残されたもの
朝の陽光がすべてを明るく照らし出す……
街路の間に土石の塊がはっきり姿を現す……
人々があちこちに群がり、行き交う……
…
ガラッ…ガラガラ……
土石を満載したトラック……
大型機械が交代で石を積み上げていく……
そして兵士たちの服に染み込む汗の滴……
…
シャッ……シャッ……
薄い塵が隅々まで覆い尽くす……
音があらゆる場所に響き渡る……
顔を覆った人影たちが、その中に飛び込んでいく……
…
ジャー……ジャー……
黒と黄金に混じった深紅の色……
流れが次々と貯蔵タンクの方へ向かう……
…
ズリ……ズズッ……
苦悶の表情が浮かび上がる……
白い鎧が次々とトラックの荷台へ……
軍服を着た者たちが横たわる場所の隣に……
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ドン……
「なあハル……」レンが顔を下げる
「どうした?」俺が顔を向ける
…
「どうして俺たち……こんなこと……しなきゃいけないんだ……?」レンが両膝に手をつく
…
「決めたのは俺たちじゃないか?」俺が首を傾げてレンを見る
「このまま放置して去るわけにはいかないだろ?」俺が周りを見回す
…
「お前ってやつは……」レンが顔を上げて俺を見る
「まだその癖……直せてないのか?」
「いつも……こんなことばっかり気にして……」
…
「もしかしたら、直せないかもな……」俺が微笑んでレンを見る
「だって、そういう俺だから。」
…………
ハハハハハッ……
後ろから響く笑い声……
…
「自業自得だろお前ら!」腰に両手を当てた人影
「お前らが騒ぎを起こさなきゃよかったんだよ?」
「お前らが始めなきゃ、こんなことにはならなかった!」
…
ガッ……!
「何だって?」レンが体を起こす
…
「俺は思ったことを言ってるだけだ!」少女が両手を肩の高さまで上げる
「俺が間違ってるか?」
「お前らが先に攻撃しなきゃ、今反撃される理由なんてないだろ?」
…
ズンッ……ザッ…
「偉そうに言うなよ!」レンが手を振り上げる
「先に攻撃してきたのはあいつらだろ?」
「あいつらが攻撃してこなければ、俺たちがこんな風に自衛する必要なんてなかった!」
…
ドン……ドン……
「お前には何が分かるってんだ!」少女が目を吊り上げる
…
「俺をお前らと一緒にすんな!」少女が顔をしかめ、頭を高く上げる
…
ザッ……ザッ……
「お前は自分を何様だと思ってんだよ?」レンが顔を近づける
「それにお前は?俺がなぜお前に気を使わなきゃいけないんだ?」少女が睨み返す
……
パンッ!
「ここまでだ、二人とも!」一人の人影が進み寄る
…
トン…トン……
「二人とも対立してるのは分かるけど……」コウカが二人を見て微笑む
「今はそういう時じゃないわ!」
…
「でもホシマさん……」レンが向こうの少女を指差す
「あいつが先に言い出したんですよ!」
「俺は事実を言っただけだ、聞くか聞かないかはお前の勝手だ!」少女が腕を組み、顔を背ける
……
スッ……
「じゃあ二人はここで言い争いを続けて……」コウカが遠くを指差す
「……周りのことは無視するつもり?」指の方向から一つの背中が現れる
…
みしっ……
まだ白い包帯を巻いた腕……
顔をしかめ……
汗がびっしょり……
…
ゆっくりと白い鎧をトラックに積み上げ……
散らばる小さな肉片とともに……
…
体を低く曲げて少しずつ……
鎧から手をそっと引き抜き……
肉片をそれぞれ別の場所に置いていく……
……
「おっさん……」レンが小さく唇を動かす
…
「それとも今からみんなを手伝って早く終わらせる?」コウカが微笑む
……
トッ……トッ……
「俺も早くやった方がいいか……」レンが小さく呟き、俺の方を向く
……
「お前もだよ……」コウカが少女を睨む
「自分の立場を自覚しろ!」
…
フッ…
「なぜ俺が錆びた缶に耳を貸さなきゃいけないんだ?」少女が口元を歪める
「お前なんかに何が分かるって言うんだ。」
…………
タッ…タッ…タッ…
「やっと見つけた……」シノミが二人に近づく
「どれだけ探したか分かる?」
「さっさと俺について来い!」
…
「でも……」少女がコウカを睨みながら
…
グッ……
「でもじゃない、早く行くわよ!」シノミが少女の手を引く
…
「私の連れが失礼なことを言いました、ホシマさん!」シノミが頭を下げる
「どうかお許しください!」
…
「構わないわ!」コウカが微笑む
「でも次は自分の魚をしっかり繋いでおいてね!」
…
「誰を魚って呼んだ?」少女が進み出る
…
「やばいハヤサキ!」シノミがハヤサキを押し返す
「早く行くわよ!」
……
スッ……スッ……
「言ったでしょ……」シノミがハヤサキの背中を押す
「ここで変なこと言うんじゃないって!」
…
「お嬢様……」ハヤサキが振り返る
「でもなぜ俺たちはこんなことを?」
「あいつらが間違ってる、俺が正す、それだけのことです!」
…
「でも今はそういう時じゃないの!」シノミが顔をしかめる
………
カツ……カツ……
「タナカさん……」一人の人影が近づく
「ここで何してるんだ?」
…
「ハヤマ先生?!」シノミが体を固くし、目を見開く
…
「もしお前がここにいるなら……」ハヤマ先生が額に手をやり、周りを見回す
「残りの連中も近くにいるんだろうな?」
…
「先生……ここで何を?」シノミが顔を上げる
…
「お前たちを迎えに来たに決まってるだろ?」ハヤマ先生がシノミを見る
…
「それで、あの小娘は誰だ?」ハヤマ先生がハヤサキを指差す
…
「無知にもほどがある!」ハヤサキが指を突きつける
「よく聞け、人間!」
「俺は……」
…
パッ!
