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部活不加入者の選定1
時は遡る。
三学期入って早々、翔は五人のプロフィールを書いた紙を叩きつけた。
各々好きなことをしていた面子はさすがに視線をそちらに向ける。
「これはまだ部活に入っていない者のリストだ!」
翔は堂々と宣言する。
だが、部活は強制ではなかったか。
樹がこの部に入ったのだって、それがあるのも理由だからだ。
「そう、その通り。それでも部活に入らなかったり退部したりして帰宅部状態の者のリストだ」
樹の問に、翔はかっこつけて言う。
だが、そんなのどうでもいい。
いっそ揃わないで大会出場も中止になればいい。
心の中で、翔以外全員が思った。
「魔力が無いと意味無いよ」
田中康雄は言う。
総平も田中康雄の言葉に頷く。
だが、翔は動じない。
「それは、問題無いよ」
翔は樹を見る。
「手伝うつもりは無い」
「一応、活動しないとダメだよ」
葉月が姿を変えた瀬戸睦月が、絶妙なタイミングで現れる。
「仕方無い」
「やった、決まり!じゃあ、明日に候補者を見て回ろう!」
翔は意気揚々と言った。
「こっちも忙しいんだがな」
樹の呟きは虚しくも無視されたのだった。