魔力ノ在ル者ト無キ者7
「ここを拠点にする。ここは自分のテリトリーだ。暴走することは無い」
樹は呟くように言う。
だが、転移した時点で既に部室は荒れていた。
田中康雄は気絶し縛られ、それ以外は居ない。
「悪いが、部屋掃除を頼む」
ため息をつき、樹は二人に頼んだ。
「さて、始めようか」
樹は言い、目を瞑った。
学園内の映像が頭に浮かぶ。
今は学生ではなく魔法省の人間だ。
駒は三人、スクーターで走り回っている条治と総平、そして体育館に居る貴史だ。
本当は貴史と侑斗は巻き込みたくなかったが、仕方ない。
そして犯人は影使い、翔だ。
だが、そこまで魔力は無い筈だった。
「結城翔、どこにいる」
全体を探す。
建物内外くまなく、だ。
そんな中、樹は不振に思う。
学園を囲うシールドと職員室を囲うものは、知り合いのものではないのだ。
更に、職員室内は見ることができない。
つまり、第三者が関わっているのだ。
「直接見るしかできないって事か…」
「僕が行こうか?」
おずおずと侑斗が言う。
だが、樹自身が見ることができないのに無理だ。
「いや、自分で行こう。ここは安全だから鍵をかけてさえいれば大丈夫だろう」
「わかった、助けてくれてありがとう」
樹が出ると、侑斗は鍵を閉めた。