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負魔結晶5
「久しぶりだね愛里ちゃん、それに瀬戸さんも」
上も下も無く真っ白な空間、そこにエルヴィス・フォン・アルバーニは居た。
たった一つある椅子の上に座っている。
「見ていたよ」
エルヴィスは優しい笑みを浮かべそう言うと、一つの映像を映す。
それは職員室内の風景だ。
玉が壊れた後のもので、丁寧に会話も再現されている。
愛里の知らなかったもので、初めて目的を知った。
学園はエルヴィスの手中だ。
だから、愛里が操作しなくても自動でエレベーターが動いたのだ。
「じゃあ、始めようか」
エルヴィスは言うと、座ったまま目を閉じて魔力を発動する。
魔方陣が光ると学園にそって、半円が現れる。
「解決するまではこの状態を保っておこう。二人とも帰りなさい」
「えっ⁉おじいさん!」
それと同時に遠ざかる。
戻りたくない、話をしていたい。
そんな思いにかられる。
目を開くと、元の場所に立っていた。
「雪村さん、お疲れ様」
葉月は愛里に言う。
後は樹が解決するのを待つばかりだ。