負魔結晶15
臣が機械を仕舞うと、次は樹の番だ。
郁斗と貴史をど真ん中に立たせる。
「中村郁斗、高坂貴史、君達二人には今回の事件は一般生徒と同じく忘れてもらう。部室を出たら、これまでの事は忘れる」
それだけ言うと、持っていた箒の柄の先をトンと床につく。
魔方陣が現れ、光が包んだ。
「二人は寮に帰ってかまわない」
「中村君、高坂君、お疲れ様」
葉月は言うと、二人を部室に追い出した。
「藤原、中務、君達は忘れずにこの事を喋る事を禁じる魔法を使う。魔導同好会で大会に出るには使えなくては困るからな」
「は⁉️俺は忘れる方がいいし!」
「これは決定だ」
そう言うと、箒の柄をつく。
「完了だ」
中務、帰って構わない。
「条治君、バイバイ」
「そういう事か…わかったよ、じゃあな」
こうして、条治は寮に帰っていった。
「結城、君は床に寝てくれ」
「わかった、俺はどうするの?」
「発端の負魔結晶から忘れてもらう」
「忘れるんだね」
「そうだ。じゃあ、始める」
樹は床に手をつく。
こうして、記憶操作は始まった。
発端となりそうなものを探す。
「無い?」
そう、不審な人物が居なかったのだ。
〈仕方ない…今回の出来事と、心理負担のみにするしか無い…〉
不完全なものになるが、樹はそうするしか無かった。
「藤原、残ってもらって済まなかったな。結城と帰ってくれ」
「わかった」
総平は言うと、うつらうつらしている翔と寮に戻っていった。
「部長、結城翔の記憶を見たのですが原因が見つかりませんでした」
「ちゃんと見たのか?」
「はい。ですが、不審者の接触がありませんでした」
「仕方ない、報告書にはそのまま纏めるしか無いな」
「そうですね」
空気は重くなった。
だが、これで仕事は終了だ。
愛里は寮に居させる訳にはいかないので後で総平達と同じ魔法をかける。
こうして、魔法省職員は全員船で帰っていった。
「樹、あなた一日学校休んで魔法省行った方が良かったんじゃない?」
「そういう訳にはいきませんよ。雪村愛里を待たせているんでね」
そして、二人は愛里の元へ向かった。




