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静時の流れ - 潮騒の誓約  作者: Minateru
残響の果てに

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36/100

帰りを待つ家

キキッ…

沈みゆく陽の下……

馴染みの街並みが目の前に現れ……

徐々に人影が消えていく道……

…

ガチャ.

「やっと着いた!」レンが車から飛び出す

…

「シノミ……」俺はシノミを見る

「…」シノミの目が窓の方を向いたまま閉じている

…

「仕方ないよな……」俺は微笑み、そっと近づく

…

俺の両手がシノミを軽く支え……

体を密着させ、起こさないように……

ゆっくり足を下ろし、車から降りる……

……

「十神様!」コウカが俺を見る

「どうしたの?」俺は振り返る

…

「これを三日月さんに渡してくれない?」コウカが袋を俺に差し出す

「もちろん!」俺は手を伸ばして受け取ろうとする

…

「俺がやるよ!」レンが割り込んでくる

「両手塞がってるのに何持つんだよ!」

…

「でも……」俺はレンを見る

…

はぁ……

「欲張りすぎだよハル!」レンが腰に手を当て

「別行動するわけじゃないんだから!」

……

「おじさんもだよ!」レンの目がおじさんに向く

…

ピクッ!

「わ…わ…わしはまだ用事が……」おじさんが顔を逸らす

…

「もういいから!」レンがおじさんに近づく

「腕があんなんなってるのに何が忙しいの?」レンがギプスの腕を指す

…

「それに俺も助けたんだから!」レンが目を細めておじさんを見る

…

「だがわしは……」おじさんが周囲を見回す

…

「家に帰りなさい、兵士!」早山先生がおじさんを見る

「残りは俺たちに任せて!」

…

「はい……」おじさんの肩が落ち、顔を下げる

……

「十神様……」コウカが俺を見て微笑む

「この時間は本当に楽しかった。」

「これで最後よ。」

…

「コウカ…でも…どうして……」俺はコウカを見る

「どうして……」

…

「これからはもうこんな簡単なものじゃない!」コウカが軽く首を振る

「君を巻き込みたくないの。」

…

「特に…私が…まだ確信が持てないうちは……」コウカが軽く囁く

…

…

「じゃあ、コウカ……」俺はコウカを見る

「この名前…聞いたことある?」

「ノクティス……」

…

「ノクティス…」コウカの目が大きく見開かれ、体が固まる

「君…その名前を…どこで……」

…

「あ、いや……」俺は慌てて首を振る

「ただ…ふと…耳に入っただけで……」

…

「頭に浮かんだだけのくだらない言葉だよ。」俺は唇を歪めて微笑む

…

「そう?」コウカが軽く囁き、唇に笑みを浮かべる

……

「早山さん……」コウカが早山を見る

「明日、東京まで一緒に乗ってくれない?」

…

「それは……」早山先生が首を傾ける

「すみません、俺は……」早山先生が周囲を見る

…

「…」早山先生の視線が俺に向く

…

「あ、いや……」早山先生が軽く微笑む

「悪くないな!」

…

「じゃあ……」コウカが軽く微笑む

「明日の朝7時、ここで待ってるわ!」

…

「了解。」早山先生が軽く背を向ける

…

「それじゃ……」コウカが俺を振り返る

「みんな、さようなら……」コウカが軽く頭を下げる

………………………………………………………………………………………………………………

ぺた……ぺた……

沈む夕陽の光の下……

街灯が徐々に灯り始める……

….

「ねえハル……」レンが俺を振り返る

「そんなに抱えて、疲れない?」

…

「全然。」俺は軽く首を振る

「むしろ逆だよ!」

…

ほぉ〜

「そう?」レンが目を細めて俺を見る

「俺は誰かが女の子を抱きたくて倒れたのを覚えてるけど!」

…

「からかうなよ!」俺は顔をしかめてレンを見る

「あれはもうずっと前だろ!」

…

「それに…ツメコさんとシノミを比べたら……」俺は軽く唇を動かす

…

「あの子たち今何してるかな?」レンが手を頭の後ろに組む

…

「分からない……」俺は軽く首を振る

「でも早山先生がいるなら、大丈夫だと思うよ!」

……

タッタッタッ……

遠くから足音が響く……

小さな影が俺たちに向かってくる……

……

「そういえば……」レンが額に手を当てる

「早山先生、ここに来たの何でだっけ?」

…

「君が知ってると思ってたよ?」俺は首を傾けて見る

…

「お前ら……」おじさんが俺たちに近づく

「一体…いつまで行くんだ……」おじさんの視線が逸れる

…...

ダッ!

「兄ちゃん!!!」ケイの影が俺に飛びつく

「おかえり!」

…

ドン!

