混沌に覗く牙
高い木の枝が一枚の葉も動かさず
煙煙と埃がゆっくりと練習場に広がっていく
目を見開いた視線がすべて同じ一点に向かい
体が、まるで凍りついたように
…
…
ビュウウウウ…
風が周囲の葉を吹き飛ばし
煙と埃が人々の列に向かって突進
腕を横に伸ばし、目を固く閉じる
…
ガキン!ガキン!
…
ガン!ガン!ガン!
練習場の真ん中、地面がひび割れた場所から
緑の草が金色の埃に覆われ
一つの影、手に石の鎌を強く握り
標的たちに向かって一直線に突っ込む
赤い光が四方を包み込む場所へ
…
タラ…タラ…
空間に、水滴が染み込む
金属が徐々に赤く染まり
………
「ハル。」シノミが腕を下ろし、目を細めて
「ハル!」
…
ガシッ!
「待て。」シラカワが腕を掴む
…
「何してるの!?」シノミが体を激しくもがき
「離して!」
「私が行かなきゃ!」
「ハルを助けなきゃ!」
…
「お前頭おかしくなったのか?」シラカワがシノミを練習場から引きずり出す
「今あそこ行っても何の役に立つ?」
「むしろ足手まといになるだけだぞ。」
…
「じゃあ私がここで、あの人をあんな風に見てるだけって言うの!?」シノミが顔を歪め、周りを睨み
「あの金属の連中に任せっぱなしでいいって?」
「あの人、絶対私たちをそんな風に放っておかないのに!」
…
「シラカワさん…」アヤノが手を伸ばし、目を見開く
…
ギュッ…
「分かってる…」シラカワが手を強く握り、顔を低くする
「でも…」
「でも…」
「俺…どうしたらいいか分かんねえ…」
「そのまま突っ込んで…かえって…邪魔になるだけかも…」
…………………………
ドドドドド…ドドドドド…
赤い光が周囲を照らし回り
爪が練習場の隅々まで伸び
歪んだ鎧に、赤い染みが広がる
…
どよめき…ワアアア!
人々が乱れ、四方八方に散らばる
武器が道端に散乱
目を細め、足が止まらず動き続ける
………
ガガガガ!
鋭い牙がシノミに向かって突進
長い爪が、まるで野獣のように
…
ビクン!
「 」シラカワがシノミを引っ張り、銃を標的に向ける
……
ギャリィィッ!
砂と埃の層が目の前に広がり
火花が標的全体に長く走る
爪が地面に食い込み
視線が別の方向へ
…
「何が…起きたの…」アヤノが固まり、目を見開き、唇が震える
「あいつ…私たちを…見逃した…」
…
ガチャッ!
「 」シラカワが練習場全体を見回し、銃を回す
…
…
「なるほどな…」シラカワの唇が震える
…
バン!バン!
弾丸が練習場に向かって一直線
銃口から金色の火花が輝き
シラカワの目が細まり、唇を強く噛む
…
バスッ!バスッ!
銀色の鎧の破片があちこちに落ち
火花が鉄の骨格の間で輝き
関節が徐々に動きを遅くし
標的が、次々に動かなくなる
…
「やっぱりな。」シラカワの唇が震える
……
「シラカワさん…」アヤノが手を伸ばし、顔が震える
「急に…そんなこと…」
「もし…あいつらが戻ってきたら…どうするの…」
…
スッ…
「心配すんな。」シラカワが武器を下げ、周りを見る
「俺たちは大丈夫だ。」
「どう説明したらいいか分かんねえけど…」
「でもあの金属ども…練習場から出られねえ…」
…
「それって…つまり…」シノミが目を見開き、ハルを見る
…
タッタッタッ…
「トガミさんを外に出す道を作ればいいだけだ!」シラカワが標的の集まる方向へ突進
…
…
ダッダッダッ….
「…」シノミが弓を強く握り、追いかける
…
キュイーン…
「ちょっと待ってよ二人とも…」アヤノがドローンを操作し、足元がふらつく
………………………………………………………………………………………………………………
ダッダッダッダッ…
遠く、木陰の机のところで
青い服の影、黒い箱を抱えて
汗で服がびっしょり、手を強く握り
視線が腕を組んだ影に向かう
…
「中佐…」若い兵士が体を伸ばし、箱を高く掲げる
「ご命令の武器です。」
…
スッ…
「ん。」ハガネハラが手を伸ばして箱を受け取る
「休め!」
…
「はい!」兵士が姿勢を正し、目を細める
……
ガタッ!
「まだ何待ってるんですか、中佐?」女性が椅子から立ち上がる
「全部揃ったのに、なぜ介入しないんです?」
「それとも全部遅すぎるまで待つ気…?」
…
スッ.
