闇夜に灯る紅の火
青い月光が闇の夜道を隅々まで照らし出す中
真紅の炎が道の真ん中で鮮やかに燃え盛る…
…
とん…とん…
「相変わらず謀略家だな、ハヤマ?」リクオが近づいてくる
「君こそ俺と何が違う?」ハヤマが銃を下げ、リクオを振り返る
「もうガキどもを巻き込んでるじゃないか。」
…
ははっ…
「どうしようもないだろ?」リクオが頭をかき、口元に笑みを浮かべて炎の方を見る
「あのガキども、才能があるんだよ。」
…
「君は……」ハヤマがまっすぐリクオを見つめる
「イカリとの約束、忘れたのか?」
…
「忘れられるわけないだろ。」リクオが首を振ってハヤマを見る
「でも……」
「まさに彼が言った通りだよ……」リクオが街の方を見る
「一度車輪が動き出したら、もう誰も止められない。」
…
「まあ、その話は置いといて……」リクオがにやりと笑う
「その物資、どこから調達してきたんだ?」
…
がしっ!
突然、瓶がリクオに向かって飛んでくる
…
「醤油?」リクオが目を丸くして瓶を見る
「難しいことなんてないよ。」ハヤマが銃を炎の方に向ける
「ただ近くのコンビニからいただいただけさ。」
…
「生意気だな?」リクオが首を振る
「返せるあてがあるのかよ、そんなに取ってきて。」
…
「だって俺、君のカードで決済したもん。」ハヤマが笑って、一枚のカードをリクオの方に差し出す
…
ばっ!
「このクソ野郎!」リクオがカードを奪い取り、目を細める
「どれだけ貯めてたか知ってるのかよ?」
…
「知ってるよ。」ハヤマが引き金を絞りながら煙の中を見回す
…
「でも……」ハヤマの照準が槍を持った人物に直撃する
「俺たち、あいつを信じていいのか?」
「別に構わないだろ。」リクオが首を振る
「どうせあいつも俺たちとは別の目的がある。」
…
「それに……」リクオが笑みを浮かべる
「このチーム、もうあいつらと一緒に戦うのに慣れちゃってるだろ?」
……
ビュンッ!
二人が立っているビルの上から
巨大な黒い影が白い煙の中へ飛び込む
赤く輝く目と、ビルに刻まれた爪痕とともに
………………………………………………………………………………………………………………
周囲のビルよりも高い煙の渦の中……
四方で黄金色の炎が激しく燃え上がる……
紙片があちこちに舞い散る……
そして黒い水たまりの真ん中で
白い鎧の軍団が四方に広がっていく……
…
「おいおっさん……」レンが振り返って男を見る
「これ、ちょっとやりすぎじゃないか?」
「どういう意味だ、ガキ?」男が首を傾げて見る
…
「あいつらがあんな罪を犯したのは分かってる……」レンがスクリーンに目を向ける
「でも今見てみろよ、俺たちと何が違うんだよ。」
「他に方法はないのか?」
…
「そんなことは関係ない。」男が運転席に背を預ける
「俺たちの任務は敵を殲滅することだ。」
「単独で立ってる奴らを全部狙え。」
「俺たちはそれだけやればいい。」
…
ぎゅっ…
「でも……」レンがハンドルを強く握る
「任務だとしても……」
「こんなのひどすぎるだろ!」
「どうしてそんなことが!」
…
「今さら撤退するつもりか?」男が首を上げ、目を細めてレンを見る
「お前がやらなくても、俺はやる。」
「それが必要だからだ。」
「ガキ、どっちかだよ。あいつらか、俺たちか。」
…
「絶対に他に方法がある!」レンが手を振り上げる
「おっさんが言ってたじゃないか?」
「昔は両方が一緒に暮らしてたんだろ?」
「だったら今だってできるはずだろ?」
「たとえ無理だとしても。」
…
ビュンッ!
