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静時の流れ - 潮騒の誓約  作者: Minateru
残響の果てに

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36/51

帰りを待つ家

キキッ…

沈みゆく陽の下……

馴染みの街並みが目の前に現れ……

徐々に人影が消えていく道……

ガチャ.

「やっと着いた!」レンが車から飛び出す

「シノミ……」俺はシノミを見る

「…」シノミの目が窓の方を向いたまま閉じている

「仕方ないよな……」俺は微笑み、そっと近づく

俺の両手がシノミを軽く支え……

体を密着させ、起こさないように……

ゆっくり足を下ろし、車から降りる……

……

「十神様!」コウカが俺を見る

「どうしたの?」俺は振り返る

「これを三日月さんに渡してくれない?」コウカが袋を俺に差し出す

「もちろん!」俺は手を伸ばして受け取ろうとする

「俺がやるよ!」レンが割り込んでくる

「両手塞がってるのに何持つんだよ!」

「でも……」俺はレンを見る

はぁ……

「欲張りすぎだよハル!」レンが腰に手を当て

「別行動するわけじゃないんだから!」

……

「おじさんもだよ!」レンの目がおじさんに向く

ピクッ!

「わ…わ…わしはまだ用事が……」おじさんが顔を逸らす

「もういいから!」レンがおじさんに近づく

「腕があんなんなってるのに何が忙しいの?」レンがギプスの腕を指す

「それに俺も助けたんだから!」レンが目を細めておじさんを見る

「だがわしは……」おじさんが周囲を見回す

「家に帰りなさい、兵士!」早山先生がおじさんを見る

「残りは俺たちに任せて!」

「はい……」おじさんの肩が落ち、顔を下げる

……

「十神様……」コウカが俺を見て微笑む

「この時間は本当に楽しかった。」

「これで最後よ。」

「コウカ…でも…どうして……」俺はコウカを見る

「どうして……」

「これからはもうこんな簡単なものじゃない!」コウカが軽く首を振る

「君を巻き込みたくないの。」

「特に…私が…まだ確信が持てないうちは……」コウカが軽く囁く

「じゃあ、コウカ……」俺はコウカを見る

「この名前…聞いたことある?」

「ノクティス……」

「ノクティス…」コウカの目が大きく見開かれ、体が固まる

「君…その名前を…どこで……」

「あ、いや……」俺は慌てて首を振る

「ただ…ふと…耳に入っただけで……」

「頭に浮かんだだけのくだらない言葉だよ。」俺は唇を歪めて微笑む

「そう?」コウカが軽く囁き、唇に笑みを浮かべる

……

「早山さん……」コウカが早山を見る

「明日、東京まで一緒に乗ってくれない?」

「それは……」早山先生が首を傾ける

「すみません、俺は……」早山先生が周囲を見る

「…」早山先生の視線が俺に向く

「あ、いや……」早山先生が軽く微笑む

「悪くないな!」

「じゃあ……」コウカが軽く微笑む

「明日の朝7時、ここで待ってるわ!」

「了解。」早山先生が軽く背を向ける

「それじゃ……」コウカが俺を振り返る

「みんな、さようなら……」コウカが軽く頭を下げる

………………………………………………………………………………………………………………

ぺた……ぺた……

沈む夕陽の光の下……

街灯が徐々に灯り始める……

….

「ねえハル……」レンが俺を振り返る

「そんなに抱えて、疲れない?」

「全然。」俺は軽く首を振る

「むしろ逆だよ!」

ほぉ〜

「そう?」レンが目を細めて俺を見る

「俺は誰かが女の子を抱きたくて倒れたのを覚えてるけど!」

「からかうなよ!」俺は顔をしかめてレンを見る

「あれはもうずっと前だろ!」

「それに…ツメコさんとシノミを比べたら……」俺は軽く唇を動かす

「あの子たち今何してるかな?」レンが手を頭の後ろに組む

「分からない……」俺は軽く首を振る

「でも早山先生がいるなら、大丈夫だと思うよ!」

……

タッタッタッ……

遠くから足音が響く……

小さな影が俺たちに向かってくる……

……

「そういえば……」レンが額に手を当てる

「早山先生、ここに来たの何でだっけ?」

「君が知ってると思ってたよ?」俺は首を傾けて見る

「お前ら……」おじさんが俺たちに近づく

「一体…いつまで行くんだ……」おじさんの視線が逸れる

…...

ダッ!

「兄ちゃん!!!」ケイの影が俺に飛びつく

「おかえり!」

ドン!

