氷山の下で・第三部
ザリッ…ザリッ…
崩れた建物の間……
砂利だらけの地面の上……
あちこちに伸びる電線……
緑の蔦が道を塞ぎ……
深紅の染みがあらゆる場所に広がる……
…
ザッ…ザリ…
二つの影は静かに歩き続ける……
並んで、古い話をしながら……
…
「ハル……」シノミが私を振り返り、軽く体を曲げる
「覚えてる?」
…
「この道、数ヶ月前……」シノミが両手で周りの道を指す
「私たち、二人で学校まで引っ張り合って行ったよね。」
…
フッ…
「忘れられるわけないだろ!」私はシノミを見て微笑む
「ここに転校してきたばかりの頃、レンがめちゃくちゃ文句言ってたんだから!」
…
ふふ…
「そりゃそうだよ……」シノミが軽く微笑み、手を口元に当てる
「急に四人でここに一時転校なんて……」
「レンがあれだけ文句言うのも、まだマシな方だよね?」
…
「思い出すと……」シノミが体を伸ばす
「ハルとネネちゃん、ニュース聞いた瞬間固まってたよね!」
…
「君だって同じだったじゃん!」私は目を細めてシノミを見る
「ニュース聞いた瞬間、君もあちこち走り回ってたよ!」
「それに、名簿知る前から早山先生に一緒に行ってくれって頼んでたし。」
…
えっ…
「それは…あの頃は……」シノミが顔を逸らし、頬が少し赤くなる
「…」私は目を丸くしてシノミを見る
…
「全部ハルのせいだよ!」シノミが両手を大きく振り、目を閉じる
「誰がそんなに人懐っこい性格なんだよ!」
…
「もし…ハルが…他の子を選んだら…私、どうすれば……?」シノミが顔を反対側に逸らす
…
「そんなことないよ。」私はシノミを見て微笑む
「約束しただろ。」
「何があっても……」
「俺はいつも君のそばにいるよ。君がいつも俺のそばにいてくれたように。」
…
ぷしゅー…
「…」シノミの顔が真っ赤になり、軽い煙が上がる
……
「でも、本当に意外だったよ……」私の視線が周囲を回る
「まさか転校先がこの街だなんて……」
…
「そうだよね……」シノミが軽く顔を上げて私を見る
「誰が想像できるかな…ね?」
…
「懐かしいな……」私は両手を頭の後ろで組む
「小さい頃の頃……」
「君がいつも俺を海沿いに引っ張って走ってた……」
…
すっ…
「それに岩場の上で走ったり……」私は眉を寄せ、視線を逸らす
「君が海の下から変な生き物引っ張り上げて俺を驚かせたり……」
…
ぽかっ…ぽかっ…
「全部ハルのせいじゃん!」シノミが近づいて私を叩く
「誰が毎回俺を脅かすんだよ!」
「それに虫を顔の前に持ってくるし!」
…
「わかったわかった…ごめんって……」私はシノミを振り返り、唇に笑みを浮かべる
「でも、あの頃の時間、俺全然嫌じゃなかったよ……」
「ハル……」シノミが手を止め、目を丸くして私を見る
…
クッ…
「特にあの時の君の表情が……」私は軽く手で口を覆う
…
ぽかっ…ぽかっ…
「早く忘れてよ!」シノミが連続で私を叩く
…
…
ぽかっ…
「ハル……」シノミが突然手を止め、顔を近づける
「まだ覚えてるよね?」
…
「もちろん!」私は頷いて微笑む
「全部、はっきり覚えてるよ!」
…
「じゃあ…覚えてる?」シノミが軽く唇を動かす
「私たちの自転車の旅のこと……」
「それに…あの時の影たちのこと……」
…
「それって……」私は目を丸くし、首を傾けてシノミを見る
「あれって学校行く時の話だろ?」
…
ふる…
「やっぱり…あの人、正しかったんだ……」シノミが首を振り、軽く口を動かす
…
「俺、何か大事なこと忘れてる?」私はシノミに顔を近づける
…
「大事なことなんてないよ!」シノミが軽く目を閉じ、顔を逸らす
「どうせ…ただの…思い出…覚えておくべきじゃない……」
…
コツ…コツ…
シノミが突然前へ駆け出す
…
とん…
「ハル……」シノミが遠くを指差す
「あっち、まだあのベンチあるよ。」
「ちょっと休憩しようよ!」
…
「うん……」私は軽く頷いてシノミの後を追う
………
そよ…そよ…
髪の間を抜ける微かな風……
土埃まみれのベンチの上……
日差しを遮る木陰……
…
こて…
「本当にいろんなことがあったよね?」シノミが軽く私の肩に寄りかかる
「ここに戻ってきてまだ数ヶ月なのに…私たち……」
…
「予想外だったよ……」私は前を向く
「こんなことになるなんて、誰が想像した?」
…
とん…
「ねえ…ハル……」シノミが軽く前を指差す
「覚えてる? 小さい頃……」
「あそこのお店によく行って、アイス買って食べてたよね。」
「それに……」
…
「覚えてるよ……」私は微笑んで見る
「でもなんか場所違う気がする。」
「俺の記憶だと、あれ小さな店だったはずで……」
「あの向こうのビルじゃないよ……」
…
「もしかして…別の場所か……」私は軽くシノミを横目で見る
…
「違うよ……」シノミが目を細める
「あそこ…私たち、昔……」
…
すぅ…すぅ…
「…」シノミが私に寄りかかる
…
「シノミ……」私は軽く振り返る
………
そっ…
「…」私はシノミの頭をそっと自分の膝に置く
…
さら…さら…
「当然だよ……」私は軽くシノミの頭を撫でる
「昨日からずっと…休む暇なんてなかったんだから……」
…
ふっ…
私の視線がふと引き寄せられる……
シノミの髪に……
イルカのヘアピン、その髪の間に……
…
「これ……」私は目を丸くする
「まだ持ってるなんて……」
「もうずいぶん前なのに……」私は軽く手を伸ばしてヘアピンに触れる
ちょん…
…
ジジッ…
私の目が大きく見開かれる……
次々と浮かぶ映像……
…
はぁ…はぁ…
「もしかして…ちょっと無理しすぎたかな……」私は軽く目を覆う
「昨日からずっと…俺も……」視線が周囲を回る
…………
…ジ……ジジッ…
目の前の崩壊した街……
今、歪み始める……
色が乱れ飛ぶ……
…
ぐ……っ…
「何…これ……」私は両手で頭を強く掴む
「一体…これらのものは……」
……………
ジジッ…
…
がやがや…がやがや…
目の前に賑やかな街区……
あちこちに並ぶ商品……
人影が後ろの荷車を軽く引く……
…
とん…
「おい……」一つの手が私の肩に軽く触れる
「いつまで座ってるつもりだ?」
「まだやるべきことが山ほどあるぞ。」
...