「そう思うのか?」男が微笑む
「教えてくれ、なぜそう思うんだ?」
「ただ……」レンがスクリーンを見る
「昔、バカな奴が俺にそう考えて生きろって教えてくれたんだ……」
…
「だったら……」男がスクリーンを指差す
「地面に這ってる奴らは無視しろ!」
「俺たちの標的は俺たちを攻撃してくる奴らだ。」
「そうじゃない奴らじゃない。」
「了解、おっさん!」レンがハンドルを前に向け、口元に笑みを浮かべる
………
ガラガラ…
レンガや石が絶えず落ちてくる……
煙があらゆる隙間を埋め尽くす……
…
ザリッ…ザリザリ…
黒く染まった地面の上……
身を寄せ合う軍団の間で……
黄金色の炎が一つの影を照らし出す……
長い腕が周囲をそっと撫でる……
赤い目が煙の奥でぐるりと回る……
爪痕が徐々に露わになる……
…
ババババッ!
青い弾丸が乱れ飛ぶ……
「早く撃て!」白い鎧の一人が軍団の中央で煙を指差す
「隊形を維持しろ!」
「俺たちが固まっていれば、何も触れられない!」
…
ズルズル…
突然、白い鎧の一人が煙の中に消える
そして遠くから……
赤い色が地面に広がっていく……
…
ぎゃっ!
「死にたくない!」別の白い鎧が隊形を飛び出す
「待て!」中央の白い鎧が引き止めようとする
「隊形を離れるな、それがあいつらの狙いだ!」
…
たたたっ…たっ…たっ!
「いやだ!」白い鎧が必死に走る
「ここで死にたくない!」
「お前らが死にたいなら勝手にしろ!」
…
ガシャッ…ガリガリ…
再び黒い影が滑り抜け……
残ったのは爪痕の上に落ちたその白い鎧の銃だけ……
…
ざわ…ざわ…
「いやだ!」また一人が隊形を飛び出す
「ここで死にたくない!」
「隊形を離れるな!」中央の白い鎧が周囲を引き留めようとする
「あいつらはそれ待ちだ!」
…
…どた…どた…どたっ!
軍団が四方に散っていく……
よろめく足音があちこちに響く……
…
ズルッ … ガシャンッ!
体中から黄金色の液体が飛び散る……
鎧が次々と地面に倒れる……
…
さっ…
巨大な黒い影が煙の中を軽く滑り抜ける……
空間全体が突然静まり返る……
爪痕があちこちに伸び……
赤い色があちこちに広がる……
………
ずさっ…
「いや…いや…いや…」中央にいた白い鎧が周囲を見回し、後ずさる
「こんなはずじゃ…死にたくない…」
「いやだ…やめて…なんで俺が…」白い鎧が頭を抱える
「置いていかないで…一人にしないで…」
「いやだ…死にたくない…」
…
がしっ!
「おい君。」一つの手が白い鎧を掴む
「君は……」白い鎧が手を下ろして振り返る
…
ドンッ!
「早く伏せろ!」緑の者が白い鎧を地面に押し倒す
…
さっ…
煙が両側に押し分けられる
そして巨大な影が二人の頭上を滑り抜ける
…
「俺について来い!」緑の者が白い鎧を見る
「でも…でも…でも…」白い鎧が周囲を見回し、頭を押さえる
「敵に囲まれてるんじゃないか!」
「もう逃げ道なんてないだろ!」
…
「まだある……」緑の者が前を見る
「…」白い鎧が顔を上げる
「俺たちはまだ脱出できる。」
「でも…どうやって…」
…
「そっちを見てくれ!」緑の者が一本の火柱を指差す
「他の火柱には全部黄金の影がうろついてる。」
「でもあの柱だけ、何も出てきてない。」
「もしかして…あれも罠じゃないか…あいつらの思惑通り…」白い鎧が顔を背ける
…
ぎゅっ…
「分からない……」緑の者が手を強く握る
「でも何であれ、あれが俺たちの唯一のチャンスかもしれない……」
「俺を信じるかどうかは君次第だ。」
「でも俺はここで止まるつもりはない。」
…
ブンッ!
緑の者が自分の武器を投げ捨てる……
…
ずり…ずり…
体を地面に這わせる……
ゆっくりと手を前に進める……
巨大な手はもう周囲に出現しない……
…
ブンッ!
「待ってくれ……」白い鎧も武器を捨て、緑の者の後を追う
…
ずり…ずり…
周囲の視線が二人に向けられる……
他の鎧たちも次々と緑の者の後について行く……
………………………………………………………………………………………………………………..