俺の足が後ろに下がり、歯を食いしばる……

両手が高く上がり、シノミを抱え上げる……

背中を前に突き出す……

ぎゅっ…

「どこ行ってたのよ?」ケイが俺の胸に顔を押しつける

「心配したんだから!」

「怖い目に遭って……」ケイが体に頭をすりつける

ぐぐっ……

「分かった…分かったよ……」俺は必死に頭を上げ、目を閉じる

「だから…ゆっくり…離してくれ……」

「じゃないと…みんな……」

……

ん……

シノミの目がゆっくり開く……

体が俺から離れ……

「ここ…どこ……」シノミが目をこする

「何が…起きてるの……」シノミの視線が俺に向く

……

「シノミ…待って…今は…違う…」俺は目を細めてシノミを見る

はっ……!

「ハ…ハ…ハル!」シノミが体をよじる

「どうして…どうして君が…君が……」

「近すぎ……」

……

ドンッ!

俺の体が道に倒れる……

ケイが腹の上に……

シノミが胸にまたがる……

「ハル、大丈夫!?」シノミが目を大きく見開いて俺を見る

「兄ちゃん……」ケイが近づく

ずき……

「だ…大丈夫……」俺は二人を見上げる

「ちょっとだけ……」

「ごめんね……」ケイが体を縮め、手を絡める

「私が…聞かなくて…だから……」

「大丈夫だよ……」俺はケイに手を伸ばす

「俺のせいだから……」

「大事なのは…お前は大丈夫か?」俺は目を開けてケイを見る

ふる…ふる…

「大丈夫……」ケイが軽く首を振り、微笑む

「兄ちゃんが弱っちい枕になってくれたもん!」

「この妹は……」俺は頭を道に落とす

「えへへ……」ケイが頭に手を当て、軽く微笑む

「シノミはどう?」俺は頭をシノミに向ける

「大丈夫?」

もじ…もじ…

「ハル……」シノミが軽く指を絡める

「本当は…拒否してるわけじゃないよ……」

「でも…まだ学校あるし……」

「それに…急すぎて……」シノミの顔が下を向き、頬が赤くなる

「私…準備ができてなくて……」

「あ、いや…そういう意味じゃなくて……」俺の両手が慌てて振る

「あの時君が寝てたから……」

「だから俺が……」

…………………………………….

へぇ〜

「見てよ誰かさん……」レンが腰に手を当て、俺を見る

「もう女の子の腕の中に沈んでる!」

「違うって!」俺は頭を上げて見る

「手伝ってくれよ!」

すっ…

「ごめん!」レンが軽く袋を上げる

「でも手が塞がってるんだよ!」

「終わったら追いついてね!」レンが背を向け、軽く手を振る

「レン! ちょっと! 戻ってきて!」俺は必死にレンを見る

…………

「あのガキをあんなにしておいていいのか?」おじさんがレンを振り返る

「大丈夫だよ!」レンが軽く微笑む

「あいつはあそこでいいんだ!」

「それより……」レンが前を向く

「今度こそ逃げないでくれよ、おじさん!」

「分かってる……」おじさんが軽く頷く

……

馴染みの家の影が徐々に現れる……

二つの影がドアの前に立っている……

一つの影がそっと近づく……

カツッ…カツッ…

杖をついた影……

白い包帯が足首を巻き……

ゆっくりとレンに向かって進む……

「おお、見ろ誰だ!」レンが軽く微笑む

「こんな日が来るなんて思わなかった!」

「黙れ!」ネネが眉を寄せ、頭を下げる

「まるで私がやりたくてやってるみたいに言うな!」

「知らないよ!」レンが顎に手を当てる

「似合ってるじゃん!」

ギュッ…

「何て言った!?」ネネが杖を強く握る

「もう一回言ってみろ!」

「何も言ってない!」レンが軽く顔を逸らす

「ただ……」レンの唇が軽く動く

「獅子も傷つくとこうなるんだなって。」

ガツッ!... ガツッ!...

「そこにいろ!」ネネがレンに飛びかかる

「見せてやるわ……」

「傷ついた獅子が何できるか!」

「ネネ…待って…ゆっくり……」レンが両手を前に出し、慌てて首を振る

「冗談だって…冗談……」

……

「こんなことで……」ネネがレンに近づく

ズルッ…

杖がずれて……

ネネが前に倒れる……

「……俺が…許して…やる……」ネネの目が大きく見開かれる

ガシッ!

「ほらな……」レンがネネを支える

「言っただろ……」

「あの状態でまだ無理するなんて!」

「ネネ?」レンが首を傾けて見る

くくく……

「…」ネネがレンの胸に顔を埋める

「ネネ様…?」レンの目が歪む

ギュッ!

