落とし穴
現地調査当日。富岡は、信頼している側近2人。
錦戸と神田川を連れて、新幹線に乗りN県へ向かった。
ところが、案内役を務める予定だった役場職員が
急病で来れないとの知らせが入った。
その為、富岡たちだけで調査を行うことになった。
駅前のレンタル会社で、山道に適した自動車を借りた。
「現地までは、カーナビが案内します。ご安心ください」
ドライバーを任された錦戸が告げた。
その後。よくある山の風景が連続した。
長いトンネルに、気が遠くなりそうになった矢先、
突然、錦戸が、車を脇に寄せると停車させた。
「圏外になった!? 」
富岡が叫んだ。
次の瞬間、誰かが、窓をノックした。
「〇▲□」
窓を開けると、外国人が何やら言った。
神田川があわてて、翻訳機を差し出した。
「これから先は通れません」と翻訳機から聞こえた。
富岡が窓の外に顔を出すと、
驚いたことに、前方に、見慣れぬ異国の風景が広がっていた。
「あっちはどこかと聞いてみろ」
富岡が、錦戸に命じた。
錦戸が、富岡の指示通りにすると、
「○○国です」と翻訳機から聞こえた。
「トンネルが国境ってことですか? 」
錦戸が驚きの声を上げた。
その直後、来た道を引き返すように言われた。
まるで、きつねにつままれたような感じで、
駅前通りまで引き返した。
次の瞬間、電話が圏内に戻った。
「社長。圏外では、スマートタウンモデル地区の建設は無理です」
錦戸が告げた。
「国境って、いったい、どういうわけなんだ? 」
富岡が頭を抱えた。
「社長。これをごらんください」
錦戸が、あの地域について書かれた最新情報を探し出した。
地元の新聞記事によると、震災前。大きな工場の建設に伴い、
外国人労働者たちが集団移住してきた。
震災の影響により、その工場が撤退を余儀なくされた後も、
複数の外国人たちが住み続けていることから、
日本において、異国の村になりつつある。
なんと、更新日が、昨日の日付になっている。
後日。度肝を抜かされる事実が判明した。
圏外になっているのは、トンネルの中だけで、
トンネルを抜けた先は圏内なのだ。
トンネルの中で圏外になる為、位置情報が消えてしまう。
原因は、トンネルの中で乱れた磁場。
カーナビ機能がおかしくなるというのだ。
トンネル近くにある太陽フレア観測所を見落としたわけだ。
おわり