俺の足が後ろに下がり、歯を食いしばる……

両手が高く上がり、シノミを抱え上げる……

背中を前に突き出す……

…

ぎゅっ…

「どこ行ってたのよ?」ケイが俺の胸に顔を押しつける

「心配したんだから!」

…

「怖い目に遭って……」ケイが体に頭をすりつける

…

ぐぐっ……

「分かった…分かったよ……」俺は必死に頭を上げ、目を閉じる

「だから…ゆっくり…離してくれ……」

「じゃないと…みんな……」

……

ん……

シノミの目がゆっくり開く……

体が俺から離れ……

…

「ここ…どこ……」シノミが目をこする

…

「何が…起きてるの……」シノミの視線が俺に向く

……

「シノミ…待って…今は…違う…」俺は目を細めてシノミを見る

…

はっ……!

「ハ…ハ…ハル!」シノミが体をよじる

「どうして…どうして君が…君が……」

「近すぎ……」

……

ドンッ!

俺の体が道に倒れる……

ケイが腹の上に……

シノミが胸にまたがる……

…

「ハル、大丈夫!?」シノミが目を大きく見開いて俺を見る

「兄ちゃん……」ケイが近づく

…

ずき……

「だ…大丈夫……」俺は二人を見上げる

「ちょっとだけ……」

…

「ごめんね……」ケイが体を縮め、手を絡める

「私が…聞かなくて…だから……」

…

「大丈夫だよ……」俺はケイに手を伸ばす

「俺のせいだから……」

…

「大事なのは…お前は大丈夫か?」俺は目を開けてケイを見る

…

ふる…ふる…

「大丈夫……」ケイが軽く首を振り、微笑む

「兄ちゃんが弱っちい枕になってくれたもん!」

…

「この妹は……」俺は頭を道に落とす

「えへへ……」ケイが頭に手を当て、軽く微笑む

…

「シノミはどう?」俺は頭をシノミに向ける

「大丈夫?」

…

もじ…もじ…

「ハル……」シノミが軽く指を絡める

「本当は…拒否してるわけじゃないよ……」

「でも…まだ学校あるし……」

…

「それに…急すぎて……」シノミの顔が下を向き、頬が赤くなる

「私…準備ができてなくて……」

…

「あ、いや…そういう意味じゃなくて……」俺の両手が慌てて振る

「あの時君が寝てたから……」

「だから俺が……」

…………………………………….

へぇ〜

「見てよ誰かさん……」レンが腰に手を当て、俺を見る

「もう女の子の腕の中に沈んでる!」

…

「違うって!」俺は頭を上げて見る

「手伝ってくれよ!」

…

すっ…

「ごめん!」レンが軽く袋を上げる

「でも手が塞がってるんだよ!」

…

「終わったら追いついてね!」レンが背を向け、軽く手を振る

…

「レン! ちょっと! 戻ってきて!」俺は必死にレンを見る

…………

「あのガキをあんなにしておいていいのか?」おじさんがレンを振り返る

…

「大丈夫だよ!」レンが軽く微笑む

「あいつはあそこでいいんだ!」

…

「それより……」レンが前を向く

「今度こそ逃げないでくれよ、おじさん!」

…

「分かってる……」おじさんが軽く頷く

……

馴染みの家の影が徐々に現れる……

二つの影がドアの前に立っている……

一つの影がそっと近づく……

…

カツッ…カツッ…

杖をついた影……

白い包帯が足首を巻き……

ゆっくりとレンに向かって進む……

…

「おお、見ろ誰だ!」レンが軽く微笑む

「こんな日が来るなんて思わなかった!」

…

「黙れ!」ネネが眉を寄せ、頭を下げる

「まるで私がやりたくてやってるみたいに言うな!」

…

「知らないよ!」レンが顎に手を当てる

「似合ってるじゃん!」

…

ギュッ…

「何て言った!?」ネネが杖を強く握る

「もう一回言ってみろ!」

…

「何も言ってない!」レンが軽く顔を逸らす

…

「ただ……」レンの唇が軽く動く

「獅子も傷つくとこうなるんだなって。」

…

ガツッ!... ガツッ!...

「そこにいろ!」ネネがレンに飛びかかる

「見せてやるわ……」

「傷ついた獅子が何できるか!」

…

「ネネ…待って…ゆっくり……」レンが両手を前に出し、慌てて首を振る

「冗談だって…冗談……」

……

「こんなことで……」ネネがレンに近づく

…

ズルッ…

杖がずれて……

ネネが前に倒れる……

…

「……俺が…許して…やる……」ネネの目が大きく見開かれる

…

ガシッ!

「ほらな……」レンがネネを支える

「言っただろ……」

「あの状態でまだ無理するなんて!」

…

「ネネ?」レンが首を傾けて見る

…

くくく……

「…」ネネがレンの胸に顔を埋める

「ネネ様…?」レンの目が歪む

…

ギュッ!

