣の女の人、凄く綺麗! 誰かしら?』


大騒ぎになりそうだったので、慌てて一礼して、部屋を出た。

やばいやばい。


「もーっ、先生、黙っててくれたらよかったのにぃ。目立っちゃったじゃない!」

「貴女って有名人なのね? 門の兵もそうだったけど」

「明日から囲まれるの覚悟した方がいいですよ。こういう話ってみんな大好きだから」

「憂鬱だわ」

私の一族って言ったら間違いなく注目の的だ。

間違いなく、大騒ぎになるだろう。悪い意味で。

こう言っちゃ悪いけど、無駄にプライドだけが高いリュートみたいなのがゴロゴロいる。

絡まれたら面倒なことになることは必至だ。



逃げるように次の場所に移動した。この辺は最近できた新しい建物だ。

「ここは? 随分広い場所ね」

「ここは、自主鍛錬所ですよ」


私は鍛錬所の中を見渡す。

目的の人物はすぐ見つかった。


「あら? アイリじゃありませんの」

「アイリさんお早うございます」

もちろん、レーコとリュートの二人だ。

この二人は、いつもこの時間はこの場所で鍛錬をしている。

最近、家の事とか、ルビス様のおつきとかいろいろやることが増えたせいで、この二人に差を離されていないか心配している。

まあ、もちろん、このまま離されるつもりはないけどね?


「おはよ、二人とも。やっぱりここにいたんだね」

「そちらの方はどちらさまですの?」

「あ、紹介するね、この人は……」

「アゼリア=クリスティアよ。ここにいるアイリさんと、遠い親戚みたいなものね」


私が紹介する前に、アゼリアさん、自分から名乗っちゃった。私の仕事取らないでほしいなぁ。

仕方ないので、二人を紹介することにした。

「アゼリアさん、こっちがこの街での幼馴染のリュート。んで、こっちがレーコ。二人とも私と同じクラスですよ」

「私は、リュート=ミシュラルと申しますわ。ここの学園長は、私の父ですわ」

リュートが胸を張る。

「はぁ」

「リュート、その自己紹介は、正直どうなのよ」

「問題ないですわ。この学園は精霊なら誰もが知ってる所ですわ」

「学校でしか通用しないって」

「大丈夫ですわ 騎士団の方々にはベルゼ=クラインの従妹で通じますわ」

「いや、そういう問題じゃあなくってさぁ」


隣を見ると、アゼリアさんは苦笑していた。

「貴女面白い方ね」

「お褒め頂き光栄ですわ」

「いや、褒めてないでしょ、絶対」


「なるほど、これがあなたの素なのね」

「あ、ごめんなさい。ちょっと恥ずかしいですね」

つい、いつもの口調でしゃべってた。


「うーん、おしとやかなアイリは違和感ありますわね」

「ちょっとリュート?!」

「そうですね、王宮でも騎士団の先頭に立っていますし」

「え? 王宮? 騎士団? どういうこと?」

「あ、あはは……」

あーあ、折角ルビス様と謁見するまで黙っておこうと思ったのにレーコにバラされちゃった。

ま、仕方ないか。私もレーコの身元バラしちゃったし。おあいこってことで。


「アイリ、もしかして、まだ言ってなかったんですの?」

「急遽来る事になっちゃったから、説明してなかったんだよね」

「私たち3人は、表向きは学園の特待生ですけど、実際は王宮で騎士として働いているんです」

「え?!」

レーコから思わぬ真実を聞かされ、目が点になるアゼリアさん。

「アイリは、ルビス様専属の侍女であり、近衛もやっていますのよ」

「ルビス様専属?! 近衛っ?!」


こんな私だから、かなり微妙な立ち位置だということを伝えると。


「なるほど……貴女も大変だったのねぇ……とでも言うと思った!?」

まあ、当然、アゼリアさんは顔を真っ赤にして怒り出す。

「そういう大事な話は、先にして頂戴! これじゃあ、私、完全に裏切ったと思われるじゃないの!」

「ご、ごめんなさい! でも、私言ったじゃないですか、覚悟はあるかって」

「ここまで大きなことだとは思わなかったわよ。まあ、過ぎたことは仕方ないわね……」

ふぅ、とアゼリアさんはため息ひとつ。

「あの衛兵の態度は、そういうことだったのね、納得したわ」


「リヴァノールって、対外には知られてないけど、実は、コランダム騎士団の養成も兼ねてるんです」

「通りで貴女が強いはずだわ。これじゃ、クリスティアがコランダムに敵わないのも納得ね」




明日の朝、ルビス様に謁見するということで、話を落ち着かせたところで、私たちは二人と別れて寮に戻ることにした。


そして翌朝。思いがけない出来事が、コランダムの街に起こったのだった。


続く

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