「 」ハガネハラが高く手を上げ、頭を少し傾ける
「俺は他人の手柄を奪う気はねえ。」
…
「どういう意味ですか…」女性が練習場を見回す
……
タタタタタッ…
練習場の周り、武器があふれる中
群衆があちこちに走り回る
三つの影が標的に向かって突進
そしてもう四つの影が、目を凝らして見つめる
………………………………………………………………………………………………………………
ガンッ!ガンッ!バキィン!!
標的の影が、練習場に長く伸び
大きな機械たちが、次々にひび割れ
…
練習場の外から、二つの影が休まず
武器をまっすぐ向け、唇を強く噛む
そして一つの影が、黒い埃のなかでせっせと
視線をきょろきょろ、金属の破片の間で
……
パン!パン!パン!
「アヤノさん、あとどれくらいかかる!」シラカワが銃を標的に向け、アヤノをちらりと
「もう弾薬が尽きそうだぞ!」
…
カチャカチャッ…
「今頑張ってる…」アヤノが手を激しく動かし、目を見開く
「でもこの数じゃ…たぶん…」
…
ヒュン!ヒュン!ヒュン!
「お願いいいから、早くして。」シノミが目を凝らし、標的に向ける
「ハル…あの人…」
「どれだけ…持つか分からない…」
……………………………………………………..
ガギィンッ!ガギィンッ!
埃の層のなか、地面にひび割れ
赤い染みが金属全体に広がり
鉄の骨格と歪んだ鎧の破片があちこちに
…
ハァッ…ハァッ…
汗が額を伝い落ち
両手が鎌を強く握り
背中が徐々に曲がり、息が詰まる
周囲の景色が、だんだんぼやける
両手が、真っ赤に染まる
……
「よくやったな。」声が頭の中に響く
「ここまで持つとは思わなかった。」
「だがこれだけなら…お前は永遠に…」
…
「黙れ…」俺の唇が震える
「何も助けられないなら…黙ってろ…」
「俺は…ただ…」
…
「お前…」牙が急に目の前に現れる
「なぜまだ動ける?」
「お前が好きなあの娘はもうゲームから降りただろ?」
「いつも通り…俺たちが知ってる通り…」
…
…
ドゴンッ!
「なぜ…なぜ…なぜ…」俺の両手が鎌を強く振り、目を必死に開く
……
「ハル…」遠くから声が響き、笑みが頭の中に浮かぶ
「ハル…」
…….
「俺は…あいつを…一人に…したくない…」
…
「つまんねえ答えだ。」牙の向こうで、目がぎらつく
「まあいい…どれも同じようなもんだ…」
…
「周りを気をつけろ…」牙の影が徐々に薄れる
「あいつらがいる…全員が…」
………
「ハル!」シノミが手を口に当てる
…
「シノミ…」俺の頭がゆっくり回り、唇が震える
「一体…なんでお前…」
...
「早く逃げて!」シノミが俺に向かって手を振る
…
「へ?」俺の目を見開き、体が固まる
………………………………………………………………………………………………………………
ドォン!ドォン!ドォン!
赤い炎が埃まみれの芝生の間で燃え
黒い煙の柱があちこちに立ち上る
鉄の破片が土煙のなか飛び散り
標的のフレームが乱れに乱れる
…
「早く逃げろ、トガミさん!」シラカワさんが手を振りまくる
「練習場から出ろ!」
「こっちの爆薬もう残り少ないぞ!」
…
ダダダダッ!!
石の鎌が急に羽のように軽くなり
俺の足がよろめきながら進む
目を細め、遠くを必死に見つめる
……
ヒュゴォォォ!!
煙の柱が青空を切り裂く
鎧が炎の輪に包まれ
……
ギュッ…
「がんばれ! もう少しだ!」アヤノさんが手を強く握る
「ハル、早く。」シノミが両手を広げる
「時間がない!」シラカワが後ろの標的に武器を向ける
…
「もう少し…がんばれ…」俺の唇が震え、目を必死に開く
…
「下がれ!」頭の中に声が響く
……
ヒュゴォォォォ……ドォンッ!!!
土埃があちこちに舞い上がり
風が髪を吹き飛ばし、火花が空中に浮かぶ
周囲の地面が黒くなり、ひび割れ
奇妙な影が背後に円を描いた
…
「一体…何が…」俺の手が顔を覆い、目を細める
…
シュン…
緑の光があちこちを照らし
半月の輪が目の前に現れる
一つの音が、あちこちに響く
…
「お前はどこへ行こうとしてる…」
「カグヤ。」