「もう逃げられないよ!」ネネがレンの手を強く握り、軽く顔を上げる

…

「命だけは……!」レンの目が空を向く

…………

ぺた……ぺた……

小さな背中が近づいてくる……

…

「小林兄さん……」翔也が首を傾ける

「お姉ちゃんたちは?」

「どうして兄さんだけ?」

…

すっ……

「ハル…のことか…?」レンが振り返って翔也を見る

「あいつは…後ろにいるよ……」

「田中さん…ケイちゃんも一緒に……」

…

「そう?」翔也が首を傾ける

「運がいいな……」翔也の目が軽く閉じる

……

ぽん……

「翔也くん……」レンが軽く翔也の頭に触れる

「もう一人…会うべき人がいるよ!」

…

「本当?」翔也の目が大きく見開かれる

「誰ですか?」

…

「え?」レンが周囲を見る

「さっきまでここにいたのにどこ行った!」

……

すっ……

「ちょっと待ってて……」レンがネネの手を軽く払う

……

「おじさん!」レンが周囲を見る

「また逃げたのか!」

…

そっ……

電柱の後ろから頭が覗く……

視線が周囲を軽く見回す……

…

「逃げるなって言っただろ!」レンが両手を振る

…

「…」おじさんが背中を隠す

…

「もうダメだな!」レンが翔也を見て、電柱を指差す

「俺が呼んでくるよ!」

……

ぎゅ……

「ここにいろ!」ネネがレンの襟を軽く引く

…

「ネネ! 今はそんな時じゃ!」レンが体をよじる

…

「ここにいろ!」ネネが軽く体を屈め、翔也を見る

「早く行って!」

……………………………

と…と……

小さな足音が道を進む……

目を丸くし、首を傾げ……

…

「お父さん!」翔也が明るく笑い、両手を握る

「お父さん帰ってきた! 帰ってきた! 帰ってきた!」

「今度は遊んでくれる?」

…

そっ……

「あ…いや…わしはただ……」おじさんが背を向ける

「通りすがりで…仕事がまだ……」

…

「そう……」翔也の両手が軽く下がる

「やっぱり…いつも通りか……」

…

「…」おじさんの視線が軽く翔也を見る

……

「お前まだ何待ってるの!」ネネが手を口に当て、電柱を見る

「あの子をいつまで待たせる気!」

……

さっ……

「わ…わしは冗談だよ!」おじさんが軽く振り返る

「ただ…息子を驚かせてやろうと……」

…

すっ……

「見てみろ……」おじさんが軽く背中の袋を指差す

「プレゼントも用意してあるんだぞ!」

…

「つまり……」翔也の目が大きく見開かれ、唇に笑みが浮かぶ

「今度こそ…お父さん帰ってきたの…?」

…

「今度こそ……」おじさんが微笑む

「もう行かないぞ!」

…

ぴょん…ぴょん…ぴょーん…

「やった!」翔也が連続で跳ぶ

「お父さん帰ってきた! 帰ってきた! 帰ってきた!」

………

と……と……

おじさんが電柱からゆっくり出てくる……

女性の影が徐々に近づく……

…

とて…とて…

「お母さん! 見て!」翔也が三日月さんに近づく

「お父さん帰ってきたよ!」

…

「…」おじさんの目が大きく見開かれる

…

「花…兄さん……」おじさんが三日月さんに手を伸ばす

「実は……」

…

…

「おかえりなさい!」花が軽く首を傾けて微笑む

「夏目……」

…

ぎゅっ…

「ただいま!」夏目が花を抱きしめる

……………………………………………………..........................................................................................

目の前の道の真ん中で……

翔也がまだ走り回る中……

さっきのおじさんが……

今、三日月さんと手をつないで……

…

ぺた……ぺた……

俺たちはゆっくり通り過ぎ……

家に向かう……

レンと石若さんが立って見ている……

…

「ねえ……」俺は手を口に当て、軽く体を屈める

「何か見逃した?」

…

にやっ…にやっ…

「遅すぎだよ、ハル!」レンが後ろを向く

「結構見逃したな!」

「残念だけど、俺はシェアしないよ!」

…

「どういうこと?」俺は首を傾ける

……

ダダダダッ!

後ろから音が響く……

埃が軽く舞い上がる……

……

「ネネちゃん……」シノミが石若さんを見る

「これって……」

…

「待って。」石若さんが微笑む

「あとで話すわ!」

……

「気になるだろハル?」レンが体を揺らす

「知りたい? 知りたいよね?」

…

「もう興ざめだよ。」俺は眉を寄せる

…

「ハルって本当に……」レンが軽く首を振る

「可哀想そうだから教えてやるよ!」

「実は……」

……

ドンッ!!

体が俺にぶつかる……

馴染みの感覚が一気に蘇る……

短い赤髪が目の前に現れる……

…

「久しぶり! 覚えてる?」少女が俺を見て微笑む

「ハル〜くん!」

…

「ツメコちゃん……」シノミが振り返る

「ここで何してるの?」

「みんなと一緒のはずじゃ……」

…

「あれ…どう言ったらいいかな…忘れてた……」ツメコさんが額に手を当てる

…

…

「そうだ!」ツメコさんが指を天に立て、笑みを浮かべる

「みんなを連れて帰るために来たの!」


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