「あの子はハヤサキ……」シノミがハヤサキの口を手で塞ぐ
「最近知り合った子なんです……」シノミが苦笑いでハヤマ先生を見る
…
「そうか?」ハヤマ先生が二人を見る
…
「じゃあ二人とも少し先生について来い!」ハヤマ先生がトラックの方を指差す
「見せたいものがある!」
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ガラッ…ガラガラ……
満載されたトラック……
周りを見回す人影たち……
見開かれた目と握りしめた手……
…
コッ……コッ……
「トガミ様……」コウカが俺に近づく
「どうした、コウカ?」俺が顔を向け、目を見開く
…
「少しだけ時間をいただけますか?」コウカが微笑む
……
「また二人で何か企んでるのか?」レンが目を細める
「こっそりデートかよ?」
「シノミに知られたらどうすんだ?」レンが軽く首を振る
…
ふふ……
「違いますよ、コバヤシさん。」コウカが微笑む
「あなたも一緒に来てもいいですよ。」
…
「いいのか?」レンが目を見開き、口を少し開ける
…
「ダメだったら誘うわけないでしょう?」コウカが微笑む
…
ピョンッ!
「最高!」レンが飛び跳ね、満面の笑み
「もう仲間外れじゃない!」
……
「コウカ……」俺がコウカを見る
「どこに行くんだ?」
…
「すぐに分かりますよ、トガミ様。」コウカがトラックの方を指差す
…………
コツ…コツ……
巨大なトラックが目の前に近づいてくる……
周りの人影が四方に散っていく……
…
ピタッ!
「どうしてお前がここに?」レンが足を止め、遠くの人影を指差す
…
「そっちこそだ!」少女が進み寄る
「なぜお前がここにいるんだ?」
…
「先に答えろよ!」レンが顔を近づける
「なぜ俺が先なんだ?」少女が顔をさらに近づける
………
コツ…コツ……
「シノミ……」俺がシノミに近づく
「どうしてここに?」
…
「ハヤマ先生が呼んだの……」シノミが首を傾げる
「お前は?」
…
「ハヤマ先生もここにいるのか?」俺が首を傾げる
「うん、そうだよ。」シノミが微笑む
「俺たちを探しに来たみたい?」
…
「でも、お前はまだ俺の質問に答えてないよ?」シノミが顔を近づける
…
「それは……」俺が顔を逸らす
「コウカが呼んだから……」俺が手に顔を当てる
……
むっ……
「またデートかよ?」シノミが頬を膨らませ、顔を背ける
「分かってるよ、お前はもう俺なんかいらないんだ……」
…
「違うよ!」俺がシノミに手を伸ばす
「頼まれたから手伝ってるだけだよ!」
「見てみろ、レンも一緒に来てるだろ!」
…
「お前のその性格のせいだよ!」シノミが俺を見て目を丸くする
「誰が周りに優しくしろって言ったんだよ!」
………
パァンッ!
「全員揃ったな?」ハヤマ先生が進み寄る
「さっさと乗れ!一日中時間があるわけじゃない!」
…
「でも先生、どこに行くんですか?」俺がハヤマ先生を見上げる
…
ガチャッ!
「黙ってついて来い、すぐに分かる!」ハヤマ先生がトラックを振り返る




