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静時の流れ - 潮騒の誓約  作者: Minateru
残響の果てに

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24/98

闇はすべてを呑み込まない

ポタッ…ポタッ…

木片が散らばり、煙がモクモク立ち込める中

赤い光が空間すべてを呑み込む

…

プハァッ!

目の前に立つ少女の視線

そして怯えた子供たちが母親にしがみつく

…

さっきまで銃口を向けていた白い装甲が

今は宙に浮き……鉄の鉤爪に貫かれ……

装甲が突き破られ……

そして……

ドクドクと溢れる滴が……

床を真っ赤に染めていく……

…

ギギッ…ギギッ…

「いや……ありえない……ありえない……」白い装甲がゆっくり鉤爪に手を伸ばす

「俺たち……全部破壊したはずだ……」

「この手で……俺が……」全身の装甲がガクガク震える

…

「その自信が仇になったんだろ?」赤い光の方から響く声

「俺たちの仲間が……どうして……」白い装甲がゆっくり振り向く

「当ててみろよ」

「俺たちは……何を間違えた……こんな目に……」白い装甲が鉤爪をギュッと掴む

「てめぇらと俺たちは……」男が操縦桿を握りしめる

「……すまねぇ……」

「だが、許せねぇ……」

「命令に従った駒だろうと……」男が奥歯をギシッ

「俺は絶対に……」

…

バキィィッ!

「家族に手ぇ出したヤツは一人残らず許さねぇ!!」

月明かりが周囲の目を照らし、家の中が一瞬真っ赤に輝く

そして一本の血の道が、家の中を縦に走る……

…

ゴォォォォォンッ!

月光の下、赤い滴が宙に舞い、白い装甲を追う

木っ端微塵の瓦礫とレンガが飛び散り、家が真っ二つに割れる

…

漆黒の巨体、燃えるような赤い目、豹を思わせる顔に長い牙

その視線が少女と子供たちをまっすぐ捉える……

………

「何……これ……何が起きてんだよ……?」ネネが呆然と機体を見上げる

「そのメカ……」三日月さんが振り向く

…

ひゃあっ!

「お母さん怖い……」翔也が母の服をギュッ

「…」圭がクマをぎゅっと抱きしめて三日月さんの腕に隠れる

…

「おーい!みんな聞こえてる!?」聞き慣れた声が響く

「この声……」ネネが目を見開く

「オイ!返事しろよ!!」

「レン!?お前か!?」

「他に誰がいるんだよ!」

…

ぎゅっ!

「お前……お前……」

「今まで何してたんだよ!?」ネネが拳を握りしめて振り上げる

「どこにいたんだよ!?」

「どこからその化け物引っ張り出してきた!?」

「なんで早く戻ってこなかったんだよ!?」

…

「だってよ……」ネネが顔を伏せる

「知ってる?……すっげぇ心配したんだから……」

「わかってるって!ごめんってば……」レンが操縦桿から両手を離すっと離す

「でも俺が何を経験してきたか知らないだろ?」

「このおっちゃんのせいで……」

ぎゅっ!

