夜が裂け、運命が走り出す
月光が夜を切り裂き……
水面が道路を覆う……
赤い髪の少女が満面の笑みで
友達と二人の子供たちを見つめる……
…
ぐっ…ぐ…
「てめぇ……またどの化け物だ……俺の邪魔を……」白い装甲が槍を握りしめ、必死に立ち上がろうとする
「私?」ツメ子が自分を指差す
「私はただの……」
「こいつらの友達だよ!!」ツメ子がニッコリ笑う
…
ああっ…!
「ふざけるな!!」白い装甲が跳ね起きる
…
Um…
「誰がふざけてるのよ!!」ツメ子が口元に手を当てる
「でもさ……」
「自分の後ろの方が心配した方がいいよ!!」
…
グルル…
背後から赤い光が燃え上がる……
水蒸気がモクモクと立ち込め……
そして……
…
ドゴッ!
白い装甲が立とうとした場所に……
爪痕と道路の破片が飛び散るだけ……
…
「言ったろ!!」ツメ子が倒れている女性に目を向ける
……
「大丈夫ですか?」ツメ子が女性を支えて起こす
…
うっ…!
「私……私は大丈夫……」三日月さんが顔をしかめながら体を起こす
…
ガクッ…!
闇の中から別の影が槍を手に突進してくる……
三日月さんの目が大きく見開かれ、体が凍りつく……
…
…
バァンッ!
金色の光が横から一閃……
空中に水滴が飛び散り……
その影が道に崩れ落ちる……
……
「何か?」ツメ子が首を傾げる
「今……今のは!?危なかったわよ!!」三日月さんが手を握りしめる
「もう少しで死んでたのよ!!」
…
トン…トン…
「安心してください、そんなことありません!!」男が近づいてくる
「葉山先生!?」ネネが目を見開く
…
「我校の義務は生徒を絶対に危険にさらさないことだ!!」中年の男がツメ子の頭を軽くコツン
…
コツンッ!
「どれだけ無茶してもな!!」
「先生……」ツメ子が頭を押さえる
「痛いじゃないですか!!」
「自分でやったくせに何言ってんだ!!」葉山先生が口元を緩める
…
「先生……」ネネの視線が葉山先生の手へ
「なんで……それ持ってるんですか?」
…
まだ煙を上げる銃口……
長い翼のような装飾が広がるスナイパーライフル……
黒いボディに金色のラインが走る……
…
かきかき…
「それはちょっと説明が面倒でね……」中年の男が頭を掻いて顔を逸らす
「でもそれより……」葉山先生が振り向く
「残りの三人はどこだ?」
…
ドスッ…ドスッ…
「先生!!」獣型メカから声が響く
「この声は……」葉山先生がメカを見る
「小林か。何やってんだ中で?」
…
えっへっへ…
「先生びっくりした!?」レンが鼻の下を掻く
「数学できなきゃ大物になれないなんて誰が言った!!」
「このガキが……」葉山先生が顔を覆う
……
よっ…よっ…
「どうしてみんな……ここに……」ネネが近づく
…
スッ…
「それ聞いてどうする!!」葉山先生がタバコを取り出す
「当たり前だろ!学校の生徒を迎えに来たんだよ!!」
「こんなとこに置いとけるか!!」葉山先生が街を見回す
…
「先生……」ネネが目を細める
「子供がいるんですよ、タバコやめてください!!」
「タバコじゃねぇよ……」葉山先生がくわえた棒を上げる
「ただのキャンディだよ……」
「子供たち、欲しいか?」棒を子供たちに向ける
…
「先生……」ネネが目を細めて子供たちを抱く
「子供に悪影響ですよ!!」
………
あっははっ…!