ガキィンッ!
煙の中で小さな火花が散る……
音が響き渡り、辺り一帯に広がる……
…
「どうした?」ハヤサキが目を細める
「さっきは偉そうに吠えてたじゃないか?」
「もう一度言ってみろよ!」ハヤサキが黄金の者に向かって突進する
キィンッ!
…
どさっ…
黄金の者の手が武器を握り直すが震える……
顔を地面から遠ざけようともがく……
全身を震わせて力を抗おうとする……
足がその黄金の者の体に踏みつけられている……
…
はぁ…っ!
「お前は思うのか……」黄金の者が背を反らせ、武器を地面に突き立てる
「これが栄光だと?」
…
「お前を見てみろ。」黄金の者がハヤサキを指差す
「今お前はどっち側に立ってる!」
「お前が被ってるその顔を見てみろ!」
「結局、誰がお前に苦しみを与えたんだ!」
「それなのに今、お前は俺たちに背を向ける!」
「同じ同胞にだ!」
…
くくく…はははっ!
「…」ハヤサキが空を見上げる
…
ずいっ …ドンッ!
「何考えてんだよ!」ハヤサキが黄金の者を蹴り倒す
「教えてやるよ……」
「同族だろうが、お前らは俺をなんとも思ってなかった。」
「俺を大切にしてくれたのは、たった二人だけだ……」
…
ふっ…
「あいつのことをまだ想ってるのか?」黄金の者が口元を歪める
「あの呪われた血統の……」
「ただの歪んだ信仰と、いつも拒絶される意志だけ……」
「お前が大切にしてるもう一人の奴にさえ……」
…
ドンッ!
「黙れ!」ハヤサキが黄金の者の頭を強く踏みつける
「お前なんかに語る資格はない。」
「あの人の何が分かるってんだ!」
…
へっへっ…
「じゃあ……お前は分かってるのか?」黄金の者が大きく口を開ける
「お前も知ってるだろ……あんな馬鹿どもの末路は最初から決まってるって。」
…
ぎゅっ…
「この野郎!」ハヤサキが唇を噛み、槍を強く握る
「汚い口で彼らを汚すな!」
………
とん… とん…
足音が響き始める……
見慣れた体躯、毒ガスマスクを着けた姿
赤い炎の中で青緑の髪
手に握られた弓
…
「ハヤサキ、待って!」シノミが進み寄る
「お嬢様!」ハヤサキが手を止め、シノミを振り返る
「でもどうして?」
「この野郎が、彼は……」
…
「分かってる!」シノミが頷く
「でも彼からいくつか聞きたいことがあるの!」
…
「でも、それはとても危険です……」ハヤサキがシノミの肩を掴む
「私には君がいるじゃない。」シノミがハヤサキを見る
…
ずっ…
「これが大海が探している人物じゃないか?」黄金の者がゆっくり顔を上げる
「儀礼は抜きで!」シノミが首を高く上げる
「教えて。」
「なぜ大海は人類を攻撃することを選んだの?」
「協定があったはずでしょう?」
「そしてなぜ私を連れ戻そうとするの?」
…
「予想通りの質問だな……」黄金の者が岩に背を預ける
「すべてはあの方の意志だ。」
「俺たちはただ従うだけ。」
…
「この野郎!」ハヤサキが飛びかかる
「待って!」シノミが手を伸ばしてハヤサキを止める
「大海なら分かってるはず……」
「あの方に手を出した結果を……」
…
「教えて……」シノミが身を屈める
「一体何が起きているの?」
…
ぐっ…
「いいだろう、お嬢様!」黄金の者が軽く頷く
「だがその前に、一緒に見てくれ……」黄金の者が煙を指差す
「もし二人の信念が正しければ、俺は知ってる限りのことをすべて話す……」
「あいつも、彼らと同じなら……」
………………
すぱっ…
煙が突然両側に分かれる……
瓦礫だらけの地面、黒く染まった路面……
鎧を着けた人影が現れる……
緑の者が顔を上げて見上げる……
…
金色の光と青い色
二振りの剣が夜の中に輝く
そして道の先に、二つの影が待っている……
…
「ハル……」シノミが小さく唇を動かす




