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発動された新たなる気まぐれ3
「失礼します」
理事長室に入ると、そこには樹も居た。
「庄司臣君ね。ようこそ」
葉月の笑顔には裏がある。
だが、臣はそれを知らない。
「これをどうぞ」
幸成に渡された物を葉月に渡す。
「うん、ちゃんと書類は揃ってるわね。庄司臣君、転科届け受理しました」
「え?」
「またか…」
葉月の笑顔とは裏腹に、樹は頭を抱えた。
「君ははめられたんだよ。理事長や同僚達に」
これで皆が笑顔だった理由がわかった。
本来、臣の年齢は学生だ。
通信教育で高校生ではあっても学園ライフを満喫している訳ではない。
「樹、明日が新学期だから世話をお願いね。それから、土日の魔法省への送り迎えもお願いね」
「はい…」
樹は諦めモードだった。
「学校内手続きはどうなってる?」
「それは今からするわ」
葉月は笑顔で言う。
つまり、まだ何もされていないという事だ。
「入寮手続きは?」
「まだよ。あなたの部屋にでも一晩入れてあげて頂戴」
それは客室が満杯故、当然の処置だった。
「本当、無茶苦茶ばかりしてくれる」
樹は呆れる事しかできなかった。