「俺にも一本くれよ!!」別の男が近づく
「お前はダメだ、陸男!!」
「ケチ!!久しぶりなんだからよ!!」陸男が肩を落とす
「久しぶりなんだから……」
…
「黒鉄さん……先生……」ネネが目を見開く
「二人って知り合いなんですか?」
…
「まぁ……」
「知り合いって言えば知り合いかな……」葉山先生が頬を掻く
「照れんなよ!!親友って言えよ!!」陸男が肩に腕を回す
「だから言いたくねぇんだよ!!」葉山先生が押し返す
………
遠くから光が一際強く輝き……
月明かりを凌駕し、夜を切り裂く……
…
「まさか……」葉山先生が固まる
「ああ、それだ!!」陸男が頷く
「運命がまた繰り返すぜ!!」
…
「陸男……」
「わかってるわかってる、昔みたいだろ?」陸男が獣型メカに近づく
「でも今回は作戦あんのか?」
「知るか!!お前もいつも知らねぇだろ!!」葉山先生が笑う
「確かに!!」
…
「よし、小林さんだったな?」陸男がメカの肩に乗り
「あの光の方向へ急げ!!」
「え?なんで?」レンが身を乗り出す
「あそこの熱源、人間じゃねぇだろ!!」
「行け行け、質問すんな!!」
「でも……レンが目を細める
…
「わかった!!」男が操縦桿を握る
「おっちゃん、どういうこと?」レンが振り向く
「やるだけだガキ!!」男が笑う
「必要なのは従うだけだ!!」
…
ゴトッ…ゴトッ…
獣型が光へ向かって疾走、道路に足跡を残す……
………
「よし!!」葉山先生が見回す
「お前たちはこの女性と子供たちを安全な場所へ!!」
「先生は!?」ツメ子が目を見開く
「俺は別の準備が!!」葉山先生が見回す
…
「あった!!これだ!!」葉山先生が調味料の瓶を拾う
隣にへこんだガスボンベ……
………………………………………………………………………………………………………………..
ガシャッ!ガシャッ!
カンッ!カンッ!
…
川辺は赤く染まり……
月明かりが薄れ……
火花が空中に散る……
…
ハァ…ハァ…
「なんで……こんなに多いんだよ……」俺が後ずさり、目を見開く
「今回はかなり計画的に来てるみたいだ!!」コウカが唇を噛む
…
「十神様……」コウカが俺を見て背中を寄せる
「ここに長くいると不利です……」
「今、柱を折って足止めします……」
「俺が3つ数えたら全力で走って……」
「わかったな?」
…
「でも追ってくるだろ!!」俺がチラ見
「大丈夫!!陸上じゃ遅い!!」コウカが笑う
「全力で走れば逃げ切れる!!」
…
ギュッ…!
「まっすぐ前だけ見て、絶対振り返るな……」コウカが剣を握る
「わかった……」俺が軽く頷く
…
「俺の合図で……」コウカが敵を睨む
「1……」
「2……」
…
「3!!」
…
ガキッ!ガキッ!
金属音が響き渡り……
火花が輝く……
…
ビュンッ!ビュンッ!
俺は全力で前へ……視線を道の先に……
体が軽くなる……
…
「コウカ、行ける!!」俺が笑う
「追いつけない!!」
「コウカ?」
トン…トン…
…
「コウカ!!」振り向くと
白い装甲に囲まれ、武器が飛び交う中……
二刀で必死に戦うコウカ……
…
「コウカ……なんで……」俺が手を伸ばす、体が動かない
…
ジャキッ!ジャキッ!
カランッ!カランッ!
白い装甲が次々弾かれ……
武器が飛び散る……
…
…
だが空中に……
青い剣が俺の方へ飛んでくる……
そしてコウカの動きが止まる……
…
「コウカ!!」俺がコウカへ飛び込む
「来るな!!」軍団の中から声
「覚醒できないお前じゃ何もできねぇだろ!!」
…
「違う!!俺はできる!!」俺が周りを見回す
「見てろ!!できるんだ!!」一番近い槍に飛びつく
「俺……できる……」槍を握る
…
何の反応も……光も……
何も起きない……
…
カシャンッ!カシャンッ!
「なんでだよ……なんで……」次々槍に飛びつく
「動けよ!!動け!!」
「なんで……」
…
ギュッ…!
「前みたいにできないのかよ!!」武器を握りしめる
「言っただろ……」コウカの声が響く
「お前は向いてない……」
「この物語の主人公じゃねぇ……」
「お前はただのモブだ!!」
…
「早く逃げろ!!消えろ!!」
「俺の足手まといになるな!!」
…
「違う……違う……ありえない……」俺が後ずさる
「違う!!」背を向けて走り出す、唇を噛む
…
「早く消えろ!!」コウカが俺を睨む
…
ドサッ!