肩をギュッと掴む手……

男がうつむいたまま……

…

「まぁいいや、そんな話は後回し!」

「今はみんなをここから連れ出すのが先だ!!」

「レン……」ネネが手を後ろに伸ばす

「考えてみろよ、足を怪我してる人と子供二人だぞ」

「絶対安全なとこまで行けないって!」

…

「それに……」ネネが胸をドン

「こんな時間にこの街に安全な場所なんてあるわけ?」

…

「それは……」レンが頬を掻く

………

「ここだ!」男がパネルを指差す

「そこに何が?」レンが振り返る

「見たろ、ここに人間の熱源がある」

「でもなんでそこなんだよ?」レンが目を細める

「熱源ならこっちの方が圧倒的に多いだろ?」赤く染まったエリアを指す

…

カタカタカタ…

「甘いな、よく見ろ!」男が赤の少ないエリアを連打

「見てみろ、何かおかしいだろ……」レンがゆっくり指の先を見やる

…

「これって……」レンが目を見開く

「……熱源が……外に押し出されてる……?」

目の前のエリアでは

弱い熱源が……強い熱源から完全に離れて……

…

「おっちゃん、まさか……?」

「ああ、そこでは誰かが守りながら戦ってる」男が軽く頷く

「記憶が正しければ、黒鉄隊長の近くだったはずだ」

「今はあそこが一番安全だ!」

「じゃあさっさと行くぞ!!」レンが操縦桿を握る

…

「ネネ……」機体が頭を下げる

「何?」ネネが顔をしかめる

「早く乗れよ!」

「は?」ネネが首を傾げる

「安全な場所見つけた!早く!!」機体が熱源の方へ向き直る

「ったくあいつ……」ネネが鼻梁を押さえる

「さっきから何も聞いてねぇじゃん!!」

「言っただろ!!」

「俺たちみたいに走れねぇって!!」

「考えろよ!動いたら次の標的になるだろ!!」

…

「Hmmmm……確かに……」レンが目を閉じて顎に手を当てる

「あ!そうだ!!」

「じゃあ……」

…

ギギィ…カラカラ…

機体が頭を下げ、横に鉤爪を伸ばす

煙がモクモク……

口がゆっくり開く……

…

「みんなここに乗れば俺が運んでやる!!」レンがニッコリ

「は!?」ネネが腰に手を当て口を開ける

「冗談だろ!?」

「俺を飯扱いすんなよ!!」

「でもこれが一番安全だろ!!」レンがモニターをまっすぐ見る

「イヤよ!!」ネネがプイッと横

「もっとマシな方法あるでしょ!!」

…

はぁ…

「ったくあいつ頑固……」レンが伸び

「現実的になれよ!!」ネネが振り向く

…

トコトコ…トコトコ…

「さぁ、二人とも!」三日月さんがゆっくり機体に近づく

「三日月さん、でもあれが……」ネネが手を伸ばす

…

「ここで待ってるよりはマシでしょ?」三日月さんが微笑む

「気をつけてね!」子供たちが一人ずつ中へ

…

「でも……」

…

フゥッ…

「まぁいいか!!」ネネネが顔を上げて機体へ

…

ドドドッ…

「ちゃんと運転しろよ!!」ネネが口の縁に掴まる

「おう!天才ドライバーに任せとけ!!」レンが胸を叩く

…

カチカチカチ…

「頭と顎をしっかり固定しろ……」男がボタンを押す

「わかってるってば……」レンが男をチラ見

「おっちゃんもう何回目だよ!!」

…

ズシャッ!ズシャッ!

土煙が舞い、爪跡が道路に残る

獣型機体が街の影を縫うように疾走……レーダーの目的地へ……

………………………………………………………………………………………………………………

ガチガチッ!

バンッ!バンッ!

目的地に近づくほど光が鮮明に……

白い煙の向こうで青い光と金色の光が激しくぶつかり合う

…

ドゴォッ!ドゴォッ!

「おっちゃん、前見て!!」レンが光の帯を指す

「やっぱり読み通りだ!!」男が椅子から身を乗り出す

「でもこの状況で連れてくのは……」

「よし、ここで止めろ!!」男が操縦桿を引く

…

ズシッ…

獣型が足を止め、ゆっくり体を下げる

「おいレン、また何企んでんだよ!?」ネネが睨む

「安全な場所って誰もいねぇじゃん!!」

「俺も知らねぇよ!!」レンが首振る

「じゃあなんで止まるんだよ!!」ネネが拳を握る

「俺じゃねぇって、おっちゃんが……」レンが男を指す

…

「今はここにいてくれ!!」男が声を張り、機体を開いたままの家に向ける

「この状況じゃ直行は無理だ!」

「俺たちが戻るまでここにいろ!!」操縦席が前へ突進

ドドドドドッ!

「ってことで……」レンが操縦桿を握りしめる

「みんな待っててくれよ!!」

そして機体が煙と炎の中へ飛び込んでいく

…

「ちょっと待てよ!!」ネネが手を伸ばす

「それじゃわかんねぇよ!!」

…

「ったく……」三日月さんが微笑みながら呟く

「ここまで来たら……せめて家に帰らなきゃね……」

「バカだねぇ……」

「三日月さん、何か?」ネネが振り向く

「何でもない!さぁ中に入りましょう!」三日月さんが小さな手を二つ引く

………

ガガガッ!ガガガッ!

バンッ!バンッ!

ドンッ!ドンッ!

近づくほど画面に映る光景が鮮明に

二つの銃火が交錯し、槍が拳で弾かれる戦場

…

ガガガガッ!

「おいおっちゃん……」レンが振り返る

「作戦あんのか?それとも突っ込んでぶっ潰すだけ?」

「バカ言え!!」男が目をギラつかせる

「さっきみたいにやればいいだけだ!!」

…

バキッ!

ガガガガッ!