「急がなくていいよ!」私の体が立ち上がり、唇が無意識に動く
…
「どうせあいつら、どこにも行かないだろ。」私の視線が後ろの影に向く
「な……?」
「……早山……」
……………
ジジッ…
…
「たった二人で何ができると思ってる?」一つの影が私の前に立つ
「誰もお前を支持しない。」
「誰もお前の側に立たない。」
…
「ただ…あの欠陥品だけが……」影の視線が私の横に向く
……
私の目が大きく見開かれ、唇が凍りつく……
馴染みのある黒髪が現れ……
黄金の剣を手に……
…
「コウカ……」その名前が脳裏を横切る
……
「それでも一緒に立つのか!」影が口角を吊り上げ、私たちを見る
…
「なぜあの小娘を渡さない!」黒い影が両手を広げる
「カグヤを渡せば…俺たちは手を出さない……」
…
ギリッ…
私の両手が強く握られる……
足が前へ踏み出す……
奇妙な錨が……あの軍団に向かって……
…
「俺の死体を踏み越えてみろ!」私の唇が自然に動く
…
ズガァン!!
煙塵が立ち込め……
地面が激しく揺れる……
レンガと石が四方に飛び散る……
周囲の建物は今や瓦礫だけ……
…
そこに残るのは、巨大な機体……
青い斧を携え……
あの軍団の真ん中に……
……
とん…とん…
「相変わらずタイミングがいいな……」コウカが巨大機体に向かって進む
…
「ノクティス……」
……………
ジジッ…
…
カタカタカタ…カタカタカタ…
暗闇に沈んだ部屋の真ん中……
数字があちこちを走る……
見たことのないロボットたち……
二つの影が部屋の中央に立つ……
スーツの男と、顔を覆った者……
…
ぎゅっ…
「お願いです……」黒い服の者がスーツの男の手を掴む
「私と一緒に来てください!」
「もし結末を知っているなら……」
「……一緒に未来を変えましょう!」
…
がしっ…
「すまない……」スーツの男が黒い服の者をまっすぐ見つめる
「もし俺がお前と逃げたら……」
「すべて…もっと悪くなるだけだ……」
…
ぎゅ……
「約束してくれ……」スーツの男が小さな物を黒い服の者の手に渡す
「これを…俺が言った人に届けてくれ……」
「未来が変わるかどうかは…これにかかっている……」
……
ダダダダッ!
「奴はすぐそこだ!」遠くから足音が響く
……
「行け! 早く!」スーツの男が指を差す
「奴らが知る前に……」
「遅くなる前に……」
…
とん……
「絶対に忘れない……」黒い服の者が振り返る
「あなたが私たちのためにしてくれたこと……」
………
ドンッ!!
部屋の扉が大きく開く……
…
「見つけたぞ!」一人がライトを前に向ける
「すぐに包囲しろ。」
……
…ジ……ジジッ…
目の前の映像が歪み始める……
……
ジジッ…
スーツの男の視線が今、私に向く……
…
「これが、俺にできることだ。」スーツの男が軽く微笑む
「君は…掴むか?」
…
バンッ!!
空間の真ん中に黄金の光が輝く……
……
ブツッ……ブツッ……
..........................................................................................................................................................................
「十神様……」
私の目がゆっくり開く……
映像が徐々に鮮明になる……
…
「十神様。」
「十神様!」
コウカの姿が目の前に現れる
…
はっ……はっ……
私の目が大きく見開かれ、体が後ろに仰け反る……
手が軽く胸に触れる……
…
「十神様?」コウカが首を傾けて私を見る
……
そっ…
私の右手がそっと下に落ちる……
膝の上で静かに横たわる青い髪……
小さな呼吸が体全体に伝わる……
…
「…」私の視線が緩む
……
「どうしたの?」コウカが顔を近づける
「どこか具合悪い?」
…
「あ、いや……」私はコウカを振り返る
「ただ…変な夢を見ただけ……」
…
「もしかして…休めてなかったからかな。」私はコウカを見て微笑む
…
「でも、コウカ……」私は目を丸くしてコウカを見る
「まだ結構早いよね……」
「また何かあったの?」
…
「何言ってるの、十神様?」コウカが首を傾ける
「もう夕方よ!」
…
「え……」私の目が大きく見開かれる
…
「そろそろ帰る時間だよ!」