「もう逃げられないよ!」ネネがレンの手を強く握り、軽く顔を上げる

「命だけは……!」レンの目が空を向く

…………

ぺた……ぺた……

小さな背中が近づいてくる……

「小林兄さん……」翔也が首を傾ける

「お姉ちゃんたちは?」

「どうして兄さんだけ?」

すっ……

「ハル…のことか…?」レンが振り返って翔也を見る

「あいつは…後ろにいるよ……」

「田中さん…ケイちゃんも一緒に……」

「そう?」翔也が首を傾ける

「運がいいな……」翔也の目が軽く閉じる

……

ぽん……

「翔也くん……」レンが軽く翔也の頭に触れる

「もう一人…会うべき人がいるよ!」

「本当?」翔也の目が大きく見開かれる

「誰ですか?」

「え?」レンが周囲を見る

「さっきまでここにいたのにどこ行った!」

……

すっ……

「ちょっと待ってて……」レンがネネの手を軽く払う

……

「おじさん!」レンが周囲を見る

「また逃げたのか!」

そっ……

電柱の後ろから頭が覗く……

視線が周囲を軽く見回す……

「逃げるなって言っただろ!」レンが両手を振る

「…」おじさんが背中を隠す

「もうダメだな!」レンが翔也を見て、電柱を指差す

「俺が呼んでくるよ!」

……

ぎゅ……

「ここにいろ!」ネネがレンの襟を軽く引く

「ネネ! 今はそんな時じゃ!」レンが体をよじる

「ここにいろ!」ネネが軽く体を屈め、翔也を見る

「早く行って!」

……………………………

と…と……

小さな足音が道を進む……

目を丸くし、首を傾げ……

「お父さん!」翔也が明るく笑い、両手を握る

「お父さん帰ってきた! 帰ってきた! 帰ってきた!」

「今度は遊んでくれる?」

そっ……

「あ…いや…わしはただ……」おじさんが背を向ける

「通りすがりで…仕事がまだ……」

「そう……」翔也の両手が軽く下がる

「やっぱり…いつも通りか……」

「…」おじさんの視線が軽く翔也を見る

……

「お前まだ何待ってるの!」ネネが手を口に当て、電柱を見る

「あの子をいつまで待たせる気!」

……

さっ……

「わ…わしは冗談だよ!」おじさんが軽く振り返る

「ただ…息子を驚かせてやろうと……」

すっ……

「見てみろ……」おじさんが軽く背中の袋を指差す

「プレゼントも用意してあるんだぞ!」

「つまり……」翔也の目が大きく見開かれ、唇に笑みが浮かぶ

「今度こそ…お父さん帰ってきたの…?」

「今度こそ……」おじさんが微笑む

「もう行かないぞ!」

ぴょん…ぴょん…ぴょーん…

「やった!」翔也が連続で跳ぶ

「お父さん帰ってきた! 帰ってきた! 帰ってきた!」

………

と……と……

おじさんが電柱からゆっくり出てくる……

女性の影が徐々に近づく……

とて…とて…

「お母さん! 見て!」翔也が三日月さんに近づく

「お父さん帰ってきたよ!」

「…」おじさんの目が大きく見開かれる

「花…兄さん……」おじさんが三日月さんに手を伸ばす

「実は……」

「おかえりなさい!」花が軽く首を傾けて微笑む

「夏目……」

ぎゅっ…

「ただいま!」夏目が花を抱きしめる

……………………………………………………..........................................................................................

目の前の道の真ん中で……

翔也がまだ走り回る中……

さっきのおじさんが……

今、三日月さんと手をつないで……

ぺた……ぺた……

俺たちはゆっくり通り過ぎ……

家に向かう……

レンと石若さんが立って見ている……

「ねえ……」俺は手を口に当て、軽く体を屈める

「何か見逃した?」

にやっ…にやっ…

「遅すぎだよ、ハル!」レンが後ろを向く

「結構見逃したな!」

「残念だけど、俺はシェアしないよ!」

「どういうこと?」俺は首を傾ける

……

ダダダダッ!

後ろから音が響く……

埃が軽く舞い上がる……

……

「ネネちゃん……」シノミが石若さんを見る

「これって……」

「待って。」石若さんが微笑む

「あとで話すわ!」

……

「気になるだろハル?」レンが体を揺らす

「知りたい? 知りたいよね?」

「もう興ざめだよ。」俺は眉を寄せる

「ハルって本当に……」レンが軽く首を振る

「可哀想そうだから教えてやるよ!」

「実は……」

……

ドンッ!!

体が俺にぶつかる……

馴染みの感覚が一気に蘇る……

短い赤髪が目の前に現れる……

「久しぶり! 覚えてる?」少女が俺を見て微笑む

「ハル〜くん!」

「ツメコちゃん……」シノミが振り返る

「ここで何してるの?」

「みんなと一緒のはずじゃ……」

「あれ…どう言ったらいいかな…忘れてた……」ツメコさんが額に手を当てる

「そうだ!」ツメコさんが指を天に立て、笑みを浮かべる

「みんなを連れて帰るために来たの!」


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