瓦礫が飛び散り、壁に爪跡が残る

煙柱の陰を縫い、獣型がゆっくり近づく

…

ガリガリッ!ガリガリッ!

屋根を軽く引っ掻きながら、獣型が角に身を潜める

…

カチッ…

「何だ!?」白い装甲数体が屋根へ銃を向ける

…

バラバラッ!

煙が四方に落ち、瓦礫がバタバタ

そして赤い目がチラチラ

…

ズズッ…ズズッ…

「ガキ、緊張しすぎだ!」男がモニターを睨む

「ゆっくりだ!ゆっくり!!」

「遠くのヤツから狙え!!」

「わかってるって……」レンの頬に汗がダラダラ

…

そして獣型が煙の中からゆっくり鉤爪を伸ばす……

…

ガチッ!

一機の白い装甲が隊列から引きずり出される……

残りがキョロキョロ

…

ガチッ!ガチッ!ガチッ!

次々と煙の中へ消えていく……

…

ガチャッ…

「何だこの化け物!!」白い装甲が後ずさる

…

ダダダダダッ!!

「撃て!!」一機が武器を握りしめる

ギャーッ!キャーッ!

次々と煙に呑まれ、赤い目に沈む……

…

煙が晴れると残った白い装甲が互いに寄りかかり……

体が硬直し、武器を握ったまま……

煙の向こうから現れる燃える赤い目と漆黒の巨体

ゴォォォォンッ!

…

炎の下に広がる真っ赤な地面……

.........

ギリ…ッ

「……すまねぇ……」男が小さく呟き、操縦桿を握りしめる

「だが他に方法がねぇ……」

「おっちゃん、今何か?」レンが振り向く

「いや……早く迎えに行こう!!」男がネネたちを置いた場所を見る

……

操縦席の二人が同時に凍りつき、目を見開く

目の前に……

必死に立ち上がろうとする少女……二人の子供を後ろに引く手……

そして立てない女性……

そしてその胸元に突きつけられた槍……

…

ギュッ…

「頼む……」男が操縦桿を握りしめ、唇を噛む

「やめろ!!」

「止めてくれ!!」

...

ズバァァッ!!

「もう俺の代わりに罰を受けさせるな!!」機体が一直線に突進

………………………………………………………………………………………………………………

ヒュッ…ヒュウッ…

体中に切り傷……

血で顔が完全に隠れる……

…

「なんで……こうなったの……」ネネが必死に目を開けようとする

「ねぇ……やめてよ……なんでそんな……」

…

クッ…フッ…

「てめぇらにそんなこと言われる筋合いねぇ!!」白い装甲が槍を握りしめる

「てめぇらが俺たちにしたことはいいけど、俺たちがしたらダメかよ!?」

「私たち……あなたたちに何したっていうの……?」ネネが子供たちをぎゅっと抱く

…

フフッ…

「知らないのか……知りたくないだけか……」白い装甲がネネをまっすぐ見る

「それとも……知らないふりか……」

…

「どっちでもいい!!」白い装甲が三日月さんを見て槍を振り上げる

…

「思い出させてやるよ!!」

…

「お母さん!!」翔也が手を伸ばす

「ごめんね!」三日月さんが微笑み、涙を浮かべる

「元気に生きてね!」

…

「てめぇらもそうしてればよかったのによ!!」白い装甲が槍を振り下ろす

ネネが子供たちの目を手で覆い、自分も顔を逸らす

三日月さんが翔也をまっすぐ見て目を開く

…

ゴウン…ゴウン…

近づいてくる音……

……

「でも……てめぇらはしなかった……」槍が振り下ろされる

…

ドシン…ドシン…ドシン…

獣型が全力疾走、地面に亀裂が走る

…

ガッシャァンッ!!

全員の視線が槍の持ち主へ

宙に浮くスープの滴……

潰れたラーメン屋の屋台……

飛び散る箸とスプーン……

そして「Ramen」の文字……

…

ガリッ…ガリガリッ…!

「何だ……」白い装甲が槍を地面に突き刺し身を低くする

…

そして月明かりの下、散らばった器とスープが道を濡らす

長い引きずり跡……

そこに立つのは……赤い短髪の長身の少女……

「ギリギリ間に合った!!」少女が腰に手を当て、もう片方で額の汗を拭う

「ツメ子……ちゃん……」ネネが固まって目を見開く

「何してんだよここで……」

「それ!?」ツメ子が笑顔でネネを見る

「当たり前だろ!みんなを迎えに来たに決まってんだろ!!」ツメ子が胸をドン!

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