「そうだよ……ここから逃げろ……十神様……」コウカが地面に崩れる
「走れ!!振り返るな!!」
……
「十神……様……」液体がコウカの顔を覆う
「今度は……やったよ……」コウカが手を伸ばし、笑みを浮かべる
「今度は……一人に……させなかった……」
「どうか……望むように……生きて……」コウカの目が閉じる
………
武器が散らばる道に……
一筋の光が目に入る……
…
「あの剣……」俺が目を見開く
「もしかしたらあれなら……」剣に飛びつき
ガシッ!
目を大きく見開き、剣を握る
………
目の前に濃い霧が立ち込め……
周囲の影が消えていく……
家、道路、剣、軍団、コウカ……
何も残らず、静かな水面と濃い霧だけ……
…
黒い影が次々現れ、繋がり……
俺を囲む円になる……
11の黒い影……
四方から声が響く……
…
「お前は本当にこの道でいいのか?」
「弱虫のお前じゃ何もできねぇ!!」
「やめて平凡に生きろ!!」
「妄想やめて戻れ!!」
「クソ雑魚妄想野郎!!」
「お前は他人に認められるためにだけやってる!!」
…
「俺……俺……俺……」俺が頭を抱え、髪を掴む
「黙れ!!黙ってくれ!!」
「頼む……!!」
…
「俺は聞く……」一つの影が近づく
「お前……今まで何のために生きてきた?」
「俺……」俺が顔を上げ、目を細める
「お前は何のためにまだもがいてる?」白い髪が影から現れる
…
「お前はいつも他人のために、いつも助けようとして……」影が水面を指す
学生時代の俺の記憶が浮かぶ……
…
「どれだけ倒れても、周りに利用されても……」
「そして……」俺の目が大きく開く
「あの子は……いつもお前を避けてた……」
…
静かな水面に汐美の姿が……
でもいつの間にか……彼女は……
俺を避け、俺の人生から離れ……
昔の友達も俺を避け……
…
「だから教えてくれ……」影が両手で俺の頬に触れる
「お前は何のために生きてる?」青い目と短い角が俺をまっすぐ見つめる
「他人のため?エゴのため?それとも……」
「……正しいことだから?」
…
「どれでもいい……」俺が唇を動かす
「どれでもいいんだよ!!」
…
ギュッ…!
「何でもいい!!」俺が目を見開き、影の手を握る
「俺は本能のままに動く!!」
「正しくても間違いでも!!」
「たとえ俺が彼らの人生で一瞬の存在でも……」
「誰にも迷惑かけず、大切な人たちのために何かできるなら……」
「それだけで俺の存在は十分だろ!!」
…
アッハハハハッ!!
「それって……」目の前の影が腹を抱える
「結局自分のエゴじゃねぇか!!」
…
「凡庸!!」大きな影が立ち上がる
「つまんねぇ!!」
「でもそれがお前たちだ!!」一つの影が笑う
そして11の影すべてが立ち上がる……
……
「受け入れたんなら途中で投げ出すんじゃねぇ!!」
光が爆発的に広がり……
霧を、夜を切り裂く……
………………………………………………………………………………………………………………
うわっ…!
「何だこの光!!」白い装甲が手を顔に当てる
「眩しすぎる!!」別の装甲が後ずさる
…
うっ…くっ…
「光……なんで……」コウカが必死に目を開けようとする
「なんで……光が見える……」
……
ゴォォォォッ!!
強風が軍団を吹き抜け……
コウカの髪がバサバサ……
瓦礫が飛び散る……
…
ガチャァンッ!!
金属音が響き渡り……
武器が四方に飛び散る……
…
ガガンッ!!
煙が立ち込め……
地面が次々砕け、大きな穴が開く……
……
「今……何が……」コウカが立ち上がり、周りを見回す
…
「いや……いや……ありえない……」コウカの目が大きく見開く
…
月光が夜を切り裂く中……
白い髪と額の角……
肩に輝く剣を担ぐ……
…
「やっぱり……また始まるんだな……」
「だろ、十神様……」コウカがハルを見て微笑む
「あ、いや……」
「マキ……」
…
「久しぶりだな、コウカちゃん!!」ハルの顔が満面の笑みになる。




