92/229
発動された新たなる気まぐれ1
「庄司君、君に頼みがある」
それは、4月になってすぐだった。
突然やって来た阿川幸成は、書類を持って言ってきたのだ。
「海柳高校の理事長の所へこの書類を届けて欲しい」
「甲斐さんに頼めば良かったのでは?」
「いや、君に頼みたい。友人にも会いたいだろう?」
友人とは、総平と条治の事だ。
だが、それを何故幸成が知っているかは謎である。
彼等と連絡を取り合うのは仕事の間はしないのだ。
一度樹を介して連絡した後は直接携帯だし、何故だかわからない。
「庄司、行ってきなよ」
「こっちは心配しなくていいからさ」
同僚達は、なぜか笑顔で言う。
「わかりました」
周りの笑顔は恐いが、これは命令である。
「じゃあ、明日向かい…」
「今から出発してほしい」
「そんなに急ぎ何ですか?」
「あぁ、今日中に着いてほしいからね」
そう今は午前中、それも出勤して直ぐの時間帯だった。
普通、車だと半日かかる故、急ぐのだ。
「わかりました」
臣は言うと、白衣を脱ぐ。
「新幹線使っていいからな」
「わかりました」
あまりにトントン拍子過ぎて逆に困る。
書類ケースを臣が受け取ると、幸成が笑顔で言う。
「一泊分の用意をしてから向かってくれ」
「はい」
直ぐにとんぼ返りすれば問題無い筈だが、無理だと判断したのだろうか?
別にある茶封筒の中を見ると、約一時間後の新幹線だった。




