Side-A-
僕は今、地球から離れていく宇宙船の中にいる。
この宇宙船はよく光るから残してきた君にもこの光が届いているといいな。
幼い頃から宇宙に憧れていた。
幼馴染の君と出掛ける時もよく科学博物館に連れて行ってたよね。
宇宙に旅立つ前日、君は泣きながら嫌な予感がすると言っていたけど大正解だったよ。
必ず帰るから僕のこの旅の記録を是非君に聞いてもらいたいな。
成層圏を抜けた時、船内で爆発があったんだ。
その影響で一部の部屋を除いて無酸素状態になってしまい、僕以外のクルーは死んでしまった。
その爆発の際に船の制御が一時的に効かなくなってしまってね。
どんどん地球から離れて行ってしまったのさ。
周りには何も無く、船の灯りの外は闇に覆われていた。
地球との通信も途絶されてしまったようだ。
この通信は君に渡した通信機に向けて送っているけど届いてるかわからない。
でも、こうしてもはや小さな光すら見えない先にいる君へ声を送る事だけが僕の希望なんだ。
宇宙船の故障箇所の応急処置は終わった。
食料生産施設が生きていた事は不幸中の幸いだったね。
これが無ければ死んでしまっていたよ。
通信機から聞こえていたノイズはとうの昔に聞こえなくなった。
それでも届くことを願って。
ーー君の元へ帰るよ。
あれからどれくらいの年月が経ったのか。
あの頃よりだいぶ歳を取ってしまったよ。
君は待っていると言ってくれていたがもう他の人と幸せな生活を送っているよね。
僕が選んだ道がこれであり、君が選んだ道がそれなら構わないさ。
やっと地球が見えてきた。
こちらからの通信が届いているのかもわからない。
通信機からノイズが聞こえて来た。
いつものように僕は君へとメッセージを送る。
ーー早く君の声が聞きたいな。
だいぶ地球に近付いて来たがここでついにエンジンも制御を任せていたAIも停止してしまった。
通信設備は遂に復旧出来なかった。
地球の引力に導かれ、宙から空へ堕ち始めた。
ーー僕はやっと君の元へ帰れるよ。
待ってたよ。おかえり。
通信機から君の声が届いた気がした。




