負魔結晶7
「何だ⁉」
「何⁉」
条治と総平は辺りを見回す。
グラウンドは翔の闇に包まれたのだ。
「あ、足が!」
「沈んでいく⁉」
その名の通り足が闇に呑まれていってる、錯覚を起こしているのだ。
「闇に消えてしまえ」
ニヤリと笑って翔は言う。
事実、二人の魔力を上回った翔に手出し出来なかった。
「やり過ぎだな」
その言葉は上空から聞こえた。
翔はその言葉に樹の方をみる。
いつ来たのか、全く気づいてなかった。
「幻覚に惑わされるな」
その言葉は沈みかけの二人へのことばだ。
だが、それは無駄というもの。
樹は手を二人に向けて翳した。
翔に二人を殺させる訳にはいかない、犯罪者にする訳にはいかないのだ。
二人の身体は少しづつ闇から救い出されていく。
それは圧倒的魔力の差である。
「おのれ、甲斐樹!」
怒りと共に魔力も上がる。
上下左右から闇の手が伸びた。
「魔法省に指名手配されたいのか?」
樹は言うと、魔力を放出した。
それは闇の空間を打ち砕く。
「翔!」
同時に総平は翔に向かって走った。
「翔!」
パシンという音が響く。
「お前、俺を侮辱したな?」
翔の足元の闇が総平を貫く。
「かける…」
総平の意識は遠退いてゆく。