季節外れの見学会12
一瞬、ほんの一瞬のうちに樹と卓は船乗り場にテレポートしていた。
「あ、あれ⁉」
卓は場所が変わってびっくりしていた。
樹は卓の腕から手を離す。
「これも魔法の一種、間に合わないからこの方法を取らせてもらった」
「凄いです!でも、お別れいい損ねちゃった」
「こちらが伝えておくよ」
「はい!今日はありがとうございました!」
卓は手を振ると船に乗っていった。
「さて、戻ろうか」
樹は呟くと、部室にテレポートした。
「おい、卓をどこにやった!」
戻って早々、条治は樹に掴みかかる。
それはそうだ、大切な幼馴染が急に消えたのだから。
だが、樹は落ち着いている。
「電話をかけるといい、普通に応答する筈だ」
条治は言われ、慌ててかける。
「卓、無事か!何処にいる⁉」
「え、何の事?今は船の中だけど?」
条治はその言葉にへたりこむ。
「高森君が今日はありがとうと言っていた」
「甲斐が高森君と急に消えるから、びっくりしたよ」
「あぁ…あれはテレポート、魔法の一種だ」
「へぇ、凄いな…」
一方樹は総平達と喋っていた。
一通り会話をすると、条治は携帯を切る。
「甲斐、卓に何かしたら殺すからな」
「肝に銘じておこう」
樹の態度は変わらなかった。