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盲目の悪役令嬢  作者: 桜木風
7/11

~閑話~俺の婚約者(殿下視点)

2話連続投稿

ただ殿下がアイリーン可愛い、好きだなというのろけ話です。

 


 俺の婚約者は可愛い。



 婚約者など嫌だと思っていたが彼女はいい意味で俺を裏切った。

 初めは他の令嬢と少し違う彼女を知りたいと思った。少し興味がわいた、ただそれだけだったんだ。


 彼女は全く会いに来る気配はなく、セバスに説かれ俺から彼女に会いに行った。彼女は鍛錬用の広場の隅の、クローブの花が咲く中に座っていた。声をかけると彼女は恥ずかしそうに俺に会いたいと思っていたといった。

 会いに来なかったのに?ではなぜ会いに来なかったんだ。そう思って口にした言葉は思っていたよりも低かった。


 自分でも驚いたがそのとき俺はイラついていたのだと思う。他とは違うと思ったが、自分に媚を売るために嘘をついているのか、会いたいという言葉とは反対に会いに来ない矛盾に対して無性に腹が立っていた。


 どんな言い訳をするのかと思ったがその答えは予想の斜め上をいっていた。言葉を濁しながら汗のにおいが気になると彼女は言ったのだ。確かに令嬢というものは臭いを気にする生き物だ。気にしすぎて無駄にコロンを使い不快な臭いを放つ奴もいるくらいだ。だが…。


 うん、臭わない。


 においを嗅いでみたが全く汗臭いなんてことはなかった。むしろ自然な花の香りをまとった彼女はいい匂いだとも感じた。



 なんだ全く問題はないじゃないか。こんなことのために俺に1カ月も会いに来なかったのか…。これからは会いに来るようにとからかいながら言うと、暗い顔にしてしまった。いつもは何も思わないが自分が悪いことをしてしまったのかと焦り、それをごまかすために頭をなでると、彼女は柔らかくほころんだ。

 目つきが怖く氷のようだと言われている彼女であったが、屈託のないその笑顔は、とても暖かかった。



 それからというもの毎日のように彼女と会った。不思議に思っていた行動は四つ葉のクローブを探すためだといったので一緒に探すことにした。クローブはよく見かけるが、三つ葉のものばかりだったと思う。初めは信じていなかったし、結局その年は見つからず、存在しないのではと思い彼女にも伝えた。すると彼女はなかなか見つからないから幸福の象徴なのですわと言い切った。存在しないなんてつゆほど思っていないのだとこっちが感心するほどに。

 うきうきとクローブを探す彼女は可愛らしく、いつもは大人びているように見えるのに、その時は俺よりも幼く見えた。


 この3年の間に1つだけ見つけたクローブは、彼女が押し花にして大事にしている。 



「あの時のイリーは本当に可愛かったなぁ。」



 先ほど誕生日のプレゼントを持ってきてくれたハンカチをみながら呟く。初めて四つ葉を見つけたときの笑顔は今も忘れられない。四つ葉のクローブは幸福の象徴だと彼女は言っていたけど、俺にとっては彼女自身がそうだった。あの彼女の笑顔を思い出すたび幸福感に包まれる。



「俺にとっての四つ葉のクローブは彼女なのかもしれないな。」



 人よりも優秀なのに謙虚で、気がきつく冷たそうに見えてとても優しい。微笑んだ姿は天使のようにかわいくて、すぐに赤くなったりする姿はどこまでも愛おしい。




 俺は彼女のことがとても好きになっていた。




 いつまでも彼女と幸せに過ごせるようにと、四つ葉のクローブが刺繍されたハンカチに願いを込めた。




お読みいただきありがとうございました。

とりあえず殿下はませがきでアイリーンが好きということが書きたかっただけです…。


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