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負魔結晶1
「やっぱり、簡単に解けちゃったのね…」
女子生徒は呟く。
自分の仕掛けた魔法は、いとも簡単に破られていた。
だが、魔力量からして仕方の無い事である。
「後はカレ次第ね」
それは、翔の事である。
職員室とは別で仕掛けたもの。
そちらはもう、女子生徒の手から離れている。
「甲斐樹はどう出るかしら?」
クスクスと笑うと、彼女は消えた。
「⁉」
一瞬の高い魔力を樹は感知する。
だがそれは消えてしまったし、まだ問題も無くなった訳ではない。
それでも、魔力で翔を感知することはできるようになった。
「さて、こちらの番だな」
樹はニヤリとする。
「葉月、愛里を地下に行かせた。あんたもそちらに行ってほしい」
「?」
「魔法を起動させるんだ。向こう方のシールドが消えたから張り直してほしい。翔の魔力ではたかが知れてるだろうが、魔法効果距離を制御する。範囲は学園範囲で構わない。それから、一般人が巻き込まれているので魔法省に出向要請もだ」
「わかった」
まだ寝ている職員達を余所に、二人は動き出す。