↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
静時の流れ - 潮騒の誓約  作者: Minateru
始まり – 試練を越える

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

99/99

Injury World (一)

「最初は、何もなかった。」

「ただ、万物を覆う闇の空間だけが存在していた。」

「そしてある瞬間、一筋の大きな光が闇を貫いた。」

「それに続いて、すべてが……」

…

はぁぁぁ〜……

隣の煙の竜が突然顔をそむけ、目を細め、大きなあくびをした。

「またくだらない話か!」

「本題に入れ!」

「起源の話なんて誰でも知ってるだろ!」

「数歳の子供でも暗記してるぞ!」

…

目の前の実体が軽く体を傾ける。

「そうか?」

「人間はいつも、こうやって話を始めるものではないのか?」

「いきなり本題に入ったら、誰も理解できないだろう。」

…

グルルル……

その竜は、今や頭をそむけていた。

「どうでもいい。」

「簡潔にまとめて理解しやすくしろ!」

「オブザーバー。」

…

その実体の影が突然大きくなり、周囲の白い煙が徐々に薄れ、背後に広大な黒い空間が現れる。

「わかった。」

「では本題に入ろう。」

「だが、次からはちゃんと名前で呼べ。」

「ミライだ。オブザーバーではない。」

「お前もだ、ハル。」

…

「は、はい。」

唇が無意識に返事をし、目は目の前の空間から離れなかった。

そして奇妙なことに、いくら見ようとしても、その実体――ミライには、形というものがない。

…

白い煙が完全に退いた直後、広大な黒い空間が我々を包み込む。

次に、我々を取り囲むように11個の球体が並び、鮮やかな光を放っていた。そのすぐ下には、

無数の枝分かれした直線がエリアを埋め尽くし、繋がり、分岐し、交差し、絶えず伸び続けている。

そしてミライの声が、どこからともなく、直接頭の中に突き刺さる。

「時間の分岐という概念にはもう馴染みがあるだろう、ハル?」

「一つの根源的な出来事から、わずかな変化が全く異なる未来、起こりうる可能性を生み出す。」

「例えば、我々が会う直前の戦場だ。」

「もしお前があの人魚たちと残っていたら、あるいはミズノが俺との契約を履行しなかったら……」

「未来は別の方向に分岐し、おそらく……」

「この出会いすら起きなかっただろう。」

…

「だが、そんな当たり前の話は退屈だろう。」

「もっと面白い質問をしよう。」

「なぜ世界には、その世界に属さない記録が存在するのか?」

…

体を回して四方を探し、目を最大限に見開く。

「世界に属さない?」

「どういう意味だ?」

…

「考えてみろ。」

「本来、お前の世界に魔法など存在しないのに、なぜ魔法の記録がここまで詳細なのか?」

「神秘的な生物、奇妙な地名、」

「非物質の存在、一部の人間にだけ起きるランダムな現象、」

「人間がどれだけ望んでも決して足を踏み入れられない場所が、この星の上に存在するというのに?」

…

体を絶えず回して探すが、ミライの姿はどこにもない。

「それらはただの空想じゃないのか?」

「人間が理解できないものを説明するための解釈だ。」

「同時に、人間自身が、実現するのは難しい、あるいはほぼ不可能だとわかっている夢でもある。」

「今のほとんどのことはすでに説明できるはずだ。」

…

ミライの声がますます全方位から響く。

「つまりお前は神秘を否定しているのか? それが目の前にあっても?」

「人魚のような、あり得ないはずの生物がお前の目の前に現れ、対話した。」

「道具に過ぎないはずのAIが、人間のように振る舞い、意志まで持っている。」

「ランダムな個人に力を与える金属。」

「お前の腹に巻きついているこの煙の竜もそうだ。」

「お前の基準で言えば、」

「すべてただの虚構じゃないのか?」

…

「それは……」

…

ふふ……

突然、ミライの声が少し柔らかくなる。

「安心しろ。」

「ただ試していただけだ。」

「結局のところ、生き物の認識は周囲の環境と、その世界観が何を認めるかによって制限される。」

「だが、お前は気づいているだろうか……」

「お前の世界の本当の本質に。」

…

「どういう……意味だ?」

…

そして、無数の枝が伸びる球体が突然こちらへ近づき、その中の映像が少しずつ鮮明になっていく。

一つの映像、一つの街……これは……

まるで中世の街のようだ。

ただ違うのは、人々が……箒に乗って飛んでいる?

大きな板に乗って、列をなす人々についていっている?

指を弾いて火を起こしている?

は?

…

球体が突然遠ざかり、白い煙が再び包み始め、ミライのぼんやりとした影も後に続く。

「あれは別の世界だ。」

「魔法を認める世界。」

「そして魔法こそが、その世界の基盤だ。」

…

「世界の……基盤?」

…

ミライが徐々に体を小さくし、ほぼ自分と同じ高さになる。

「その通り。」

「始まりの世界から、世界は無数の異なる可能性へと分かれていった。」

「そしてそれらの可能性から……」

「最も際立った11の可能性が安定し、互いに分かれて、決して交わることのない並行世界を形成した。」

「魔法が存在する世界は一つだけ。」

「多種族が存在する世界は一つだけ。」

「人間のような人格を持つAIを創造できるほどの技術がある世界は一つだけ。」

「人間が巨大な怪獣と立ち向かわねばならない世界は一つだけ。」

「そして……」

…

一つの思考が突然頭をよぎり、まるでこれをよく知っているかのように、

体の震えが止まらず、両手で髪を掴み、次第に身をかがめていく。

「待て。」

「どうして……俺が知っている……」

「お前の言うことが……真実だと……」

…

ミライが突然背を向け、煙の中へ徐々に退く。

「知るか。」

「信じるかどうかはお前次第だ。」

「だが、俺はお前に信用されない方が好きだ。」

「その方が話しやすい。」

…

唇が軽く震え、映像が絶えず頭の中を駆け巡る。

最初から、なぜ自分は気づかなかったのか。

最初の日から、すべてが異常なほど速く進んだ。

本来本の中にしかないはずのものが次々と外に出てきた。

そして、もしかしたら……

「もしそうなら……」

「俺の世界は……今存在しているものは……」

「あまりにも……」

「多すぎるんじゃないか?」

…

ミライが白い煙を軽く両側に引き、何かを自分の方へ引きずり出そうとする。

「だいたいその通りだ。」

「本来、お前の世界はフォロックスだけが唯一の特徴で、」

「技術が少し進んでいる程度のはずだった。」

「だが、ご覧の通り、」

°

言い終わるや否や、ミライが一つの球体を引き出す。最初は他の球体と同じく枝が絶えず分岐していたが、

ある地点から、すべての枝が突然一本の直線にまとまり、

外側から伸びてきた奇妙な糸が、すべての枝に巻きつき、それらを一本の方向へと無理やり押し戻していた。

周囲にはいくつかの小さな枝が飛び出そうとするが、すぐにすべてがその一本の直線に曲げ戻される。

しかし先端の大きな枝は、少し進んではすぐに砕け散る。

「お前の世界は、そうではない。」

「理由はわからないが、他の世界が枝を伸ばし、その枝をお前の世界に固く巻きつけている。」

「そして、すべてはお前が生まれる前から始まっている。」

…

体が硬直し、目の前のものから目を離せず、頭がほとんど空白になる。

「俺が生まれる前から?」

「それなら……なぜ……」

…

その竜の頭が突然前へと這い進み、最初に固く縛られた地点へ牙を向けた。

「ちょっと推測してみよう。」

「その糸が我々の世界に介入したのは……」

「あの金属が初めて現れた時点だ。」

「外来の存在を当たり前のものとして世界に認めさせるには、完璧なタイミングだった。」

…

ミライが軽く頷く。

「間違いない。」

「そして最悪なのは……」

「その時すでに世界は認めてしまった。」

「今さら元に戻して、修正することもできない。」

…

目を二人の間で巡らせ、起きていることを理解しようとする。

「待て……二人とも……」

「結局……何の話をしてるんだ……」

…

グルルル……

竜の牙が突然さらに大きく開き、目が細められ、皺の多い顔がはっきりと現れる。

「当たり前だろ?」

「人魚どもだ。」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。